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カップヌードルという基本

「絶え間なく注ぐ愛の名を永遠と呼ぶ事ができたなら 突然 話は変わりますがあなたは夜中 腹が減る事ないですか」

というのは、数年前のカップヌードルのCMで流れていたGLAYの『HOWEVER』の替え歌ですが、夜中に腹が減ることもあるし、夜中でなくても、なぜだか無性にカップヌードルが食べたくなる時というのはありますね。

それも、しょうゆ味のノーマルのカップヌードルが食べたくなる。なんというか、原点に帰りたくなる。

蒙古タンメン中本のカップ麺とか、凄麺シリーズとかに浮気しても、やっぱりカップ麺はこれでおますなあ、という感じで、ふつうのカップヌードルに手を伸ばす。

謎肉の増量とか完全メシとかの付加要素はいらん。ただただ、オリジナルの、ザ・カップヌードルを楽しみたい。

ポテトチップスもそれに似ていて、プリングルズの自販機を試してみたり、変な味のものを買ってみても、結局はカルビーのうすしお味がいちばん美味えという感想になるし、BIGサイズでもミニサイズでもなく、通常のサイズこそ至高なんだよなあ。

余談ですが、プリングルズを自販機で買ったことがある方はご存知だと思いますが、1回200円で、1個から3個が出てくる仕組みになっています。

1個しか出てこなかった時はちょっと損、2個が出てきたら値段と相応で、3個が出てきたら当たり、という仕組みになっていますが、当たりを引いたことが一度もありません。本当に存在するのか?

ちなみに期間限定だったはずの牛丼味が結構な確率で出てくる。余っているのではなかろうか。牛丼味は自販機でしか販売されていないそうですが、なかなか美味いのでおすすめ。

さらに余談なうえに、ポテトチップスからもズレた話をすると、今までで食べたスナック菓子の中でいちばん不味かったのは、かっぱえびせんのフレンチサラダ味。

「やめられない止まらない」で昔からお馴染みのかっぱえびせんブランドで、さっぱりしていそうなフレンチサラダ味とくれば、わりと無難っぽく思えるじゃないですか。

ところがどっこい、安牌なはずのコンビネーションなのに、どうしてこうなったと言いたくなるような代物であった。

かつて、ビートたけしさんと志村けんさんのダブル司会ということで、もはや最強のバラエティ番組のように見えた『神出鬼没!タケシムケン』が、期待に反してすぐに打ち切られてしまったように、ただ大物を並べただけでは、商品はヒットしないのである。というか、なんの話だったっけ。

こんなふうに、人の思考というものは常にごちゃごちゃしており、もともとの自分の立ち位置がわからなくことが多々あります。

これを書いている間もなぜか、松任谷由実さんの『恋人がサンタクロース』が脳内で流れているし、「今夜8時に家に来る」ってサンタにしては早すぎるし、恋人にしては遅くね?ということを考えています。

そんな時に頭を落ち着かせられるのが、やはり間食のカップヌードルですよね(強引に話を戻す)。

先ほど、謎肉の増量や完全メシなどはいらんと書きましたが、カップヌードルは庶民のためもの。ちょっと貧乏くさいほうがいい。

ベストは、藤子不二雄先生の作品によく出てくるラーメン大好き小池さんのように、胡座をかいて、器を手に持って、ズルズルと麺を飲み込むスタイル。

さらに小池さんをリスペクトして、メガネをかけて焦点の定まらないイカれた目をして食べるのも一興。いっそ髪をモジャモジャのアフロにして、小池さんそのものになろう。

実際はあのキャラクターは、藤子先生と仲の良かった鈴木伸一さんという方がモデルで、当時はその鈴木さんが小池さんの家に居候していてチキンラーメンばかり食べていたのが由来なので、正確には小池さんではなく鈴木さんであり、袋麺のほうのチキンラーメンを作って啜るのが完コピなのですけどね。

などということをのたまっていると、カップヌードルはすぐに出来上がります。熱湯3分とありますが、そこからあえて1分くらい寝かせて麺をフニャらせてから箸を付けるのも乙なものです。やはりカップ麺の麺はフニャってこそだよなあ。

今やどん兵衛もUFOも麺がしっかりしており、一風堂コラボのものなんかは実店舗に何度も行っている自分も驚くハイクオリティだが、今の我が欲しいのはそういう本物感ではない。

そんなものは東西新聞の社員たちや海原雄山さんが探求すれば良いのであって、新聞記者でも美食家でも陶芸家でもない自分には関係ない。ちなみに、たぶん忘れている人が多いと思いますが、海原雄山さんの本職は陶芸家です。

たとえ、京極さんにカスやと罵られた山岡さんの鮎のごとく、ぷらーなのカップヌードルの食べ方はカスやと言われようとも、私は可能な限り貧乏くさくカップヌードルを食べ続ける。

凄く好きなわけでもなく、凄く美味いと思っているわけでもない、ただのカップヌードルを。ただのカップヌードルなのに、200円を超えているのはいかなるものかと、物価高を憂いながら。

次はカップヌードルではなく、もっと安いホットヌードルをローソン100で買おう。たぶんその後は、もうそろそろ贅沢な感じのものが食べたくなって、行列のできる店のラーメンシリーズを買いに行く。そしていずれはまたカップヌードルに回帰し……。

カップ麺トライアングルは止まらない。

サウナはたのしい。