#47 個別機能訓練に必要な評価項目(前半)
こんにちは
tatsuyaです。
前回までは、個別機能訓練の計画書の作成について整理しました。
本日は、「個別機能訓練に必要な評価項目」について整理していきたいと思います。
利用者さんの全身状態、心身機能の評価を行う際に、どのような評価スケールを用いているでしょうか。
基本的なADL(日常生活動作)の評価は、事前アセスメントで「生活機能チェックシート」を用いることで行えるかと思います。
今回は、心身機能を評価する上で、定期的に行った方がよい評価法をご紹介します。
なるべく全体を網羅しようと考えていますが、私は理学療法士でありますので身体機能評価に寄っているかとは思います。
私自身、当事業所で使用していますが、今のところ大きな支障なく、すべての利用者に適応できている評価項目であると考えています。
1.認知機能評価
①改定長谷川式簡易知能検査(HDS-R)
基準:30点満点で20点以下が認知症の可能性が高いとされています。
※作業療法士さんでは、HDS-RよりもMMSE(Mini-Mental State Examination)を使用する場合も多いかと思います。
これは、MMSEのほうが国際的に広く使用されていることや包括的に認知機能の評価が行えることなどを理由であると考えます。
日本では、HDS-Rのほうが認知度が高いため、ケアマネジャーさんとの共通理解のしやすさとしても、私はHDS-Rを使用しています。
まずは、身体機能評価を行う前に、認知機能の評価を行うことが重要です。これから私たちが指示することがどれだけ理解できるかを知ることが重要であるためです。
2.身体機能評価
①握力測定
方法:握力計を用いて左右の握力を測定します
基準:一般高齢女性においては10kg前後で大体の日常生活動作は遂行可能とされています。
②足関節の角度
方法:足関節の背屈(足先をすねに近づける)角度を計測します。
基準:正常背屈角度は20°でありますが、高齢者では10°あれば通常歩行は大きな問題になりません。0°(〜5°)以下の場合は、つまづきなどの転倒リスクが生じるといわれています。
応用:同時に、足指の状況と足裏の胼胝(たこ)の有無も確認しておきましょう。
③CS-30(30秒立ち座りテスト)
方法:椅子から30秒間において何回起立できるかを測定します
基準:一般高齢女性において10回未満の場合、下肢筋力低下を疑います。
応用:特別な器具は必要とせずに客観的な指標を得られる面ではメリットはありますが、片足ずつの測定は困難であります。左右どちらかに明らかに問題(低下)が生じている場合は、それも記載しておくことをお勧めします。
④片脚立位保持時間
方法:つかまらずにできる限り長く片足で立つ
基準:一般高齢女性において1秒未満の場合、下肢筋力低下を疑います。
応用:公式記録としては、何もつかまらずにできるかということですが、1秒未満の方も少なくないと思います。
その場合は、片手支持した場合もしくは両手支持した場合にどれだけ片足で立てるかも記録も残しておくと、経過を追って身体機能の変化を捉えやすいです。
⑤前方リーチテスト
方法:肩幅に足を開き片腕を90°上げた状態から、壁に用意した定規にそって可能な範囲で上肢を前方に伸ばします。
基準:一般高齢者では、15.3cm以下の場合、転倒リスクが上昇するといわれています。
⑥下方リーチテスト
方法:立位の状態で肩幅に足を開き、足の前にある物を拾う。
基準:床の物を拾えない場合は、転倒リスクがあるといわれています。
⑦TUG(Timed Up and Go)
方法:肘掛け椅子から立ちあがり、3m歩行を行い、方向転換し、椅子に戻り座るまでの時間を測定する。
基準:一般高齢者では、13.5秒以上の場合、転倒リスクが上昇するといわれています。
バランスの検査に関しては、それぞれに基準が設けられていますが、一つの検査結果で判断せずに、複数の検査結果を用いて総合的なバランスを把握することが重要とされています。
今回も、長くなりすぎるので2部構成で公開します。
3.まとめ
以上です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回は、「評価項目(後半)」について整理していきたいと思います。
それではまた、次回お会いできれば嬉しいです。
介護報酬を追い風に、一歩ずつゼンシンしていきましょう。
「制度に関して興味がでた」「介護保険をもっと知ってみたい」と思っていただけましたらサポートをして頂けるとありがたいです! 今後も介護報酬の改定が施設にとって少しでもプラスになるように継続して行なっていきたいと思いますのでよろしくお願いします!