見出し画像

貧乏飯でいい

お世辞にも上流階級とは呼べない家柄のため、お金持ちというかセレブな生活には憧れがあります。

近所に地元で有名な大地主さんのお屋敷があるのですが、それがもう広くて広くて、玄関にある庭園が広すぎて家屋がまるで見えない。あんな家に生まれていたらどういう人生を送っていたのだろうとふと考えてしまう。

うちの車は代々マツダのファミリアで、いかにも中流階級のふつうのセダンだったのですが、家のガレージにエスティマが置いてある同級生が心の底から羨ましかったし、お小遣いを月に3万円くらいもらっていてゲームソフトを買いまくっていた同級生も羨ましかった。

もし仮に自分の手元に8000億兆円が落ちてきたら、それはもうありもあらゆる贅を尽くすと思います。

少なくとも高級車は300台くらい所有するし、世界各地に別荘を作るし、ゼガがかつて開発した珍ゲーム機『トイレッツ』を自宅に設置する。

『トイレッツ』というのはアーケード(というのかな?)用に開発されたゲームでして、男子トイレでおしっこの放出量や勢いなどを競い合うステキなゲームです。

2012年頃にリリースと、さほど古くない商品なので、現在も一部のゲームセンターや居酒屋などに設置されているそうな。公式サイトや公式ツイッターも存在するという力の入れようですが、さほどヒットしませんでした。


……という情報を最近になってインターネットで得ました。ひきこもりながらインターネットばかりしていると、このような人生においてあまり重要ではなさそうな知見を得ることができるんですね。

いやトイレッツはともかくとして。お食事中の方はすみませんでした。そして、さっきのセレブな話の続きですが、そのお食事についてです。


おそらく自分がどれだけの大富豪になったとしても、毎日のように豪勢な食事はしないかなあと思うのです。

もろちん、たまにはフカヒレステーキも食べるだろうし、京都のメニュー表に値段が書いていない系の割烹料理店にも入ってみたいし、『美味しんぼ』第10巻に出てくる超高級魚「アラ」がどんな味なのかも体験してみたい。

でも、たぶん日常的にそういう食生活は送らないんじゃないかなあと。

スーパーで鮭や鰆の切り身を買ってきてコンロで焼いてごはんと共に食べて、めんどくさい時はコンビニのカップ味噌汁ですませて、週に何回かはカップラーメンを食べ、ヱビスビールではなく本麒麟をほぼ毎日のように飲んで、天下一品のラーメンにアホほどニンニクを詰めて喜んで、モスバーガーでスマホを充電しながらコーヒーを嗜むのがわたしの休日という、今となんも変わらん内容を楽しみたい。


最初に就職した会社は、今でも世界的に名が知られているとある超大手企業と提携していて、研修のために2週間ほど、その超大手企業のホテルに寝泊まりしていたことがあります。

ベッドはふかふか、テレビは当時の最新型、ロビーは広くてオシャレ。遊びで来たのならば最高の環境でした。

実際は週休半日で毎日の実働14時間くらいで2時に寝て7時に起きる生活で外出禁止(いうか山の麓みたいなところなので外出したところでコンビニまで徒歩40分)という過酷なものだったので、最低の日々でしたけども。

そんな最低の日々の唯一の楽しみは、バイキング形式の食事でした。特に夕食は豪華で、この時に生まれて初めてトリュフなるものを口にしました。が、なぜかあんまり味の記憶がありません。

短い睡眠時間とブラックな労働環境のせいもありますが、毎晩のように当たり前にたくさんの美味しいものを出されると、なんだか逆に萎えてしまいまして。むしろ、帰ってきてから食べたカップヌードルや熟カレーの安心感といったらなかった。

高級といわれる食材の味が、自分にはいまいちピンと来ないというのも大きいです。

その何年後だかに、とある親戚の親戚の親戚くらいの親等の方々との会合で、神戸のちょっと良いお店に連れていってもらったのですが、そこも何が凄いのかあんまりよくわからなかった。いや、美味しいとは感じたはずなのですが、これぞ至高、これ以外は家畜の餌だ、わかったか中川……とまではならなかった。

貧乏舌なのだと思います。

もしも自分が芸能人になって正月の格付けチェックにGACKTさんの相方として出演することになったら、不正解を出しまくって、ゴールデンボンバーのキリショーさんのごとくスライディング土下座をする羽目になるでしょう。でも、それでも良いのです。

どん兵衛は美味しいし、UFOも美味しいし、今日もセブンイレブンのBREWとかいう安い発泡酒のタブを開けるのです。このような日常のささやかな幸福こそがQOLというものです。


それはそれとして、8000億兆円は欲しいですがね。



サウナはたのしい。