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ひそやかな公園

木曽三川公園きそさんせんこうえんは日本で最も広い国営公園らしく、三重県・岐阜県・愛知県の3県にまたがっているのだそうです。公園内に13種類の公園が入っているという重厚なマトリューシカ公園。もう意味がわからない。

地元だと万博記念公園ばんぱくきねんこうえんというそれはたいへん有名な公園があって、モノレールの駅から直通というアクセスの便利さもあり、遠足やお花見の定番スポットなのもあって、幼い頃から何千回と訪れているのですが、未だに全体図がどうなっているのかを把握していません。

同公園のシンボルとして知られる、岡本太郎さん作の「太陽の塔」は、夜になると目のあたりが光って遠方にビームを出してきます。けっこうこわいです。

そんな広い公園も素敵なのですが、その裏には、数多の小さな公園があります。日本国内には10万種類を超える公園が確認されており、1キロの範囲内に、必ず1件は存在する計算なのだそうです。

自分の近所の数キロの範囲内だけで考えても、5つの公園が思い当たりました。

この時代においても本格的なアスレチック遊具が健在の、かなり大きめなところ。

昔は鉄棒とシーソーがあったけど、撤去されて今は滑り台と動物の乗り物だけの、簡素な施設になったところ。

もともと遊具がなくて、ベンチと庭園だけの、もっと簡素なところ。

公園そのものよりも、横のグラウンドがメインのところ。

神社とつながっているところ。

それは多種多様であり、客層もそれぞれ微妙に違うような気がします。

アスレチックの公園でカップルを見たことがないし、ベンチと庭園だけの公園で子供を見たことがないし、グラウンドがメインの公園は夜になるとカップルしかいない。

そして、公園にも人気の度合いというものがあって、いつでも誰かしらが屯しているメジャーシーンもあれば、数えられるほどの人しかいないマイナーシーン、あるいはいつも誰もいないアングラシーンもあります。

一般的な商店であれば、お客さんの入りが悪くて儲けが出なくなれば、廃業してしまい、店舗そのものがなくなります。

しかし、公園はそもそも利益を上げるために作られていないので、どんなに不人気であっても、営業停止になることは基本的にありません。

公園の取り壊しも、あるにはあるんでしょうけど、ほとんど見たことがない。

正直、もう機能しとらんだろ……と思うような場所でも、入り口の横の塀にはしっかりと「○○公園」と刻まれていて、Googleマップにも営業中と表示されたりする。

そして、自分はそういうアングラ公園が好きです。

近くの大きな公園は人で賑わっているのに、こちらには誰もいない。ろくに管理していないのか、地面は草ボーボー。ベンチが草にまみれて、一見だとわからなかったりする。

その、置き去られた感じのペーソスにどこか心を惹かれる……。まあ、あまりにもベンチが汚いところは座らないけど。

この公園はいつできて、なぜこうなったのか。今はマンションに囲まれているけど、元々はもっと陽当たりが良かったのではないか。

今は埃をかぶっているあの灯も、昔はもっと綺麗だったのだろう。今は止まっている時計も、昔はしっかり仕事をしていたのだろう。砂場もちゃんと整地されていたはず。

その頃を知っているわけではないけど、空想のノスタルジーに浸る。それも悪くない。

しかし、トイレに行きたくなってきた。こんなアングラ公園でもトイレはあるのだけど、やっぱり予想どおり和式だ……。和式は苦手なんだよな……。

いや、それよりも……。ああ、やっぱりそこはアングラ公園クオリティ。……紙がない。先に確認しておいて良かった。本当に良かった。

そこから3分ほどのコンビニのトイレに駆け込んで、大事には至りませんでした。

洒落た遊具や大きなベンチは別になくてもいいから、どんな公園にもトイレットペーパーは設置していてほしい。そう強く願いました。

そして、どんな公園のトイレットペーパーも、ていうかどこのトイレットペーパーも、窃盗はダメ。ゼッタイ。



サウナはたのしい。