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達成感 < 課題 ―カタールW杯アジア最終予選―

 去る3月24日、日本代表はオーストラリア代表に敵地で2-0で勝利したことで、予選2位以内を確定させ、カタールW杯の本戦出場を確定させました。オーストラリア戦は日本としては引き分け以上で2位が確定するという中での戦いではありましたが、オーストラリアがそこまで前掛かりに来なかったこと、1度はゴールネットを揺らした相手のゴールがキーパーチャージと見なされて得点にならなかったこと、そして終盤の三苫の2ゴールで見事勝利を飾ることができました。
 それを経てのホームでのベトナム戦でしたが、結果は1-1のドロー。グループ最下位のベトナム相手に引き分けで終わりましたが、この試合の勝ち負け以上に、この試合に望む上でのチームのスタンスが全くわからなかったのが問題なのではないでしょうか?

テスト?内容?勝利?

 先述したように、日本代表はW杯本戦出場はすでに決定しているので、このベトナム戦においては3つの目的が考えられました。まずはテスト、これまで使っていない選手を試すことです。これは言わずもがなですね。
 内容面へのこだわりも重要で、現時点で明らかに格下であるはずのベトナムが相手、それもホームということで相手を圧倒して有終の美を飾るべき試合だったはずです。更にはdaznが放送権を持っている試合で田嶋会長がなんとしても地上波で放送するべく奔走したのだから、見ている人を楽しませるサッカーをすることも重要な目的だったはずです。
 その上でしっかり勝つこと。対戦相手が格下ということだけではなく、この試合に勝つことでW杯本戦の組分けが有利に働く可能性があったからです。本戦はFIFAランキングに従ってポッドが4つに分けられ、ポッド1には開催国のカタールとFIFAランキングの上位7ヶ国が入り、以降ポッド2、3、4と振り分けられます。日本は現状だとポッド3ですが、この試合の結果如何によってはポッド2に入る可能性を残していました。ポッド2に入る可能性が高い国としてドイツ、オランダ、メキシコなどの強豪国が含まれているので、決勝トーナメント前にこれらのチームと当たる可能性が低くなっていたかもしれないというわけです。
 スタメンはオーストラリア戦と比較して吉田と山根以外9名入れ替えているのだから、1つめの目的である「テスト」の意図は多少あったのだと思います。ただし、オーストラリア戦に出場したメンバーを主力と考えているのならば、そのうちの誰かが故障したり、あるいは試合の途中で交代したりするメンバーを見出すことが必要なので、ここまで総入れ替えに近い形になってしまうと、その意図は汲み取れません。選手を試すとしても久保や旗手、上田はともかく、川島、原口、柴崎のスタメン起用は疑問符がつきます。彼らがどれぐらいやれるのかは今更試すことではないだろうし。
 内容としても前半は単調なパス回しが多く何度かシュートは放つものの相手ゴールを脅かすような展開はありませんでした。そればかりかコーナーキックから相手に先制を許す始末でした。結局後半には旗手、原口、柴崎は交代となり、代わって伊東、守田、田中碧が入ったことで一気に活性化はしましたが、それは逆にスタメンと控え組とでは明確に差があることを証明してしまったように思います。

カタールW杯に向けた23名はどうなるのか?

それを踏まえてカタールW杯に向けたメンバー選出の予想をしてみます。
ゴールキーパー3名でそれ以外のポジション各2名ずつという構成で考えてみます。

ゴールキーパー:権田、川島、谷
 最終予選で最も出場時間の長かった権田が本戦でしょう。オーストラリア戦はファール判定に救われたもののそれ以外は安定していたと言えるでしょうしね。問題は2ndゴールキーパーなのですが、ベトナム戦で谷かダニエル・シュミットを試しておくべきだったのですが選ばれたのは川島でした。ベトナム戦の失点は川島のせいとは言い切れませんが、それでも全盛期の反応ならば止めていそうな気はしますし、谷、あるいはダニエル・シュミットだったら?と思わずにはいられません。本戦に精神的支柱ということで招集するのになんら疑問はないのですが、やはり3rdゴールキーパーと考えておくのがちょうど良いと思っています。

センターバック:吉田、富安、板倉、谷口
 センターバックはこの4名でほぼ確定じゃないかと思います。富安はケガ次第でしょうが復帰していれば間違いなく1stチョイスです。吉田もキャプテンとして外せないでしょう(たまにポカはありますが)。この2人の控え候補として板倉、谷口を上げます。今回も招集されました(板倉はその後辞退)し、2人ともボランチもこなせるのでそちらのバックアップという意味でも確定でしょう。植田はベトナム戦でも起用がなかったところを見ると序列はさらに下がっていると考えると主力がケガなどで外れない限り可能性は低いでしょう。

右サイドバック:酒井宏樹、山根
 右サイドバックも酒井が復帰する前提であれば、酒井宏樹、山根で確定でしょう。右ウィングで躍動した伊東を活かす上でのバランスも良いし、クロスに定評のある酒井、カットインもできる山根とどちらも特徴を持っています。室屋も良いのですが伊東との相性を考えると序列は覆せないかなと思います。

左サイドバック:中山、長友
 右とは対照的に問題を抱えているポジションと言えます。今回の最終予選でかなり多く批判が集まった長友の起用ですが、確かに守備への戻りが遅かったり、後半にかけて運動量が落ちたりなどの問題が多く、全て中山と途中交代しています。ただ中山がスタメンで出た試合ではそれほど良いとも言えなかったのが現状で、現状はスタメン長友で途中から中山が一番機能していました。このまま本戦も交代枠が「5」であれば2人で左サイドという選択も致し方ないのかもしれませんが、ベンチ入りできる人数は限られているので確実に必要な交代枠ができてしまうことや、この2人のどちらかが故障してしまう可能性を考えると、早急に他の選手を見つけなければならないですね。ちなみに中山はチームではセンターバックをやっており、長友もチームでは小川が左、長友が右という起用のされ方もしていて、そんな2人を脅かすことすらできないとしたら左サイドバックの人材不足は深刻でしょう。

MF(ボランチ):遠藤、守田、田中碧
 4-3-3の布陣をメインとして考える場合、遠藤、守田、田中碧がベストにして唯一の選択肢とも言えるでしょう。ベトナム戦でさらにそれが裏付けされた印象でした。となるとそのバックアップメンバーがほしいところですが、現状で選ばれているのが原口、柴崎で、今回の予選で批判の多かった2人ですね。原口は4-2-3-1の2列目もできるということで結局選ばれそうな気もしますが、やはり以前と比べるとそこまで機能していない印象があるので、ぜひ新戦力を探してほしいところです。川崎の橘田、名古屋の稲垣、ロストフから神戸に移籍が決まった橋本など、中盤の選手はそこそこ層が厚いと思うので。旗手は今回のベトナム戦だけで失格とされてしまうのはかわいそうな気がします。守田、田中碧と元川崎勢で固めたときにどれぐらいやれるかを見てみたい気がしますね。

右ウィング:伊東、久保
 予選で日本代表の救世主となったのはまぎれもなく伊東でしょう。スピードに乗った突破、中にはいっての決定力、さらにはプレースキックもこなすなど八面六臂の活躍を見せてくれました。伊東は当確として他の候補となると難しいですね。とりあえず久保はなんだかんだで選ばれそうな気はしますが、ベトナム戦のようなパフォーマンスだと正直厳しいですね。かつて4-2-3-1を主戦法としていたときに久保、堂安、南野が2列目として絶対的な印象がありましたが、今回は堂安を代表からはずしていますしその線はあきらめたんですかね?ともあれ、久保は4-2-3-1時のトップ下やチームでは左ウィングもやったことがあるので、ユーティリティー性も含めて候補でしょう。

左ウィング:南野、三苫
 こちらも一番使われた南野を1stチョイスにしますが、正直左ウィングはあまりあっていない印象でした。ベトナム戦でも無理やりシュートを打つような場面が目立ち、まわりを使うようは自分でなんとかしたいタイプなのかもしれません。その結果フォワードの上田とポジションが重なることもあり、貪欲さが裏目に出た感じもします。4-2-3-1ならばトップ下で良いと思うんですが、4-3-3だとトップとの相性がより重要になってきそうです。三苫を2ndチョイスとしましたが、23名のメンバーということでいうと当確にしても良いかもしれません。ただベトナム戦の感じだとスタメンというよりはジョーカー的な役割の方が合っていそうです。というのも仕掛けの際にややためてから仕掛ける傾向が合ってスペースがあったほうがより大きな仕事をしてくれそうなので、オーストラリア戦のように後半投入に適正があるのかもしれません。

センターフォワード、ワントップ:上田
 4-3-3にしろ、4-2-3-1にしろ森保監督はワントップ気味のフォワードを置きたい印象があるので、現状では上田になるのではないでしょうか。ベトナム戦では決定機はいくつかあったもののゴールには結びついていませんが、戻っての守備だったりポジションの流動性だったりを考えると選ばれそうな気がします。ただやはりゴールという目に見える結果がほしいところです。古橋が復帰すれば状態次第ですが候補には上がってくるでしょう。ほかだと今回招集されながらベトナム戦で出番のなかった林は可能性は低そうですし、森保監督なら結局大迫や浅野に行きそうですがはたして・・・。

ということで、現状で確定と考えられるのは、

GK:権田、川島、谷
DF:吉田、富安、板倉、谷口、酒井宏樹、山根、中山、長友
MF(ボランチ):遠藤、守田、田中碧
FW:伊東、久保、南野、三苫、上田

とするとこれで19名なのであと4名となります。

 個人的に推したいのはまずはやっぱり旗手ですね。
3MF、左ウィングのバックアップ、あとは左サイドバックのバックアップもこなしてくれれば言うことなしなんですが、先述したようにベトナム戦での評価で呼ばれなくなる危険性があるのが心配ですね。
 それからビーレフェルトの奥川ですね。チームはやや低迷中ではありますが、ドイツの1部でスタメンを確保していますし、左ウィング、トップ下、3トップの2列目をこなしているユーティリティーぶりも発揮してくれています。
 他だとグラスホッパー・・・と思ったら今はウォルヴァーハンプトンの川辺、AZの菅原、シュツットガルトの伊藤あたりはヨーロッパのチームでスタメンとして活躍しているということでどこかのタイミングで招集してほしいところですね。

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