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【エッセイ】義務教育の開始は、子育て終了の合図ではない

「失礼ですけど、シングルですか…?」

先日の運動会でお声がけ下さった方から言われた一言です。
被せ気味にいえいえ!妻、いますよ!!と否定したものの、状況を考えればそうなるのかもなと思いました。

つぶやきにも書きましたが、今年は小学校・保育園それぞれ運動会の日程が被りました。
私はPTAのお手伝い仕事がありましたので長女、妻は次女をそれぞれ観戦することにしました。
帰宅後に動画や写真を共有し、それぞれの子らから感想の弾丸を撃たれ続けました。

当日がこのような状況だったのもありますが、恐らくお声がけ下さったその女性は、PTAや長女の三者面談等で私が学校に来ている場面を多く見ていた為に、シングルと勘違いなさったのだと思います。

当然妻が参加できるときは一緒に行きます。
しかし彼女は土日祝休みの一般的な働き方をしている会社員、一方の私はシフト制の飲食系会社員と、平日に催されるものが多い小学校関連のあれこれは、平日休みが多い私の参加率が高いのです。
また、毎年のPTAに関して、我が家はジャンケン制度を導入しています。去年も今年も私が負けた為、連続で役員仕事をしている、ただそれだけなのです。

勘違いをされたことに関してだけ言うと、特段思うところはありませんでした。
妻は交友関係を必要以上に広げるタイプでもありません。それも、彼女の存在が希薄になっている原因の一つでもあります。
気配の感じられない謎の女。ミステリアスで非常によい。好き。

ただ、この台詞。私がもし女性の立場で参加していたら、果たして投げかけられていたでしょうか?


以前母から「保育園の送り迎えする父親、増えてきたよね。昔なんてあんなにいなかったよ」と言われたことがあります。
育児参加をしない男性についてはSNSでも議論に上がることが多々ありますが、実際に保育園へ向かう道中を見渡せば、スーツ姿で自転車を漕ぐお父さんを沢山見かけます。
なんだ、結構みんなやってるじゃん。頑張ってるよお父さん達も。
長女が卒園するまでは、私もそう思っていました。

小学校に上がった途端、状況は一変します。
PTA等の係はもちろん、面談待ちの廊下などを見渡してみると、圧倒的に女性ばかりなのです。

あんなにいっぱいいた同志達、どこ行った??

姉が2人いる為、男性よりも女性の方が慣れている私でも、さすがに居た堪れなくなる場面が何度もありました。

小学生になると随分手がかからなくなるのは事実です。子供達は自立に向けて、それぞれのペースで成長しています。
しかし、支援をまるでしなくて良いわけではありません。むしろ6年もの年齢差がある集団が、同一の場所で生活をしているのです。生じる問題は多岐に渡り、また解決法もそれぞれに違います。
それら全てを教員だけで対応するのは不可能ですし、何らかの形で保護者が関わらなければ学校という場は成り立ちません。
保護者が。そう、保護者が。

母親が、ではないのです。保護者が。


先程書いた疑問ですが、もし私が母親だったら、あの状況でわざわざシングルですか?と聞かれることはなかったと思っています。
それはつまり、質問者の中で「学校関連の手伝いは母親がするもの」という考えが前提としてあったからに他なりません。受付も校外見回りも、父親不在がデフォルトだったのです。
当然ですが、質問なさった方を責めているつもりはもちろんありません。女性が自然とそう考えてしまう現状を嘆いているだけです。

保育園の送り迎え以降、なかなかお目にかからなくなったあの人やこの人が、実はご家庭では率先して家事をこなしていることを祈りつつ、子育てに関してもっと男女がイーブンな関係になるにはどうしたらよいのかしら?と考えてしまいました。

食費になります。うれぴい。