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予定のなさすぎる旅

今はこのご時世なので無理ですが、かつては年に2回くらいのペースで、何も予定を立てない旅行というものをやっていました。

行きの高速バスや特急のチケットだけは買っておき、宿泊先とするネットカフェの位置だけを調べ、現地で何をするかは行きながら考える。

4年ほど前に初めて九州に行った時も、そんな感じでした。

夜行バスに乗って、福岡のJR小倉駅前に着いたのが朝の6時。通勤ラッシュ直前の電車に乗り込み、しばらくスマホをいじって、ようやくここが福岡市ではなく北九州市であることを知りました。

どうせなら北九州市の名所でも見るかと、ほとんど誰もいない11月の門司港へ。

焼きカレーなるものが名物らしかったのですが、なにせまだお店が開いておらず、港と橋とファミリーマートを見ただけで帰りました。門司港駅前のファミマは看板がモノクロになっていて、なんとなく昭和っぽい雰囲気になっているのです。

さらに調べてみると、なんと門司港駅から下関駅までは意外と近く、15分くらいで山口県内へと突入できるのだそうで、この機会に未踏の山口県に行こうとすかさず電車に乗ったまでは良いのですが、バス宿泊でろくに眠れていないのに早朝から動いているので疲れが出て寝落ちしてしまい、気づけば終点の小串駅に着いてしまっていました。

まあ終点の駅なくらいだから、周りになにかしらあるだろうと思っていたのが馬鹿でした。

はっきりいってなんもねえ。窓口で追加の運賃を払った時、駅員さんに「何しに来たの?」と問われ、「……旅行に」とだけ答えたのですが、なんかでかい総合病院と布団屋と民家しかねえ。マジで何しに来たんだろ。

この経験を機に学んだことですが、周りになんもない終点の駅はそこそこ多い。近鉄の青山町駅とかで終電を逃したら詰むと思う。新幹線停車駅のJR米原駅もだいぶきついと思う。

結局、九州方面に引き返し、特急で博多まで行くことに。さすがにオールノープランは無謀すぎる。とりあえず何かひとつ目的を作ろう。

ラーメン。そう、博多といえば一風堂の発祥の地である。でも一風堂は大阪にもあるしカップ麺でも売られているので、もっとローカルな感じのラーメンを。……ということを決意した後、当時まだギリギリ営業中だったスペースワールドのロケットを車窓から見ました。

博多は大都会でした。ラーメン屋は星の数ほどあるし、基本的に1杯500円くらいなので安い。普段ならまずしませんが、ラーメンを2連続で食べたりしました。

夜の更けていく中洲の街をぼんやり眺めながら、ギンギンに輝く精力剤のネオン広告にクラクラしながら、ああそうだ久留米っていうところにも行こうと思い立ちました。

そしてその久留米、……おっそろしく遠かった。ナメていた。

関西の大手私鉄である阪急電車の京都線は、大阪の繁華街である梅田と京都の繁華街である河原町を結ぶ路線ですが、片道40分くらいで行き来できます。

昼に梅田に行って夜に京都に行く、なんてことをそれまで何度もやっていたので、九州でもそのノリのまま、小倉から小串、博多から久留米を1日でやるというわけのわからんことをやったのです。


どうやら宿泊施設が集中しているのは私鉄の西鉄(西日本鉄道)のようですが、JRで久留米駅まで行きました。JR久留米駅と西鉄久留米駅。まあ名前が同じ駅で同じ地域にあるのだから、近いに違いない。

これもナメていました。徒歩30分くらいかかりました。これも阪急のせいです。

阪急京都線とJR京都線はほぼ並行に線路が作られており(一部に例外もあり)、基本的に阪急とJRの駅どうしが近く、片方の電車が人身事故などで遅延した際にはもう一方で振替輸送を行うのが常です。

それを見て育ったせいで、JRの駅と私鉄の駅は振替輸送のために近くに設置されているものだと思い込んでいたのです。

ましてや久留米といえばなかなかの都会らしいし、当然のようにそういった配慮はあるだろうと……。いや、……。ああ、はい、自分が井の中の蛙なだけでしたね。申し訳ない。

結局その日は西鉄久留米駅前のネットカフェに泊まり、翌朝はバスでJR久留米駅に向かってスタート。ここでまた思いつきました。なんか佐賀方面の電車がどうとかアナウンスで言っているので、そうだ佐賀に行こうと。

意外にも久留米から佐賀へはさほど時間はかからなかったと思います(前日にわけわからん移動ばっかしていたので麻痺していた可能性あり)。

さっそく佐賀駅を下り立つと、そこにはリンガーハットがありました。リンガーハットといえば長崎発祥の全国チェーンのちゃんぽん店で地元でもお世話になっていますが、まあここは佐賀なので今回はスルー。しばらくふらふらと散策すると、今度は熊本ラーメンのお店があり、ふむ、もっと進もうと歩いていくと博多明太子のお店を数軒みつけました。……佐賀とは?


はなわさんのあの歌は本当だったのだと確信していたら、あったよ、佐賀ラーメンのお店。

で、これを食べた感想なのですが、……どこまでも普通なのである。いや、美味しかったんですけどね。特徴を形容しろと言われたら困ってしまう。佐賀とは?という気持ちだけを残して帰ったのですが、いま調べたら、数駅先に名所の吉野ヶ里公園があったんですよね。

自由に旅行ができるのがいつになるのかわかりませんが、次に九州に行く時は、ちょっとは下調べをしてから行こうと思います。改めて書いてみたら行動がめちゃくちゃ過ぎる。だからこそ良い思い出になった面もなくはないですが。

次こそは佐賀とは何かを知りたい。あと、嬉野温泉にはいつか行かねばならない。

サウナはたのしい。