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本物のピザを知らない

我が地元のベッドタウンもウーバーイーツの対象区域に入ったらしく、例の黒地にUber Eatsと書かれた四角い箱を乗せたバイクや自転車を近所で見かけるようになりました。

自分は未だに使ったことがありません。というか、食事の宅配を注文したということが、今までにないような気がする。

うちの親がそもそもそういうものを利用しなかったので、外食に行ったり、マクドナルドや551の蓬莱の持ち帰りをしたことはあったものの、家の玄関に誰かが昼食や夕食を届けに来た、ということはまるでありませんでした。

唯一、引っ越しをした時にだけ、寿司を頼んだような気がする。正月におばあちゃんちで出ることはあったが、イズミヤの地下階のスーパーで売っているやつじゃない、本物の寿司が我が家の食卓に現れたのは、たぶんあの時だけだな。

しかし、寿司よりもレアな、我が家のテーブルに一度も乗ったことのないものがある。

ピザである。

ご家族で楽しむピザというのは、ピザーラやピザハットのラベルがボディ後部に書かれた、ホンダキャノピー的な三輪バイクで配達してくれるというのが相場である。あまりピザを外で食べるというのは聞いたことがない。

というか、ピザーラにもピザハットにも、店内にイートインコーナーがないのはなぜだろう。もしかして、店舗によってはあるのでしょうか。

ていうか、ピザ屋の店舗そのものに入ったこともないな。でも、ピザといえば宅配がメインの印象がある。

それはきっとかなり昔からの慣習で、自分が物心ついた頃には、トミカの82番にピザ宅配バイクがラインナップされていた。ということは、バイクでピザを家に持ってきてくれるという文化は、すでに定着していたといえる。

ちなみにトミカのピザ宅配バイクの人形は着脱ができる。着脱ができるということは、クソガキがぞんざいに扱うと取れるということでもある。つまり、なくしやすいわけです。

うちには2台のピザ宅配バイクがあったが、いずれも人形はどこかに消えた。バイトの宅配員がバックレたんですな。今ごろ何をやっているのだろうか。

ピザ屋よりウーバーや出前館のほうが稼げると思って鞍替えしたかな。ちなみに人形は未塗装で真っ白だったので、『名探偵コナン』に出てくる犯人を漂白させたような雰囲気があって、よくよく見るとけっこうこわい。

タカラトミー公式サイト内のトミカ歴史館コーナーによると、このトミカの発売は1989年らしい。

ぷらーなのトミカ熱が最高潮の時期だった時期ですね。同年に発売されたモデルはほぼすべて持っていましたから。

特に日産シルビア(S13)のボディラインの美しさは、まだ未就学児だった私を虜にした。

しげの秀一先生はまだ『バリバリ伝説』を連載中で、後年に描いた漫画のせいでこのシルビアの中古価格が高騰する未来など誰も予測していなかった時代から、私はシルビアの魅力に気づいていたわけです。周りのハナタレガキどもとは違う、本物がわかる神童だったのだ。

なのでその後年に描かれた『頭文字D』のブームが起きた高校生の頃などは、シルビアについて知った口を聞いている同級生に対して、今さら気づいたのかよおせーよと思いながら坂口安吾先生の『堕落論』を読む日々でして、まあ拗らせておりまして……。おい、ピザはどうした。

話を戻すと、スーパーのものじゃない寿司を食べたのは引っ越しをした時だけと書きましたが、冷凍のものじゃないピザも、もしかしたらほとんど食べたことがないかもしれない。

ただ、なぜかピザを食べた記憶そのものはなんとなくある。どこで食べたのやら。居酒屋で頼んだことはなかろうし。

もしかしたら、コンビニで売っているピザパンを食べたのを、ピザを食べたのだと改竄している可能性すら浮上してきた。フジパン本仕込み。

しかしながら、ピザとピザパンは違う。さすがにメロンとメロンパンほどではないが、5枚切り食パンと6枚切り食パンくらいには違うはず。たぶん。だとすれば、私は本物のピザを知らない。本物のピザを知ってみたい。

そう思い立って珍しく親に連絡し、ピザを取ってみようと提案してみたところ、今度ひさしふりに551の蓬莱の豚まんを買いに行くのだという。

関西人が家族に551の豚まんを食べることを誘われたら、それはもう従うしかない。

なにせ、551の豚まんがないときには家庭の食卓がどんよりと落ち込み、551の豚まんがあるときには家庭に大爆笑が巻き起こるからである。

あるときー(ギャハハハ)、ないときー(ずーん……)、あるときー(ギャハハハ)、ないときー(ずーん……)。ごーごーいちの、ほーうらいっ!

そういえば、551のアイスキャンデーも食べたことないな……。

サウナはたのしい。