【1日1事例】運動と栄養による動脈硬化のアンチエイジング #運動 #栄養 #動脈硬化

参考文献:運動と栄養による動脈硬化のアンチエイジング
筆者:藤江隼平 、家光素行
発行日:2019年
掲載元:Glycative Stress Research
検索方法:インターネット
キーワード:動脈硬化(スティフネス)、加齢、身体運動、栄養

【抄録】
・国内・外の年間死亡原因に、心血管疾患は上位にある。
・心血管疾患のリスクである動脈硬化度は加齢にともない増大する。
・高齢期における継続的な有酸素性運動(ジョギングや自転車運動)は、加齢によって低下し た動脈の血管内皮機能を改善させ、血管拡張作用を介して動脈硬化度を低下させることが知られている。ま た、有酸素性運動だけでなく、日常生活における身体活動の増加や身体不活動の低下によって動脈硬化度を 低下させる効果も認められている。さらに、近年では、ストレッチ運動によっても動脈硬化度を低下させる 可能性も報告されている。加えて、近年では運動だけでなく、栄養摂取との併用効果によって動脈硬化度を さらに効果的に低下させる併用療法が検討されている。
・今後、さらに科学的根拠に基づく運動や栄養摂取による高齢者の動脈硬化度を低下改善させる効果が明らかになることが期待される。
メモ
・加齢に伴う動脈硬化度の増大は、大動脈のような弾性 動脈血管の硬化と血管内皮機能の低下が主な要因である。
・加齢に伴い血管内皮機能の低下 を介した血管拡張の低下とともにエラスチンの低下とコ ラーゲンの増加などの動脈血管構造の変化が認められ、血 管壁の硬化や血管壁の肥厚といった機能的・形質的な変化 が動脈硬化を引き起こす要因となっている。そのため、動 脈内皮機能と動脈伸展性の維持・向上が加齢に伴う動脈硬 化の発症リスクの軽減につながる。
・1日 30分、週 3日以上の有酸素性ト レーニングを 8 週間程度の実施により、加齢に伴う動脈硬 化度の増大を予防・改善できると考えられる。
・有酸素性トレー ニングだけでなく、柔軟性を高めるようなストレッチ運動 においても、加齢に伴う動脈硬化度の増加を減弱させる効 果が認められることから、高齢者などの低体力者に対する 運動導入時には、ストレッチ運動を取り入れることは有効 であるかもしれない。
・ストレッチ運動による動脈硬化度の低下効 果はストレッチ運動を実施した部位でのみ生じる可能性が 示されており、動脈硬化度の低下を目的としたストレッチ 運動の導入においては注意が必要かもしれない。
・動脈硬化度に対するレジスタンストレーニングの効果は、運動強度によって効果が異なるが、高強度のレジスタンストレーニングは好ましい影響を及ぼさないと考えられ る。
・しかしながら、高強度レジスタンストレーニング後に有酸素性トレーニングを組み合わせるコンバインドトレーニン グでは、レジスタンストレーニングによる影響を消失させる こと や、高強度レジスタンストレーニング後に、低強度 レジスタンストレーニングを実施した場合でも動脈硬化度 の増大を予防できるということが報告されている。
・ただし、これらの結果は、若年者での検討であり、中高齢 者 に おいて同じ効果があるかは今後の検討課題である。
・高齢者に対 しては、低強度および中強度の身体活動時間を増やし、 身体不活動時間を減らすことで加齢に伴う動脈硬化度の 増大を予防・改善させることが できると考えられる。
・有酸素性運動やストレッチ運動 といった運動様式だけでなく、日常の生活活動を増やす ことによっても動脈硬化度の増大を軽減できることが期 待できる。特別な施設がない、運動時間がないといった場 合においても身体活動時間を増やす、身体不活動時間を減 らすといった指導でも効果は期待できるかもしれない
加齢による動脈硬化度の増大を予防・改善するエビデンスのまとめ
①有酸素性トレーニ ングの場合、1 日 30 分、週 3 日以上の中強度の有酸素性 運動を 8 週間程度の実施
②ストレッチ運動の場合、1 日 30−45分、週 3日以上の全身のストレッチ運動を 4週間 以上の実施
③レジスタンストレーニングの場合:中強度や低強度での実施もしくは有酸素性運動との併用の実施が望ましい
④身体活動の場合:低強度から中強度までの身 体活動時間の増加と身体不活動時間の減少の実施
⑤運動 および栄養摂取(ラクトトリペプチドなど)の単独よりも 併用の実施、といった療法が効果的であると考えられる

参考URL:
http://www.toukastress.jp/webj/article/2019/GS19-28J.pdf


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