当たり前にあるわけではない
大阪市の天神橋筋商店街にあった、シルクという100円ショップが、今年の2月に閉店されたそうです。
テレビでも紹介された有名なところで、店内には店主のおやじさんの手書きによるポップがところ狭しと貼られまくっているという、100円ショップとヴィレッジヴァンガードが合体したのか?と思うような空間でした。
地元の人ではない自分は、何度か利用したことがある程度でしたが、あの印象的な関西弁まるだしのポップ(たまに誤字脱字あり)が乱舞する店内は唯一無二のものでしたので、なくなるのは残念です。
盛者必衰の理といいますが、今まで生きていた中でも、よく行っていたのに閉店したところや、いつまでも休業中でシャッターが閉じられたままのところなど、寂しい風景をいくつか見てきました。
経営は存続されているものの、運営の母体が変わったなどで、実質的に違う店に変わったパターンもあります。
ジャスコやサティはみんなイオンに切り替わったし、JR京都線の駅のキオスクは軒並みセブンイレブンになりました。阪急電車の駅のコンビニのアズナスも、ここ1年でローソンになっていっています。
イオンになってからのほうが品揃えが充実しているし、キオスクがセブンになったのでサントリーBREW(コンビニブランドの安い発泡酒で個人的にはいちばん好き)が買えるし、アズナスがローソンになったのでからあげクンが買えるのですが、それと引き換えに、キオスクの青い看板や、アズナスの緑の看板にもう会えないのかと思うと、寂しい気持ちもあります。
それでも、営業を続けてくれているというのはありがたいことだし、大変なことなのだろうなあと思います。
そういうことを特に思うようになったのは、ここのところ、近所の廃業した銭湯について調べていたからです。
旅行も県外への移動もはばかられるこのご時世。
近隣の銭湯はすべて制覇してしまっているので、今度はネット上にまばらにデータが散らばっている、もう営業していない銭湯が元気だった頃の情報を漁るようになりました。もはや末期だということは自覚している。
データに載っている住所をグーグルマップで見ていくと、地元のよく知っているような場所にも、さりげなく銭湯の暖簾が掲げられていたことがわかります。あと5年ほど早く興味を持っていれば……と後悔するも虚しい。
推しは推せるうちに推しておけ、というのはアイドルファンの間での言葉ですが、これは何も人だけではなく、店や商品なんかでも同じ。いつなくなるかわからない。
むかし、百年麦芽という奇跡みたいに美味い発泡酒があったのですが秒で消えたし、少し前にコンビニの店頭に大量に置かれていた東京リベンジャーズの焼きそばスナックは、翌日に根こそぎ消えていました。
別になんでもかんでも急いで手にする必要はありませんが、興味をそそられたものなら、迷わずに買ってみる、見てみる、ということが大切なのだと思います。
ふつうの生活は当たり前ではない、ということは、例のアレが蔓延してからの2年間、とても身に沁みていることです。
個人的にはもうそろそろ、自粛ではなく、どうせ全滅するわけではない病原菌とどう付き合っていくか、という考え方にシフトしたほうが良いとは考えていますが。
かつての当たり前を取り戻せないのなら、新しい生活の様式を提示しなければ。というようなことをゆうべ考えていたら、知らぬ間にスヤスヤと眠ってしまいました。春眠は暁を覚えないのです。
サウナはたのしい。