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いっそ虫になりたい

今朝、娘の幼稚園の荷物を確認していたら連絡帳が入っていないことに気がついた。
「あれ、連絡帳は?」
と訊くと
「ないよ、おあずかりだから」
と返ってきた。
連絡帳の代わりに出席ノートの表紙にメモ紙が貼ってあり、
「連絡帳を預かっています。何かあればこの紙に書いてください」
と印刷されてあった。

「みんなはもってかえってたよ。わたしだけおおあずかり」
と娘は続ける。

胸がざわつく。
私、またなにかやったんだろうか。心当たりがありすぎる。
親バカで申し訳ないのだけど、娘はたいへん品行方正なうえに心が優しく、先生からなにか苦いことを言われるのは考えにくい。
もし娘に関して書かれるなら、娘ちゃんのここが素晴らしく感動しました、ということぐらいだと思う。
けれど、ただでさえ忙しい三学期のしかも年長クラスの先生が必要に駆られてもいないことをわざわざ連絡帳に書くだろうか。
いや、書かない。

となると、きっと、おそらく、たぶん、ぜったい、娘が今日持ち帰る連絡帳には私への苦言が連ねられている。
こわい。
いくつになっても叱られるのはこわい。
こわいなら真面目に暮らしていればよいものを、いい大人になったというのにどうしてなかなか不真面目さが抜けない。

「朝行くのが遅いからかな(というか遅刻している)。早く来てくださいって言われるかな」
「それとも、早くお迎えに来てください、かな。いつもぎりぎりだもんね(というか遅れている)」

ざわざわと独り言を言い続けていると娘も
「昨日ランドセル忘れたからかもしれない」
と不安顔だった。
ううん、大丈夫、そんなことでは書かれないよと咄嗟に大人らしい表情をつくって明るく声をかけたけれどざわざわは止まらない。

先生ったら昨日のお迎えのときにあんなにににこやかだったのに、実は、このだらしのない保護者なんとかならんかな、と思っていたのかもしれない。
それとも、先生としては、そんなこともあるよね、と目をつぶっていたら主任先生に、「いい加減ハネさんをなんとかしなさい。野放しにし過ぎよ」と怒られたのかもしれない。
いずれにせよちゃんとしていない保護者だから何を言われても仕方がない。

ちゃんとしないといけないことが多すぎてついていけない。
母親業は楽しくて幸せなことがたくさんあるし嫌いじゃない。けれど保護者業は荷が重すぎるのだ。

(お手拭きお箸タオルコップ体操服ハンカチティッシュ歯ブラシ)×2人+イレギュラーな持ち物=私息切れ

普段の持ち物でさえまともに用意してやるのが大儀なのに、発表会の衣装だとか、土曜参観の準備物だとか、今週のお便りだとかがたいてい加わっているのだから私の頭がひとつでは足りない。
そして、ちょっと余談を聞いてほしいのだけど、二月に幼稚園の発表会があって、そのリハーサルが三回もあるらしい。
一回目は全体で、二回目は年少児(息子)と年中児、三回目は年長児(娘)、で行う。しかもそれぞれ送迎する時間も場所も異なり(なぜ)、お弁当のいるいらないも異なる。
どう立ち向かっていいか分からない。
こういう情報を頭の中できちんとまとめて覚えておくことができないのだ。
みんないったいどうやって保護者をしているんだろうか。
頭が五つくらいあるのかな。


お迎えの時刻が迫ってきてざわざわが止まらない。

娘ちゃんの登園時刻なのですが、もう少し早くすることはできないでしょうか。
お子さんが三人もみえて、朝は大変なこととは思いますが、小学校へ入ると朝はもっと早くなります。スムーズな小学校生活をスタートさせるためにも今から少しずつ心がけていただくのがよいと思います。
また、お迎えの時間なのですが、15時ぎりぎりになることが多いように思います。
下のお子さんのお昼寝と重なる時間で大変なこともおありかと思いますが、もう少し早いお迎えをしていただけると助かります。
よろしくお願いします。

ってきっと書かれてる。
べそべそ。

また読みにきてくれたらそれでもう。