対立はチャンス
今回から、光と影についての具体的な話に入っていきますね。
まず、わかりやすい事例で考えてみましょう。
ある会社での会議中のできごと。社として、ある事業へ投資するかどうかを議論しているとします。
部長A「いまここで投資をすべきだ」
部長B「いや、まだ早い」
意見は真っ向から対立。部長Aは投資するとこんなに良いことがある、今の機会を逃せば将来大きなチャンスロスを生むと主張し、部長Bは拙速な投資が現場を疲弊させることや、失敗した場合のリスクについて力説します。そのうち互いにヒートアップして、言葉もとげとげしくなり、どちらも「自分が正しい」と、相手を論破しようとして一歩も引きません。周囲はシーンとなって、二人が意見を交わせば交わすほど対立は深まっていくばかりです。
「光と影」のもつ可能性
ここで、上記二人のやり取りを冷静に客観的に眺めてみると、そこにある可能性が見えてきます。
二人は、それぞれ「投資」というものの何に焦点をあてているのでしょうか?
部長Aは、投資の光(良い側面)です。
部長Bは、投資の影(悪い側面)です。
当然ですが、投資には、良い面も悪い面もありますよね。
人間は、誰しも無意識的な発想・思考のパターンを持っており、何かを見たときにその事柄のどこに焦点を当てるのかは、その人固有のパターンによって異なります。二人は、それぞれ「投資」の一部分だけを見ているのですが、そのことには気づいていません。
もし仮に、二人が自分の正しさを主張しようとする戦いを脇に置いて、自分に見えていないものを相手から学ぼうとすることができるなら、広い視野から、当社を守りなおかつ成長させるための戦略や現実的な計画について討議するために時間を使い、最善な道を選べる可能性が広がることになります。
そういう意味で、「対立はチャンス」です。
ただ、対立をチャンスとして活かせるのは、目の前で起きている出来事を別次元で捉え、そこに新しい可能性を見出すことができる理解力を備えており、自分と対立している相手を受容して傾聴することができるリーダーだけです。
対立をチャンスに変えていくには?
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