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飴をいただくのはありがたいのですが

大阪のおばちゃんなら誰でも虎柄の服を着ていると思ったら大間違いだし、大阪のおばあちゃんなら誰でも他人に飴を配るというのも、誤った認識である。 

……と、東のほうの皆様に物申したいところなのですが、残念ながら、黄色い服のおばちゃん率はミナミの方ではそれなりに高いし(キタはそうでもないと感じる)、おばあちゃんに飴をいただいたことがあるのかないのかといえば、あるのです。それも、結構な頻度で。

2人組のおばあちゃんズに、月3〜4回のペースでいただいてしまっている。ここ数年ずっと。

おばあちゃんズは、おそらくご近所にお住まいなのだろうが、どのお宅にお住まいなのかは全く知らない。よくおふたりで行動されているが、ご友人なのかご家族なのか、関係性がよくわからない。訊くのもなんだか気が引ける。

というか、会うたびに挨拶しか交わさないので、飴をいただいて良いものなのかどうかも実際のところ、よくわからない。先日などは、袋まるごといただいた。

いやいやいや。さすがに独り身の自分には多い。

あのお婆ちゃんズの中では私に妻子が存在する設定で、そのぶん多くくださっているのかもしれないが、それにしても袋まるごとは、ちょっとすぐには消費できない。

というわけで、とりあえず職場で配ってみたのですが、意外にもなかなか減らない。1週間くらい経っても減らないので、自分で半分くらい食べました。舐めたというより食べました。

ここで根本的な問題があるのですが、自分はそもそも、飴が苦手です。

いや、正確にいえば、ロッテの四角いのど飴やチェルシーは好きなので、飴そのものが苦手というわけではなく、丸い飴が苦手。……というか、丸い形状の食べ物が苦手。

豆、梅干し、チョコボール、マルカワのフーセンガム、葡萄の実……。ことごとく苦手なのです。芋の煮っころがしは丸っこいですが、あれは楕円なのでギリ大丈夫。イシイのおべんとくんミートボールも楕円なのでいける。ただ、正円の食べ物は、どうにも受け付けない。

なぜかはよくわかりませんが、味が嫌いとかいうよりも、舌の上で丸いものが転がっている感覚が気持ち悪い。

なので、丸い飴は口に入れてしばらく経ったら、すぐにバリバリ頬張ってしまう。おばあちゃんズには申し訳ないのだが、ちゃんと飴を味わっていない。

本音をいえば、飴の代わりにポケットティッシュでもいただいたほうがありがたい。けれども、ポケットティッシュだとなんかこう、人の温かみが薄いような気がする。

駅前でティッシュ配りをしている人を見かけると、ついついもらってしまいますが、あれの本来の目的であるところの、英会話教室やらトレーニングジムやらの広告には目もくれず、特になんの感謝もしていない。

いや、ひどい時には、そのティッシュをもらったことすら秒で忘れて、いつの間にやらポケットの中で干からびていたり、後日になって洗濯機の中から化石となって発掘されたりなどする。そこに愛はない。資源がもったいない。

どうにもティッシュというのは汎用性が広すぎて、いま使わなくてもいつか使うだろうという思考が働いてしまい、すぐには使わないことが多い。その結果、使うことを忘れてしまう。

何かに使えそうだと思って取っておいた空箱や袋が、何にも使わずに溜まっていくのと同じ現象。1リットル天然水6本入りのダンボールとか、ケーキ屋の紙袋とか、なんとなく使えそうに見えるけど、意外と使いどころがないのよな。
 
その点、飴には多様性がない。口に入れて摂取することしかできない。

ラムネなら笛を吹くことができるタイプのものもあるし、とんがりコーンなら指に嵌める、オレオなら解体する、メントスはコーラに入れるという用途もあるけど、飴は舐めて食す以外の活用法がない。

現時点でそれを考え出せたら、きっと特許が取れるはず。たぶん誰も飴の遊び方についてなんて考えていないはずなので。

自分も2分ほど考えてみましたが、あのおばあちゃんズがそれを見てどういう反応をするかと思うと、やっぱりお菓子で遊ぶのは良くないからやめようと考え直し、先日いただいたミルクの国を舐めるのでした。

ミルクの国は表面は丸いけど側面が丸くないので大丈夫なのです。他に丸い梅味のやつもいただいたけど、これは誰かにあげよう……。


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