【1日1文献】外来通院中高齢者における筋力に及ぼす要因の検討#高齢者#サルコペニア#食事摂取量

参考文献:外来通院中高齢者における筋力に及ぼす要因の検討
筆者:熊谷 琴美伊藤 勇貴岡田 希和子
発行日:2021年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 2 巻 (2021) 1
検索方法:インターネット
キーワード:高齢者握力下腿周囲長食事摂取量サルコペニア

【抄録】
・診療所外来の疾病治療中高齢者に対し,筋力低下の現状を明らかにすることを目的とした.
・診療所外来へ通院中の 65 歳以上の高齢者 103 名を対象に,男女別で握力低下に及ぼす特徴を身体計測値,血液検査値,栄養状態,食事調査等,筋量(下腿周囲長)を含め検討した.
・男性握力低値群と握力・筋量低下群で,鉄,葉酸,カリウム,ビタミン B2,ビタミン K で有意差を認め,たんぱく質や野菜の摂取量が少ない傾向であった.
・握力・筋量の比較では上腕筋量や MNA®-SF で有意差が認められたが,血清アルブミンは有意な差は認められなかった.
・握力,筋量,栄養状態の測定と食事摂取量を把握する必要性が示唆された.

メモ
・近年多 くの臨床研究,疫学研究から握力低下が死亡率, 低栄養,ADL 低下の潜在的な予測因子であるこ とが報告されている6)7)
・これらのことから,介 護予防の領域で評価として用いられているが,診 療所外来高齢者の握力と栄養に関する評価に関し ての研究は少ない.

・血清アルブミンの数値に関して先行研究では,日 本では 4.0g/dL 以上,台湾では 4.4g/dL 以上を カットオフ値で用いられている14)15).
・日本の地 域高齢者の血清アルブミンとサルコペニアの関連 について,30 ヶ月間追跡した先行研究では,ア ルブミン 4.0g/dL 以下かつサルコペニアに該当 する群で,30 ヶ月後の ADL 障害のリスクが高く なり16),台湾の地域高齢者の先行研究では,4.4g/ dL 以下は死亡率が高くなると報告されている15).

・男性低値群 や握力・筋量低下群は,たんぱく質エネルギー比 がともに他の群に比べ低く,たんぱく質の摂取量 が低い傾向がみられ,鉄の摂取量に関しては,肉 類,魚介類,乳製品の動物性蛋白質の摂取量が共 通して摂取量が低いことが影響したと考えられ た 
・地域在宅高齢者の食事の質とサルコペニアに 関する報告では,多様な食品群の摂取や野菜,果 物を多く摂取するなど健康に重視する食事内容 は,筋力,筋肉量の低下のリスクが少ないと報告 があり18),本研究において男性低値群や握力・筋量低下群では,野菜の摂取量が他の群に比べ少な いことが影響しており,カリウム,葉酸,ビタミ ン B2,ビタミン K の摂取量低下にも繋がってい ると示唆された

・高齢女性の栄養と運動の先行研 究によると,レジスタンストレーニングと全粒粉, 果物,野菜,魚,多価不飽和脂肪酸,オリーブ油, ナッツなどの消費が多い健康的な食事のパターン の組み合わせで,瞬発力の改善になることや,肉 の消費量が多い群は,レジスタンストレーニング を組み合わせると筋力が増加することから20),栄 養食事指導による具体的な食事のアドバイスに運 動療法も加味した支援も必要であることが示唆さ れた.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/2/1/2_2.1_35/_pdf/-char/ja  

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