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#小説

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小説の定義をよく分かってないので 色々種類あります。多分。 お題作品やインスタントフィクションも
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記事一覧

昼飯休憩

「それってもう3大欲求しか残ってないじゃない」
小都市の一角、何気ない話。
雨はあがっているのに男が不満げなのは
なんてことはない。元々こういう顔なのだ。

「ジムにでも行ったらどうですか」
「行ったよ。3日で辞めた」
「三日坊主ってホントに居るんすねー」
部下は日替わりランチをすする。
男は依然つまらなそうな顔で
いつものメニューをいつも通り流し込む。

「趣味なんて無くていいんだよ働いてら」

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ただの日

八時に起きた。明るかった。晴れだった。チャーリーが「くえぁらあぅう…」と鳴いた。皿のキムチを交換した。半分くらい食べた。朝食は基本豆腐一パック(水分も摂取)だが今日は無かった。納豆一パックに変更した。

掃除をしたり歯を磨いたり録画番組を消化した。一時間とちょいかかった。別にいいよねと思った。本当に別にいいなので別に別にいいって自分に言い聞かせる必要も無いのになーと思った。戻るを押したら画面の端に

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猫鳴き日和

最近は何をするにも億劫で、いつも生焼け状
態のようにノロノロとしている。やろうと思
えば出来なくもないけれど本をまだ半分まで
しか読みきれていないのも、多分季節が暖か
くなってきたせいだ。

もう坂道の通りにも桜が満開でいる。
それは早朝だった。僕の出勤時刻はラッシュ
を避けるためにちょっと早い。実際の桜はピ
ンクというより白で、照らされて輝いている
ように見えた。人生の最後がこんな風ならい
いの

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「もっと明るいことを言え」

クサカベノブユキは25歳。
数回の連載経験と月2程度の読み切り有り。
漫画とバイトの給料は1:2。
現在、絶賛どん詰まりの迷走中。

「やっぱさ、暗いんだよなー。」
もはや半笑いで言うようになった担当編集。クサカベは言われると思った。と思った。
「前回よりはマシでしょ、でも」
「うむ、たしかに全人類滅亡から1人の自殺
に抑えたのは成長だと思う。しかしな、人数
が減ったぶん残虐性が増したのな、コレ。

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居れない2人は離し愛う(オレナイフタリハハナシアウ)

※以前書いた小説↓の続きのような話です。

違う雰囲気の作品になったと思うので
両方読んでも読まなくても楽しめるかと。

■■■

いよいよ平さんと付き合うことになった。
でも改めて考えたら、だめなのだ。
あたしはずっと人のそばにいれるような
人間じゃない。

少し前、
会社の同僚で、数少ない友人の1人である
あずさに平さんの話をした。
クラブで会った40手前の男性と説明したので
大丈夫なの?と言

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ダンスミュージック終わって

毎週のように繰り返してるはずなのに
今回何か違う気がするのは
相手の様子がいつもと違うからだろうか。

いつも店にいる女性陣の中の
パサついた茶髪の子の知り合いらしいが、
俺にはまだそれが信じられないでいる。
なぜなら、彼女は綺麗だった。
そして静かな女だった。
夜の店にいるのがおかしなくらいだった。
家に入って来るまでもそれからも
ずっとほとんど喋らずに、
でも俺から離れようとはしなかった。

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疾風と白昼夢(ある日のなんばあがある)

※以前ぶちまけたNUMBER GIRLの二次創作↓
の延長戦です。

そのため実在する団体、人物に影響は非常に受けていますが関係は全くありません。
物語はオリジナルなのでNUMBER GIRLを
知らない人にも楽しんで頂きたいです!
でも長えです。そこんとこご了承下さい。
では、はじまりはじまり〜

■■■

ひさ子は眩しさに目を覚ました。
屋根のないすみかは、雨に降られなければ
爽やかな目覚めを

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ライフイズ多分持久走

【持久走と人生は似ている。】
そう思ってから体育の時間が少し楽しい。

「持久走って何のためにやるんだろうね」
と言われた。
そんなの解らない。
それが解らないから今まで憂鬱だったのに。
ゴジラから逃げるためじゃない?と言った。
あの子は笑った。

始まる前から皆数人で固まっていた。
似たような人たち。似たような髪型。
産まれる前から決まってるってことか…
とか、適当に考えたりした。

ブザーが鳴

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宇宙人の嫉妬

瀬戸がまっくらの独り部屋に帰ると
そこには人がへばり付いていました。
大きさと等身からして7歳か8歳に見えます。
季節外れの半袖とタイツ姿でした。
罠を仕掛けておいたわけではありません。
それが手足を天井の角につっぱらせて
自力で張り付いていたのです。

瀬戸はその人物に見覚えがありませんから、
まず疲れによる幻覚だと考えました。
しかしいつまでもそれが見えるので
瀬戸は誰だと聞きました。
宇宙人

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最終回を始めよう #4『最終回を始めよう』

半分だけが見た本物

ラッキーパン太郎

予告通り大凶流れ星の解散ライブに行ったのだが、実はその10日前、道でクルエルにあった。
俺は一方的に話し続けた挙げ句、
ライブブチ上げてくださいねという
すごく恥ずかしい発言をしてしまった。
クルエルは当たり前だと言ってくれた。

結果はどうだったかというと、
やばかった。
どのようにやばかったのかを今から説明していこうと思う。

解散ライブ『最終回』の会

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最終回を始めよう #3『Dr.クルエルの犯行動機』

またバンドをやることになったら二つ返事でOKしようとはずっと前から決めていたけど、
その時の自分の本業が俳優であることは
想像していなかった。

私は【佐藤=クルエル=ギャラクシー】から
【久保華】になっていた。

ヒデ氏から電話が掛かってきてから一週間後
解散ライブが正式に発表された。
インディーズだったとはいえ、
そんなに早く決まってしまうのかと驚いた。
もう、後には引けなくなった。

“入念

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最終回を始めよう #2『ほつれていたばしょ』

すその端の糸が出ていた。
シャツでもほつれることとかあるんだなー。
まあ布製品だもんな。
仕方ないからまだ少し湿っているのを着た。
俺の服はスーツとスウェットのみだ。
今、というかここ数年。
さっきのシャツは捨てた。

通勤しながら計算したら8年だった。
つまり29からこんな生活を送っているのだ。
なんてつまらない人生なんだろう!
まあそれ以前から飛び出たものは無いけど。
だからやっぱり、あの頃は

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最終回を始めよう #1『道連れ、思い出す。』

道連れ、思い出す。

ラッキーパン太郎

“再会”と呼ぶべきなのだろうか。
彼らは正式に活動休止や解散を発表したわけでもなかったし、やはり違うだろうか。
だが、非常に久しぶりではある。うん。

僕はこのバンドのファンだった。
いや、“道連れ”だった。
大凶流れ星のファンのことはそう呼ぶ。
これで、どんなバンドなのかある程度お察し頂けると思う。

大凶流れ星は約12年前に尾崎英雄(Ba.Vo)、田田

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「あっ」という間に過ぎるキセツの中で

観光地ならどこでも活気がある訳でもない。
例えば某商店街の『ドサン』という店は
一軒家の1階で営業している土産屋で、
現在従業員は先代店長の息子だけ。
小倉は明るく人気者だった父と対象的に
陰気で、1日の大半を寝て過ごす男だ。
ここ2,3年は商店街を出てすらいない。

そんな彼をある友人は心配していた。
「趣味短歌て。28歳にして隠居生活かよ。」
翼は挨拶の代わりに皮肉を言う男である。
小倉は慌て

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