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不人気な公園

先月はちょっくら岐阜県に行ってまいりまして、noteでも記事にしたのですが、実は記事には書いていないところで、とある儀式を遂行しておりました。

その儀式とは、「コンビニでどん兵衛を買って食べる」です。

わりと有名な話ですが、カップうどんとしてお馴染みのどん兵衛は、東日本と西日本とで味付けが異なります。

特に今回は、東西のど真ん中である岐阜県ということがあり、いったい東日本と西日本のどちらに分類されているのか、ということに興味がありました。

結論からいえば、岐南町のセブンイレブンで買ったどん兵衛は東日本バージョンでした。西日本バージョンは鰹出汁の風味が強く魚介系っぽさがありますが、東日本バージョンは醤油の主張が強くピリ辛に感じる。

もちろん慣れ親しんでいるのは西日本バージョンのほうですが、たまには慣れない東日本バージョンのどん兵衛も良い。人の少なくなった夜の公園でひとりそれを啜るというのがまた心地好い。

岐阜にも美味しい飲食店はたくさんあるだろうし、セブンイレブンなんて地元にも腐るほどあるのですが、よく知らない地のコンビニで買って、よく知らない地の公園で食べるカップ麺というのは格別にエモい(※個人の感想です)。

特に、織田信長公の銅像が光り輝き、人がたくさん行き交う華やいだ岐阜駅前ではなく、いちいち3駅はなれた岐南まで行ってそれをやるという訳のわからなさが最高だ。

岐南は閑静な住宅地で、付近は完全に車社会。歩行者はほとんどいない。まだ4月だというのに虫の音が響く、ふつう旅行者なら行かないだろというような、住宅地の中の地味な公園。

地味な公園というのがまた重要で、これが、ライトアップされたオシャレなところだったり、遅い時間になってもカップルがベンチに座っている人気のところだったりするとエモさが半減してしまう。あくまで目立たず、地元の人でもスルーしていそうな、はっきりいって不人気な公園というのが良い。

飲食店でも繁盛しているところとそうでないところがあるように、公園にも、盛況なところとそうでないところというのがあります。

飲食店なら味の美味さ、メニューの充実度、接客の丁寧さ、店内の雰囲気などがポイントになり、そのポイントが多ければ多いほど人気店として発展していくのが基本的なパターンだと思いますが、ならば公園はどうなのかというと、これは基準があまりよくわからない。

明らかに市政に見放された、草はボーボー、ベンチは腐っている、トイレの水はまともに流れない、そのようなとてつもなく汚い公園も確かにあり、そういうところが不人気なのは理解できます。

しかし、草もちゃんと刈られていて、遊具もそれなりに充実していて、ベンチもまあまあ綺麗、トイレにペーパーもある。それなのになぜか誰もいない、そんな公園もある。しかも、わりとどこの地域にもある。

わざわざ他所からやってきて、わざわざコンビニでどん兵衛を買ってきて公園のベンチで食おうとする不審人物のおまえを、人々が遠ざけているだけなんじゃないかというツッコミを食らう前に言いますが、片手にどん兵衛を持っていない時でも、そのような、理由は不明だけど不人気な公園を、幾度となく見かけています。

公園としてのクオリティは決して低くはない。そもそも人がいないので、店主のホスピタリティーや客のマナーがどうこうという理由も生まれようがない。

となれば立地条件の問題か?と考えを巡らせるも、近所には分譲マンションがいっぱいある。幼いお子さんのいらっしゃるご家庭も多いだろう。というか、すぐそばに見える公園では、その幼いお子さんたちがふつうに暴れまわっている様子が窺える。

ここがあそこみたいな人気公園になれない理由ななんだ。やはり不審者の俺がいるせいか?しかし、俺が入る前からずっと閑散としていたぞ、ここ。もしかしたら開業以来はじめてのお客様かもしれない。  

一般的な商店は、あまりにもお客さんが来なくて売り上げが立たないと経営が立ちいかなくなり、最終的には店舗を畳むことになってしまいますが、公園が潰れるということは滅多にありません。

基本的には公園の所有者はその地域の自治体ですが、マンションの土地内に造られたものや、財団が寄贈したものなどは、権利関係がややこしくなるそうで、潰そうにも簡単には潰せないという事情があるようです。

権利関係のゴタゴタなどのせいで潰すことが難しく、建物だけが何十年も残って放置され、廃墟になってしまうという事例はいくつもありますが、この先の未来では、公園にもそういった問題が浮上してくるのではないかと思います。

特に、すでに市政に見放されたような汚い公園はその可能性が高いし、自分も避けてしまう。ベンチが腐っているところでどん兵衛を食いたくないしなあ。

たとえ不人気な公園であっても、朽ちることなく、末長く続いてほしい。と同時に、適度に不人気なままでいてほしい。

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