自分の価値は自分で決める『九龍ジェネリックロマンス』
※この記事は62話までのネタバレを含みます
何がヤバいって、ド直球に私好みの作品でした。
ヤバイ。こんな作品との出会いは久しぶり。
別のSNSのフォロワーさん経由で知りまして、
ヤンジャンアプリで数話読んだところ好みすぎて、すぐにKindleで現在販売中の全7巻購入してしまいました。
単行本化される前の63話以降も読みたいけど……
課金してアプリで読もうか悩み中です。
それではどういうところが私にぶっ刺さったのか、説明しよう。
①絵が好き
カワイイ。
作品から感じる雰囲気も好き。
作者様、私と「カワイイ」の感覚が似ていると思う。
私も同じものを可愛いと思います。えへ
最初は少し昔っぽさを感じる絵かな?なんて思いましたが、読んでいくうちに何も気にならなくなりました。
むしろレトロな雰囲気が可愛い。
主人公・鯨井令子の想い人である工藤の良さは最初はまったく分からなかったので「こいつどこがいいんだ?」と思いながら読んでいたが、今は鯨井Bという過去(?)の女の陰からか、哀愁漂ういい男に見えてきたような、見えてこないような。
でも、第8話でジェネリック鯨井を「鯨井B」と勘違いして微笑むところ、いい。きっとそれは彼女にしか見せない優しい慈愛の微笑み。
長年恋愛から遠ざかっている私ですが、遠い記憶が呼び覚まされた気がしました…ような。
あと第54話の仁王立ちでの「もっと!楽しくする。」かな。
恋する姿って、男性も女性も可愛い。
項目に入れてないのにめちゃくちゃ工藤を語る私に気づいてしまいましたが、項目にはせず次に行きましょう。
②謎が多く、考察が面白い
私は伏線張られまくりのストーリーが大好き。
あれは何だろうか?とあーだーこーだと予想しながら、考察するのが大好き。
謎の多い作品は、また最初から読み直すのも醍醐味ですよね。新しい視点での発見が今度もあって楽しい。
そもそもあの九龍とは何なのか。
九龍が見える人と見えない人の違いは何か。
工藤がこの世界を知りながら九龍に留まり続ける理由は何か。
ジェネリック鯨井は黒子まで再現されているらしいので、クローンではないと。そもそもあそこにいる第二の人間達はみなジェネリックなのか?
ジェネリックとジルコニアンの違いは何か。
シャオヘイは二人存在してる?何者?
そもそも元の鯨井令子はなぜ死を選んだのか。
まだまだ未回収の伏線が沢山あります。
工藤がこの世界が人によっては「存在しない」ことを知りながら九龍に留まりつつける理由は、やはり亡くなった鯨井令子が関係してるんだろう。
幻でもいいからその姿を見ていたい?
あの鯨井令子の部屋まで無くなってしまうのが嫌だから?
第二の自分が現れて第二の鯨井とくっつくのさえ嫌?
鯨井令子の愛した九龍を、せめて自分の中では存在させ続けたい?
彼もまた「見たいものを見る」状態なのか。
でもこの漫画は、それを否定しない。
「ホンモノ」こそが正、とは言わない。
「ジェネリック(後発)」「ジルコニア(偽物)」がいいと思っているならそれでいいじゃないか、と。
そんなふうに認めたこの物語をどんな終着点に持っていくのか。
主人公は後発的な存在である、ジェネリック鯨井令子。
彼女はこの九龍でしか生きられない。
7巻を読み終えた時点で、工藤が愛しているのはやはり亡くなった鯨井令子であることが分かるが、ジェネリック鯨井と工藤もまた、共依存的な関係であると思う。
その幻は二人が互いが望む限りは続くかもしれないが、その世界を取り壊そうとする人達もまた存在する。
この物語、どう終わる。
どう終わらせるんですか、先生。
③好きな言葉が多い
私が読む漫画を選定する最も重要な基準。
話題になってるしとりあえず目通しとこ!というのもあるけど、一つでもいいので、その作中の言葉を見た時に「いい」と感覚的に思ったものを選ぶと、あまり失敗しない気がする。
好きな台詞をいくつか紹介します。
たぶん他にもあるけど、とりあえずこんなとこ。
最近になっていろんな漫画を読むようになったけど、なかなかドンピシャで好き!と言えるものには出会えないよね。
こちらは、私的に歴代トップ3には入る作品でした。
ラストまで楽しめたら一番最高だけど、仮に思い残すことがあるラストだったとしてもいい。
しかし、まだまだ未回収の謎も多いので、これからも楽しみたくさんです!
おわり。
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