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忘れられない初バレンタイン

こんにちは、ぷるるです。

昨日はバレンタインでしたね。皆様どんな時間を過ごされたでしょうか。

ところで私には、『忘れられないバレンタイン』があります。
生まれて初めてチョコレートをあげた時の思い出なんですよ。

一日遅れではありますが、ぜひ聞いてください。


私は中3まで、一度も本命チョコをあげたことがなかった。

バレンタインという『いかにもな日』に、『いかにもなチョコ』をあげるという行為が、照れ臭くてたまらない、自意識過剰少女だったから。

当然中3の時も、好きな子(あだ名:焼きそば)にチョコレートをあげるつもりは、まったくなかった。

だがそんな私の決意を、断固として糾弾する者がいた。
同じ仲良しグループのNだ。

Nはかなりの恋愛体質で、好きな男子へのアピール&アタックを常日頃から欠かさない、恋愛戦士であった。

その姿、まさしく恋愛するために生まれし将なり!

そんな恋愛戦士Nにとって、バレンタインとは決戦の場。晴れ舞台である。
私のような惰弱足軽など、許せたものではなかっただろう。

「焼きそばにチョコあげなよ!みんなでバレンタインがんばろ?あたし協力するからさっ」

恋愛戦士Nは、私の目を見つめながら熱く語った。
他のメンバーも、「みんなでチョコあげよう・冬の陣」にノっていたので、Nの言葉にうなずいている。

『バレンタインにどう動くかは個人の問題で候。わしは皆で一緒にやるような事ではないと考えるが、如何か!』

今ならはっきりとそう言えるだろう。
けれど当時の私は、恋愛戦士Nの迫力に飲まれてしまった。
あと自分でも、『逃げてるかな〜、弱虫かな〜』という気持ちがあったと思う。

こうして、私は人生初のバレンタインに挑戦することになった。


だが参加にあたり、私は恋愛戦士Nに『手渡し』の免除を要求した。
恥ずかしくて耐えられそうにない、と。

恋愛戦士Nは不満げだったが、「まあ初めてのバレンタインだもんね・・・」と、しぶしぶ許してくれた。

そこで私はハーシーズの板チョコと、ちょっと可愛めのメッセージカードを買って準備を整えた。

板チョコが限界とは、自意識って本当にやっかいですね。

なぜなら恋愛戦士Nが、バレンタインカードをつけることは譲れないと言い張ったからだ。

「チョコだけじゃダメ。言葉でも気持ちをちゃんと伝えなきゃ!!」

・・・確かにそれは一理ある。

私はいろいろ考えた末、「好きです」というシンプルなメッセージにしようと決めた。でも名前は書かない。ただし、これは恋愛戦士Nに秘密としておこう。

バレンタイン・ラブソングを爆音でかけることでテンションを上げ、私はペンを取った。
だが、いざ書かん!とした時に、はたと気づいた。

「筆跡」ってものがあるじゃあないの!


焼きそばは多分、私の字を知らない。
でも何かのきっかけで、バレるかもしれない。

好きなのは嘘じゃない・・・・でも、今は知られたくない。
だけど、カードつけなかったら恋愛戦士Nが超うるさい。

私は悩みに悩んだ。
そしてバレンタイン前日の22時、とつぜん良い方法を思いついた。

雑誌から可愛い文字を切り抜いて、貼り付ければいいじゃん!!


当時を再現してみました。


・・・君は犯罪者か。バレンタインカードは脅迫状なのか。
というか、焼きそばがこれをもらってどんな気持ちになるか、考えはしないのか。

けど当時はテンパって、この事実に私はまったく気づかなかった。
どころか、文字選びに何時間もかける始末。張り方も工夫して・・・

そして当日恋愛戦士Nに見守られながら、私は焼きそばのロッカーにチョコレートを突っ込むことに成功した。

『思いやりゼロ・バレンタイン』と命名しておこう。


さて、1ヶ月後のホワイトデー。

友人たちは皆、可愛いお返しをもらっていた。
何もなかった女子はただ一人。

そう私だ。

恋愛戦士Nはとても怒り、「焼きそば、女子の勇気をわかってない!私が文句言ってあげる!」といきりたった。情が深い子なのだ。

私はそんなNを一生懸命になだめた。だって・・・

お返しなんてあるわけないもの。


脅迫状風カード入りチョコに、誰がお返ししたいと思うのか。
絶対にその相手、やっかい女子じゃないか。危険すぎる。

まあ、そもそも名前書いてないしね!


でもこの事実を恋愛戦士Nに告げれば、私はどんな目に合うか・・・。
そこで私は、淡く微笑みこう言った。

「焼きそばを責めないで。私はチョコをあげられただけで満足よ・・・」

そして心中でこっそり、好きな人を犠牲にした自分にとても落胆した。


以上が私の、忘れられない初バレンタインです。

改めて振り返り、焼きそばに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
自分があんなカードをもらったらと考えると・・・・
焼きそば、本当にごめん!!!

反省の気持ちを無料画像で表現しました。


ただ、言い訳かもしれませんが・・・

今考えると、私の想いはまだ熟していなかった気がします。

想いが大きく花開くかしぼんでしまうかは、正直分かりません。
でも、それはどちらでも良いんです。

大事なのは気持ちが熟すまで待ち、自然な形で受け取ること。
外側の声に引っ張られ、無理やり摘み取ったりしないことではないか。

中3の私には機の未熟が、「まだ告げたくない」という形で現れたのではないでしょうか。


でも、すべては学生時代の良き思い出です。
おかげでその後のバレンタインでは、自分の機が熟すまで待つことができました。

ただ、焼きそばの記憶からは完全に消えていることを、心から希望します。

*おまけ:焼きそばの由来*

転校生だった彼は、「好物は焼きそばです」と自己紹介をした。するとクラスメイトの男子が、「じゃあ、お前『焼きそばな』」と。
当人も「おー、わかった」とあっさり。

それ以降、みな違和感なく彼を焼きそばと呼んでいた。学生あるあるですよね。








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