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イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 3/3

2024年6月9日 21:35


旅先で無いと困るものがある
失くしても何とかなるものもある

無いと困るのは現金、携帯、カメラ
逆になんとかなるのはパスポート

今現金の入った携帯とカメラ
そしてパスポートを持った警官に
護送車両に乗るように言われている

大丈夫、歩いて駅まで行って
そこから長距離バスにのるから

「教会の前で寝かせられない
 お前がカイロに帰るのを
 見届ける必要がある」

相当困る
パソコンも着替えも充電器もカバンも
200m先の友達の家に置いてある
今カイロに帰らされるわけにはいかない

スエズ運河も観てないし
まだ観光しながら歩いていくから
本当に大丈夫です

と日帰りお気楽観光客を装うも遅し
「カイロに帰れ」と言われてしまった

警察車両に乗ってしまったら
もうどこに連れて行かれるか分からない
夜中に突然勾留された友達を思い出す

この国では軍や警察は思うままだ
機材を没収されるかも知れない
人数が多すぎて買収もできない
携帯を取られているから
大使館に連絡もできない

熱中症らしき頭痛の中
脳天気な笑顔の下で頭を巡らせる

仮に行き先がバス停だったとして
バスに乗らずに済むのが最高の結果

出発後にすぐに降りても
検問所に情報が回っていて
確認されるかも知れない

カイロまで行かざるを得ないなら
明日またイスマイリーヤに
バスで戻ってくればいい
最悪の結果でもどうにかなる

5分で着くと言われたバス停だが
この土地の5分は1時間にもなる

護送車両に後ろ向きに座らされ
どこに向かっているのか分からない
見えても土地勘がないので分からない
私服警官は電話で僕の情報を話している

警察署に連れたらどうするか
もうこれはどうしようもない
過去の履歴も調べ上げられて釈放か
逮捕か国外追放かなんかだ
この線はまた何かあったら考えることにした

結局郊外のバス停に連れてこられた
所持品を窓越しに返された
バスを指さして「あれに乗れ」という

分かった、ありがとう
と言ってバス停のカフェに向かって歩いた
満足したのか車は走り去っていった

6匹も7匹ものハエにたかられながら
30分息を潜めタクシーで無事家に帰った

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