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スペインからノルウェーに戻る、鉄道で -2日目-

初日はiryo、TGVと乗り継いでスペインから国境を越えてフランス南部の街・モンペリエで1泊し、この日はさらにフランスの国境を越えることになる。

フランスの国境を北に向かって越える経路は数多くあり、計画を練っている時からどれにしようか最も悩んだ。正攻法で行くなら国際列車が頻発しているパリまで出て、そこからベルギー・オランダに抜けるのが最も簡単に見える。が、ベルギー〜オランダ間は昨年仕事で通ってしまっているので特に目新しさがない。それならいっそマルセイユ・ニースからイタリアに抜けてそこから北上する奇抜な方法も考えてみたが、如何せん時間がかかる。そこで目に留まったのがモンペリエからそのまま北上してフランス東部の街・ストラスブールまで行きそこからドイツへ向かうという経路である。なぜストラスブールなのか、その理由は後ほど述べさせていただこう。

モンペリエから乗る列車は午前6時28分発のTGV・!nOuiで、ルクセンブルク行き。今回の経路に巡り会う前にこの列車で初入国のルクセンブルクまで行き、モーゼル川に沿ってドイツに入るという経路にほぼ決めかけていたが、ストラスブールにはそれを土壇場で白紙にしてしまうほど惹きつけるものがあった。

定刻に列車はモンペリエを出発。今回は思い切ってTGVの1等車を予約したが、さらになぜか金額は今回の方が走行距離は長いにもかかわらず前日のTGV2等車の金額とほぼ同じ88ユーロ。国境を越えると金額増しになるのだろうか。1等車だけあって席は2等車よりもゆったりしており、席間も広い。ただ共通して言えることは窓があまり綺麗ではないという点(動画からも一目瞭然)。折角の車窓からの景色に霞みががってしまうのは少し残念。

TGVとは言っても所々日本で言う在来線上を走行するので、TGVの本領発揮を拝めるのは限定されている。それでも200km/hくらいは出ていそうなのでフランスの田園地帯の中を快調に進んでいく。フランス第2の都市リヨンを越えてディジョンに停車するとここから列車の進行方向が変わり、東へ向かう。ディジョンからしばらく行くと、高速線に入りTGVの性能を余す所なく発揮する。ブザンソン(Besançon)、ベルフォール(Belfort)とTGV専用の駅に停車した後は再び在来線の上を走行する。

そうして5時間半の長い旅を経て列車はストラスブールへ到着。この駅の駅舎はヨーロッパらしい荘厳な建築様式(何様式かの知識すらない)の建物がガラス張りのドームに囲まれていて、外から見るとボトルシップの様な印象が面白い。ここからドイツへの国境へ向かうがその前にストラスブールの街中を散策することに。

ストラスブールの街角の1枚。

国境の街ということもあって時折フランス語の中に聞こえるドイツ語。ドイツ語は学生時代に前歯で恐る恐る齧った程度なので喋れるわけもないが、なぜこちらの人は東洋人、しかも120%旅行者の格好をした人間に話しかける時に遠慮なくドイツ語やその国の言葉で話しかけてくるのだろうか?

ストラスブールの街はパリやマドリードといった大都市に比べると小規模で駅から街の中心までも徒歩で難なく行くことが出来る。それにあまり物騒な感じもしない。昨年スペインのビルバオで路上強盗に遭遇して以来、見慣れぬ街を歩く時には自分の中の警報を常に鳴らしながら歩いているが、ストラスブールはその警報も少し抑え気味でよかった。勿論、警戒するに越したことはないが。

ストラスブールといえば、市内路面電車網を整備し都心再開発を成功させた例として評価が高いらしいが、この路面電車こそストラスブールを経由することに決めた理由である。この路面電車でフランス・ドイツ国境を越えることが出来るのである。ストラスブールのすぐ横には国際河川のライン川が流れており、その対岸はドイツのケールという街がある。そのケールの市庁舎までストラスブールの路面電車で行くことが出来る。下の動画ではまさにその国境を越えている。

駅前から路面電車に乗り、およそ20分ほどでドイツ国鉄DBのケール駅に到着。ケールからはDBの普通列車・快速列車を乗り継いでこの日の目的地・カールスルーへ(Karlsruhe)まで約1時間。ストラスブールからもTGVやドイツの高速鉄道ICEで直接行くことが可能だが、前述のとおり路面電車で国境を越えるのも一興かと。

明日はドイツ国内を北上。

続く

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