この世界の美しさ『よあけ』ユリー・シュルヴィッツ
この世界で美しい瞬間はいつだろうか。雨上がりに虹がかかるときか、澄んだ空に星が光るときか。こんなとき、生きることへの無条件の讃歌と思ってしまうことがある。
この『よあけ』(ユリー・シュルヴィッツ,福音館書店,1977)は、タイトルの通り、夜が明けるまでを描いた絵本だ。
絵は四隅の余白を大きく残して描かれており、添えられている言葉もとても少ない。しんと静まり返った夜明け前をゆっくり描き出していく。
かすかな月の光と影が、淡い黒から濃紺、青の色彩で表現されている。
言葉は少ないが