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グランマ・モーゼス展に行ってきた

先日、自宅から往復4時間かけて、世田谷美術館「グランマ・モーゼス展」に行ってきました。その感想と感じたことを綴ります。

ちなみにこの企画展、おすすめ度は(個人的に)かなり高めです。気になる方はぜひご参考ください。



初めに、グランマ・モーゼスさんって?

皆さんはグランマ・モーゼスさんがどなたかはご存知ですか?

私の場合は、

どこか美術館に行きたいな〜と思って「東京 美術館」で検索していたところ、可愛い絵と共に紹介されていたこの「グランマ・モーゼス展」を知り

それから、モーゼスさんについて知りました。

チラシによると、

モーゼスさんは70代から絵描きを始めたごく一般的な農婦でしたが、80代になって作品が評価され、アメリカの国民的画家となった凄腕おばあちゃん。101歳でその生涯を終えるまで、幾つもの作品を描き続けたといいます。


70歳から絵を描き始めたというだけあって、彼女の絵は一般的な画家の絵とは異なります。

なんというか、モーゼスさんの頭の中に描かれた心温まる光景を、作品を通して見れる感じなんですよね。

上手な画家さんは、その素敵な光景をそのまま伝えてくれようと表現を凝らしている感じがするのですが、

モーゼスさんの絵は彼女の想像力豊かな脳内のフィルターを通して、美しい光景を私たちに見せてくれるので魅力的なんです。



・・・話が逸れましたが、モーゼスさんはこんなユニークな人生を歩んだ、でもどこか親近感のあるようなおばあちゃんなのです。



行ってきた感想


〜絵について〜

・暖かな暖炉。美味しそうな出来立ての料理。編み物をしているおばあちゃん。くつろぐ犬。はしゃぐ子どもたち。

・クリスマス前日の、ソワソワした夜。雪が降っていて、深夜なのに家々からオレンジ色の光が漏れている。子どもたちは眠れないみたい。

・春空の下、お花がいっぱい咲いている日曜日。朝からおめかしして、村の小さな教会に向かう家族。教会から帰ればみんなでお菓子を作って、楽しいピクニックをしよう。

・いらっしゃい、とおばあちゃん。感謝祭の朝、おとなたちはみんなでご馳走の準備。子どもたちは外でソリ遊びをしたり凍った湖でスケートをしたりと忙しい。お昼になって冷えてお腹を空かせた子どもたちが帰ると、リビングは賑やかで暖かな雰囲気に包まれる。


モーゼスさんの描く絵にはどれも物語があって、そしてそのどれもが(経験したことはないのに)懐かしい感じ、人の温かい感じがします。

あと、自分の中で物語のワンシーンを想像しながら、自分流に解釈して楽しむことができるので、見ていてとっても楽しいんです。妄想が膨らんで、会場はそこまで大きくないのに合計2時間も鑑賞しちゃいました(足が疲れました)。

モーゼスさんの絵は、不思議な力を持っているみたいです。


〜幸せと仕事〜

モーゼスさんは、

蝋燭や石鹸、アップルバターを作ったり、木から砂糖を取ること。これらの、日々の営みに欠かせない少し退屈な仕事が、人生を豊かにする・・・

というようなことを言っておられました。

村ではそういったお仕事のために人々が協力し、仲間意識を育み、達成感を共有することが日常的に行われていました。

FIREに関する本がよく売れていて(私も読みました)、なるべく仕事はしたくないよね、という考える人が多い昨今ですが

お仕事とは本来、人生を豊かにするための必須条件なのかもしれませんね。


〜モーゼスさんから学んだこと〜

モーゼスさんの絵はいわゆる”上手”ではありません。角度が正確でなかったり、人間の顔が丁寧に描かれていなかったりします。

でも、そこが私は大好きでした。

私は絵を描いているとき、つい”伝えたいこと”よりも”上手さ”を優先させてしまいます。

伝えたいことがあるのに、頭の中のそれを”上手”に絵にできないので嫌になって、イライラしてしまいます。

でも、モーゼスさんの絵の凄さを目の当たりに、”上手”じゃなくてもいいんだなあと気がつきました。

自分の中にある伝えたいことで、はっきりしている部分を思うままに描いてみて、

不完全なところは見た人の感性や想像力で補ってもらえればいい。

むしろ、完璧に描かれていない方が、見た人がそれぞれ響きやすいイメージへ完成させる余地ができるので、見ている側もそれはそれで楽しいと思うのです。


ということで、なんかいいなあと思ったり、感情的になったことがあれば

思うがままに筆をとってみよう。

あと、そういう”なんかいいなあ”と感じた瞬間に敏感でありたいなあ。

そう思った1日でした。





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