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球体恐怖とミソジニー
「
中身が詰まっていて丸みを帯びた,弾力のある立体的な身体は母以外であってはならない,そして母なるものはすべて家の中に閉じ込めなくてはならない,無賃金で働かせることで自尊心を削がなくてはならない,苗字を剥ぎ取らなくてはならない,外に出るという発想が浮かばなくなるほどに序列を叩き込まなければならない
薄っぺらい身体に重すぎる頭をぐらぐらと載せた適齢期の若い女たちは従順なこどものようで好ましいが油
そのあとの湿度にゆれる
老いた愛を弔いにいく
真夏の湿度に濡れていく なまぬるい血がこそばゆい
汗よりも重く涙よりも鈍い
海よりもあたたかく雨よりもなじむ
鋭さが痛みと近いのならば言語とも近いのだろう
しかし饒舌の豊かさではなくただ湿度があるだけなのだ
怠惰に無言を蕩尽してはならない
毎日首から落ちる庭の芙蓉をしなびぬうちに掃くつもりが
蝉まで息絶えて仰向けに落ちている
みつめながらとらわれる 取り残されて静寂のは
蚕の死骸とただしい眠り
ざわざわと喧しい静寂の その音の粒を解像しようとしたとき
肌の下ではるか昔の指の記憶がよみがえってきたので
灰色の光とともに揺れる雨露を覗きこみただ風が吹かないことを祈る
かつてと書くわたしが現在に生きるためにただしく眠らなくてはならない
細い糸を撚り薄く透ける布を織って顔に何層も巻きつけるとき
長い髪が巻きこまれともに織られてしまって解くことができない
片手に乾いた花をにぎり粉々にする 片脚を