【1日1文献】車椅子ユーザーと取り組むバリアフリーマップの作成~介護付き旅行会社で働く経験を活かして~#バリアフリーマップ#介護旅行#QOL

参考文献:車椅子ユーザーと取り組むバリアフリーマップの作成
~介護付き旅行会社で働く経験を活かして~
筆者:大関 純平大橋 日出男
発行日:2016年
掲載元:九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2016 巻 (2016)
検索方法:インターネット
キーワード:バリアフリーマップ介護付き旅行QOL

【目的】
・弊社は,「だれでも,どこへでも行けるのが当たり前の社会をつくる」を理念に掲げ,看護師や理学療法士が,旅行の企画から当日の介護まで行う「介護付き旅行」とバリアフリーの啓発に取り組んでいる.
・創業3年目を迎え,延べ100組以上の車椅子ユーザー(以下,当事者)や要介護者に旅行や外出を提供した.
・安全で楽しい旅行の提供の為には,事前のバリアフリー情報の収集が不可欠である.
・例えば,身障者用トイレがあるか,手すりの高さはどうか,目的地は車椅子で移動できるか,など多くの情報を把握する必要がある.
・情報収集が不十分だと,段差があってトイレに行けない,目的地にたどり着けない,など現地で困ってしまう可能性が高い.
・しかし,その情報収集には長い時間がかかる上に,聞いていた情報と現地の状況が異なることがあるため,情報収集の仕方にも十分配慮する必要がある.
・他方,当事者が旅行や外出をする際にも,同様のことを調べており,正確なバリアフリー情報を簡便に得ることができれば,旅行や外出がもっと身近なものになるという声を聞いた.
・そこで今回,当事者と協働し,バリアフリーマップを作成した.
・当事者の目線と介護付き旅行会社のノウハウを活かしたマップを作成し,情報を届けることで,多くの当事者が気軽に旅行や外出ができるようになり,出かける喜びや生きがいを感じ,QOL向上に繋がると考えた.
・当研究では,バリアフリーマップ作成の活動報告を行う.

【方法】
・バリアフリー調査の許可が得られた福岡県内の観光地を対象に,当事者も同行しバリアフリー環境の撮影を行った.
・撮影箇所は,身障者用トイレ,坂道や不整地等とした.
・撮影には,360度撮影できる特殊なカメラ(RICOH THETA)を用いた.
・その写真をQRコード化し,QRコードをスマートフォンで読み込むと,360度見渡せる写真が閲覧できるように設定し,観光地のマップ上に貼付した.
・そのマップを当事者に使ってもらい,使い勝手や不十分な点を聴取し,その結果を基に,再び撮影や編集を行い完成に近づけた

【結果】
・計20名の当事者や医療・福祉関係者から聴取を重ね,バリアフリーマップを作成することができた.
・聴取の結果,「360度の画像が見えるのでトイレ情報が分かりやすく役に立つ」「事前に詳細な情報が得られるから安心できる」「一人で行けるかどうかの判断材料になる」などの意見が多数挙がった.
・加えて,段差のない車椅子推奨ルートや坂道の記載も行い,マップの見えやすさに配慮することができた.
・その他,「飲食店の情報が欲しい」「人的サービスに関する情報も欲しい」など新たなニーズも聞くことができた.

【考察】
・観光地や街中には,私達が気づかないバリアがたくさんある.
・当事者が同行し,一緒に撮影を行い,多くの方に聴取を行ったことで,利便性や見やすさを兼ね備えたマップが作成できたと考える.
・また,360度見渡せる画像を用いた事で,文字や写真だけでは伝えられない詳細なバリアフリー情報を伝えることができた.
・それら情報提供が,実際に当事者の外出を促進するのか,今後の検証を重ねたい.

【まとめ】
・当事者と協働し,バリアフリーマップの作成に取り組んだ.
・当事者からの聴取を重ね,利便性のあるマップを作成することができ,新たなニーズも聞くことができた.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2016/0/2016_104/_pdf/-char/ja 

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