真剣な姿勢は見る人に伝わる
以前、NHKの対談番組「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」で俳優の池松壮亮さんとフランスの映画監督フランソワ・オゾンさんの対談を放送していた。
その中で印象に残っている質問がある。
「とても息を切らせて部屋に入ってくるシーンがあるとする。それを演じるなら君はどうする?本当に走って息を切らせるのか、それとも息を切らせている演技をするのか」
「うそ」にしないこと
池松壮亮さんはその時、「実際に走ってから撮影に臨む」という趣旨の答えを返した。
役者は”演じる”ものであり、それが本来の自分ではない。
しかし、だからと言ってそれが嘘の表情や振る舞いであってはいけないのだ。
オゾン監督も「身体は真実を語る」と述べ、そうした姿を映像に収めているのだと言っていた。
実際、作品を見る観客はそれをひとつの物語として観る。
作品の中で登場するキャラクタは、確実にそこに存在する。
自分のために演じない
最初の問いに戻る。
「実際には走らず、演技で勝負する」
そう答える人だっているだろう。
それはそれで間違いではない。
役者にも色々なタイプ・考えの人がいて、それぞれが真剣に取り組んでいる。
もしも自己満足のために演技だけで表現しようというなら、実力不足な場合、観客のことを省みることができていない。
しかし、そのストイックさが確実に演技力を高める要素にもなる。
どちらが正解ということはないのだが、あなたはどう考えるだろうか。
”魅せる”こと
手段はどうであれ、観る人があってこその作品である。
仮に埋もれてしまうような作品でも、監督と演者それぞれが力を寄せて作り上げるものだ。
当人達が全力をかけたものであれば、人々を魅了するだろう。
観る人がチープだと感じないような真剣さ、真実らしさがそこにはある。
今回は映画および役者の話だったが、これは何に対しても当てはまる。やるからには”本当”の気持ちで取り組むべきだ。
物事には真剣に取り組んでいるだろうか?
自分ばかり見て周りをないがしろにしていないだろうか?
独りよがりでない熱意は確実に周囲に伝わる。
何も見つけられなくても、目の前の1日を精一杯生きるだけでもいい。
真摯な姿勢こそが周囲から求められ、また、自らを満足させる行動だ。
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