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黒島


#一度は行きたいあの場所

おばあちゃんが住んでいた、あの島。
鹿児島港から船に乗って6時間。
おばあちゃんのお家へ行くときは、生まれも育ちも東京の私にとって、ひとつの冒険で、胸が高鳴った。


信号機が一つもなくて、車もほぼほぼマニュアル車。夜は星が綺麗で、近くの坂道の真ん中に寝そべって、満天の星空を眺めるのが大好きだった。
昭和の頃の古き良き時代があの島には残り続けていた。



そう言えば、小2の時に。
雑誌の応募者全員プレゼント企画が大好きで、おばあちゃんの島から応募した事がある。
島で唯一の郵便局へ行って、応募に必要な切手を購入し、出版社へ送付した。差出し人のところには、東京の住所を書いて。

2週間程おばあちゃんのお家で過ごして、東京へ戻った時に、応募したプレゼントがポストに届いていて、とても感動したのを今でも覚えている。
あまりにも田舎で時空が昭和で止まっていたから、東京や現代と繋がっていたことに驚いた。
それからというもの、おばあちゃんからの小包が届くたびに、「あの郵便局からだ。」と、親近感に似た感情を抱いて、嬉しくて嬉しくて、開けたことも懐かしい。



けれども。
おばあちゃんが逝去してからは、一度も訪れたことがない。

あの島は、今も昭和の古き良き時代のままなのか。
時空は止まっているのか。

いつか確かめに行きたい。
おばあちゃんの面影を、想い出を心に抱きながら。

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