見出し画像

【読書日記】10/3

自分でもびっくりするぐらい漫画が好きです。ビッグコミックオリジナルのような漫画雑誌を今でも買っています。子供の時に友達と漫画を一緒に読んだ時のときめきを忘れられなくて、今でもそれを再現したいのだ、と最近気づきました。

『うちの小さな女中さん』は表紙が気に入って、地元のツタヤで買いました。表紙の女の子の名前は野中ハナ。14歳の少女で女性の翻訳家の家で働くことになります。びっくりしたような彼女のかわいい表情が印象的です。

生真面目でコツコツ働き、家事もうまい少女です。雨が降り出したときに、傘もささずに、翻訳家の先生を迎えに行く場面が好きです。先生の傘を濡らしたくないという健気さ。滅私奉公とも言えますが、ハナは自分のことを大切にしてくれる先生に尽くしたいのです。

昭和の初期はみんな丁寧に暮らしていたんだ、と感心します。着物を自分で仕立てて、大切に着て、洗うときは縫い目をほどいてバラバラにした布を、洗濯板で洗ったそうです。一枚の着物を仕立て直し、着続けることも行われていました。

お釜でご飯を炊く場面もあって、祖母の家のことを懐かしく思い出しました。祖母の家にもお釜があって、それで炊いたご飯は美味しかったです。地味で静かなまるで小津安二郎の映画のような漫画ですが、ふくよかな味わいが良かったです。

画像1

『四国遍路』は日曜日に書いた岩波写真文庫の一冊です。1956年の発行で当時の値段は100円。四国八十八ヵ所のすべての写真と解説が収められています。モノクロの写真が味わい深くて、まだ自分の生まれていない頃の風景が写されているのに、何とも言えない懐かしさを感じました。

当時の人々の写真が多く収録されているのですが、どの人も真剣な表情であることに心を打たれます。1956年といえば、高度経済成長期であり、精神的なものよりも物質的な豊かさが求められたのでは思いますが、それは浅はかな考えだったようです。

お遍路さんがお寺に泊まることを、通夜といったそうです。その通夜の様子の写真があるのですが(46ページ)、みんな真剣な表情でお坊さんの説教に耳を傾けています。自分の中の苦しみや、煩悩をなんとかしたいという表情にも見えます。いつの時代であっても人間の生きづらさは変わらなくて、精神的なものが心の拠り所になるのだと思いました。

画像2



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?