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ロンドンの郵便局

ロンドンに住んでもう二桁の年数が経っているので、公共のサービスに関して日本のように丁寧でプロフェッショナルなものをもらえるなんて全く期待していない。しかしたまに電車の駅で駅員に間違った情報など教えられてイラついたり、バスの運転手に交通ルール知ってんのか?って運転をされて自転車に乗ってる私と息子にぶつかられそうになったり、激怒することはたまにある。
日本と同じようにロンドンの郵便局も大きな支店以外は世襲制のように、家族代々が経営をしている所が多い。だいたいインド系の人たちがコンビニのような小さなマーケットを経営する傍らそのコンビニの中に郵便局がある感じだ。近所に3軒の郵便局がある。息子の学校の近くにある郵便局はそのエリアでは一応支店的な役目を果たしているはずなのだが、この間朝から40分待たされた。ちなみに私は開店前から並び3番目だった。次に、駅横にある郵便局はお昼休みはきっちり閉まり、たまにお昼休みじゃなくても閉めやがるので行かなくなった。最後に住宅街の中にある郵便局、ここは手際よく非常にフレンドリーで、日本からすれば当たり前のことなのだが、このサービスを家の近くのしかも住宅街で得られるなんて!と感動して以来そこに通うようにしている。今のところハズレなし、素晴らしい!拍手!!

郵便配達の人たちにも色んな人がいる。私のお気に入りは中型から大型の荷物配送の50代後半くらいの黒人の男性と、手紙や小荷物担当30代半ばくらいの黒人のお兄さんだ。前者の方は夫とは30年くらい顔見知りなのではなかろうか。とてもフレンドリーで感じがよく、夫と二人でよく冗談を言い合っている。イギリス人ならではの皮肉混じりの冗談で、お互いのこと大して知らんのによく言えるな〜と毎度感心するほどだ。後者のお兄さんは手際がとてもいい。私たちには住所が2つあるので、たまに荷物がどちらか一方にスタックしてしまい、受け取れないままなことがある。そういう時に自分の管轄ではなくてもリロケーションを目の前ですぐしてくれたりする。こんなサービスロンドンでは受けられないよ!

先日、たまに来るおしゃべりの50代後半の白人の男性が荷物を届けに来た。体調を崩してベッドにいた私はナイトシャツのまま玄関のドアを必死の思いで開け、その人のくだらない話にドアを半分閉めながらお願いだから帰ってくれと願いながら相槌を打っていた。その間に、その人の目線が私のナイトシャツ、足、顔より下に行っていることがとてもよく見えて気持ち悪くなった。あんなにマジマジと人の体を盗み見れるものかと非常に不気味だったのだ。しかも2回もしっかり覗き込んできた。翌日、私のお気に入りの手紙と小荷物のお兄さんに前日に起きたことを伝えた。すると、
「あの人は僕の代打なんだよなー。僕が配達できない時にカバーする人。話長いんだよ、サッカーの話ばっかりしてくる。僕たちは仕事上人にフレンドリーであるべきだけど、人を不快にさせるレベルのフレンドリーさ、またその不適切な見方は絶対にしてはいけないよ。僕から話しておくから」と言ってくれた。
やっぱりこのお兄さんは頼もしい。それ以来、その不気味な人は来なくなった。

夫からはそういう時は「何見てるの?」ってはっきり言わなければいけないと言われた。私は物事をはっきり言える方だと思っていたが、実はそうではなかったんだなと気付かされた瞬間だった。

プロフェッショナルなサービスを今後も求めない。しかし近所にこれだけプロフェッショナルな仕事をしてくれる人がこのロンドンにいると知れてなかなか幸せだ。

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