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公私混合welcome!小さなつながりから生まれるプロジェクト~公共空間活用のススメ~

公共空間(公共施設、土地等)を多く所有する自治体では、公共空間の活用について、どのようにアプローチされているのでしょうか?

【公共空間活用のススメ】第2回は、都市経営プロフェッショナルスクールの公園課程を卒業された兵庫県の高砂市役所 石本玲子さんにお話を伺いました。

兵庫県南部に位置する高砂市。播磨灘に面しおだやかな気候に恵まれる。
北西部には「播磨アルプス」と呼称される山々。

【石本玲子氏プロフィール】

2022年現在、高砂市の政策部経営企画室企画課主幹。
建築課へ配属されたのち、一級建築士資格を取得されています。まちづくり推進室で建築指導等専門的なお仕事をされたのち、現在は企画や経営部門に配属されている異色な経歴の持ち主です。
さらに、2018年以降は課外活動も精力的に行っており、【仕事】と【課外活動】の両輪を回す、公私混同ならぬ、”公私混合”させたワークスタイルを創られています。

石本さんの活動紹介資料より

【自治体が直面する公共施設に関わる経営課題】

1960年代から1990年代の高度成長期と共に、全国的にインフラの整備が進みました。その時期に建設された建物の寿命が、現在、一斉に老朽化を迎えています。建設時は、国や県からの補助金によって財源が賄えても、多くの施設は、経年劣化により一定のスパンで修繕、改修、建て替えが必要になります。そのメンテナンス、更新に対しては、すべての施設に必要経費の補助があるわけではなく、身の丈以上の自治体の自主財源もしくは起債(借り入れ)によって維持管理せざるを得ない状況です。

つまり、自治体は、公共施設の運営において、将来発生するコストを念頭に置きつつ適正にマネジメントしなければ、自らの資産(公共施設)によって基本的な経営が圧迫され、結果として、住民サービスにそのツケが回ってくるのです。

そもそも、これらのことは予測される事態ではあったのですが、大量の公共施設を抱える自治体においても、全体を把握するデータすらしっかりと整備されていないケースも多く、後手後手のマネジメントになっているのが実態です。

私も10年前から自治体の公共不動産データベース化の仕事に携わり、問題の深刻さを目の当たりにしました。

2016年度頃より多くの自治体で公共施設マネジメントの取り組みが加速

【公私混合で公共施設マネジメントを一歩ずつ進める】

石本さんは、この課題について、かなり早い段階で気づき、職員提案制度の中で政策改善の提案をされたそうです。しかし、却下、、、そこから、数年後、政府においてもこの自治体経営課題についての対策を加速させる動きがあり、そのタイミングで公共施設マネジメントの担当部署に配属されたのがこの問題に本格的に取り組むきっかけになりました。

高砂市の方針資料:石本さんの活動紹介資料より

2016年度より石本さんの働く高砂市役所でも本格的に公共施設マネジメントの取り組みが始まり、市の方針づくりから、実践フェーズまでを担当されました。
高砂市の取り組み内容も公開されています。
石本さんの活動の特筆すべき点は、「自分の課外活動とスキルを、仕事に活かす」という、仕事と課外活動の両輪を回す公私混合のスタイルを実践されたこと。

石本さん活動紹介資料より

石本さんは2018年からグラフィック・レコーディングの活動に取り組まれており、様々な活動の記録をnoteにて公開されています。フカボリしたい方は、ぜひこちらをご覧ください♪

この公私混合スタイルの仕事の中で、自らの意思で都市経営プロフェッショナルスクールの公園専門課程も受講されました。2018年からは、高砂市の公共施設マネジメントの中で課題の多かった向島(むこうじま)公園エリアの改革に取り組まれています。

【小さなつながりから、カタチにしていく】

石本さんがモデル事業として手始めに取り組んだ「向島公園エリア」の市立3施設の指定管理案件。

3つの施設はそれぞれ施設所管する課が異なっており、向島公園エリアをより魅力的な場所としてマネジメントしていくためには一体的な活用コンセプトが必要となっていました。

都市経営プロフェッショナルスクールで実践的学習をしながらプロジェクトを進めていましたが、プロジェクトスタート当初、全く事業者のコネクションもなかったとのこと。最初に名刺交換した地元バス会社の1社の方から徐々に事業者とのつながりをつくることから始まったそうです。

そうして、出会った方とのつながりを大切にし、まず「小さくてもかたちにしていく」をモットーに小さな実践を積み重ねていかれました。

石本さんの都市経営プロフェッショナルスクールでのリアルなレポートの一部をご紹介します。具体的な実践があるからこそ、学びがあることが感じられます。

【石本さんの活動キーワードその1~どう始める?~】

石本さんが活動を続ける中で大事にしているキーワードを伺いました!今からエリアマネジメント、公共施設マネジメントに取り組もうとしている方へ!

■ 社会実験 ➡ 暫定利用 ➡ サウンディング/民間提案 ➡ 民間貸付
■ 仲間不足=1人だけではモチベーションが続かない。
■ 同じ価値観を共有できる仲間を見つける。まちのことを楽しむ。
■ 近所の人が近所のことを知らない、を解決する。
■ 資金不足=現物協賛。持ち寄り。知恵を絞ればなんでもできる。
■ 飲食店は街のハブ。
■ 情報不足=キーマンがいちばん街のことを知っている。
■ 面白いことをしている人と出会う。
■ 普段からローカルな店に出向く。
■ そのエリアのキーマンに出会う=情報はつながる。
■ 情報は発信する場所に集まる。
■ 自分の考えやアイデアを発信していくと仲間も情報も集まってくる。
■ 情報は垂れ流す。

【石本さんの活動キーワードその2~どう続ける?~】

スタートしたら、いかに継続していくか、が大事。そのために大切にしていること。

■ ファイナンスの事を考えること。
■ 持続するためには補助金頼らないスキームを考えること。
■ 補助金は+αとして考える!
■ チームで不満を貯めない。
■ フリーライドをしないこと。
■ 官民がWIN-WINになる対等なパートナーシップを築くこと。

さらに、石本さんが都市経営プロフェッショナルスクールを受講した後の実践編の詳細はこちらから!
#公園専門課程の振り返り【実践編】|Ishimoto Reiko(Rei*cocotora)|note

これらの実践的な学び経験しながら、トライアルサウンディングを実施、新たな指定管理事業者の公募までのプロジェクトを導いていかれたとのことです。無事に新たな指定管理事業者も決定し、向島公園エリアの新たな使い方が提供される場になっています。

高砂市公募説明会資料の一部
高砂市公募説明会資料の一部
高砂市公募説明会資料の一部

石本さんご自身のnoteでも都市経営プロフェッショナルスクールの経験をまとめられています。詳しくはこちらを。
ぜひ、みなさんも現地に足を運んでみてくださいね!

【まとめ】

行政の立場からみる公共空間は、自治体経営課題の巣窟のようなものです。だからこそ、これまで通りのやり方では到底課題は解決するはずがなく、新たな視点、思考、実践が求められます。

さらに、「まち」としてどんなビジョンを持って取り組むのかといった、本質的な問いにも向き合う必要があります。

そのため、どこから取り組むべきか?組織の壁をどう超えるか?など迷っている自治体担当者の方も多いのではないでしょうか?

都市経営プロフェッショナルスクールでは、公共施設マネジメントに取り組まれている方、公共空間を活用してまちに変化を起こしたい方にとって仕事に取り組む姿勢、変革の起こし方、ひいては人生そのものを変える良い機会になるのではないかと思います!ぜひ、一歩踏み出してみませんか?

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【受講対象となる方】

● 公園や広場等の公共空間活用担当の自治体職員の方
● PARK-PFIの動き等を知り公園活用に関心を持っていたり実際に参集したいと考えている地元企業経営者の方
● 事業者の立場から公共セクター向けに公民連携事業の提案をしたいと考えている方

詳細は以下をクリック!!
公共空間活用専門課程|都市経営プロフェッショナルスクール (ppp-ps.net)

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