イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 2/3
2011年のアラブの春の際に
教会が爆破されたことがあった
それ以降警備は厳しく
教会の前にはライフルを持った
警官がおり身分証の提示と
荷物検査なしには入れない
イスラム教徒はまず入れない
バプティスト系は僕も入れなかった
こんな田舎の教会に
外国人なんて来ないんだろう
たまたま道を聞いた人が非番の警官で
そのまま詰所に連れて行かれ座らされた
失敗した
とても嫌な予感がする
現在のエジプトは独裁国家
警察は好き放題振る舞っている
基本心優しい国民なので
旅行者に対しては優しい
警察や軍人の前では
絶対にアラビア語も英語も話さないし
無害で能天気な旅行者を演じている
何度もパスポートをめくり
写真を撮り撮ってどこかに送る
無線と電話で上層部と話している
目の前に仁王立ちになり
あごをしゃくりながら
「宗教は」と聞いてくる
「仏教徒」と答える
中東で仏教について
知っている人はほぼおらず
存在すら知らない人もいる
「日本書紀」が好きなので
前は日本神道と答えていたが
多神教は邪教扱いされるので
最近は仏教徒を自称している
「パスポートにその記載がないじゃないか」
と言われる
日本のパスポートに宗教の記載はない
と答えても理解されなかった
熱中症か頭痛がし始めた
入れないなら帰るから
と言ってもダメだ待てと帰してくれない
滞在先を聞かれる
先日何人も旅行者を泊めていた人が
逮捕された話を聞いたばかり
友達に迷惑はかけられないと
「カイロに滞在してるからバスで帰る」
と嘘をついた
カメラの中身を見せろと言われ
再生ボタンを押しながら
瞬時に教会周辺と子どもの写真を飛ばして手渡した
携帯は恥ずかしいがインカムフォルダを見せた
ギャラクシーが多いこの国では
iPhoneの構造を知らない人が多い
既に20分を過ぎ
紅茶が振る舞われた
4丁のアサルトライフルが
無造作に置かれている
何より200m先の家に帰りたい
さらに待つと護送車が来た
これは大変まずい
険しい顔をした二人の制服警官と
陽気な私服警官が来た
手渡されたパスポートを見て同僚に
「インド人って言ったのに日本人じゃーん!」
と笑いながら叫ぶ
少し安心して笑う僕に言った
「乗れ」
つづく
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