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DX推進に必要なのは、自ら未来を切り拓くエンジニア!〜奈良県橿原市・デジタル戦略課のねらい〜

奈良県橿原市のデジタル戦略課に所属する山本 久敬(やまもと ひさゆき)さんと田島 洋(たじま ひろし)さんに、橿原市役所のDXのこれまでの経緯や今後の展望、そしてこれから募集する「情報技術職」についてお話を伺いました。

ーまず、簡単な自己紹介やこれまでのご経歴をお聞かせください。

山本:1991年に土木技術職として入庁し、主に道路工事に携わっていました。その後は契約部門での検査員、道路河川課や企画政策課、広報広聴課などを経て、デジタル戦略課に配属されて4年目です。現在は、担当副部長と兼務してデジタル戦略課長も務めています。

田島:2009年に入庁し、生活保護のケースワーカーを6年間務めました。その後、総務課で条例の制定や文書管理に携わり、2022年に現職であるデジタル戦略課に配属されました。

ーおふたりとも、元々はデジタル戦略とは異なる業務に携わっていたんですね。

山本:そうですね。現在も土木技術職ではありますが、デジタル戦略課では事務職のような仕事をしています。

田島:私も、文書管理を行う際にサーバーを取り扱ったり、アクセスを使用していた程度でした。大学も農学部でしたので、情報技術に関する学問的なバックボーンがあったわけではありません。

ーでは、デジタル戦略課の概要についてお聞かせください。

山本:庁内のパソコンやLANを管理する情報システム課は既にあったのですが、なかなか新しい取り組みを始めることができなかったんです。そのため、意欲的な職員が各々で企画するという状況でした。私自身も広報広聴課として、AI実証実験に取り組んだことがあります。そういった状況を集約するためにも、2021年にデジタル戦略課を立ち上げました。

現在、デジタル戦略課は6名の職員で構成されています。無線LANやペーパーレス化の促進、各種申請のオンライン化など、市役所のDXに関わる取り組みは私たちが中心となって行っています。

田島:私は、クラウドやネットワーク、サーバーの仮想化といった庁内インフラ整備を主に担当していますが、申請のオンライン化を主に担当している職員もいます。また、課長補佐以上の管理職は、庁内での打ち合わせ管理も業務の一つです。

山本:実際の業務については、あまりガチッと領域を分けていないですね。タスクが発生した場合、職員それぞれの得意分野や手の空き具合、状況を考慮しながら業務の振り分けを行っています。

ーデジタル戦略課での事業を通して、具体的にどんな成果が得られましたか?

山本:新型コロナウイルスのワクチン接種に必要な受付業務を、紙面からデジタルに移行しました。Kintoneを活用することにより、受付から接種摂取までの流れを迅速に行えるようになりましたね。

また、最近では保育園の一時預かり保育の受付もオンライン化し、電話に張り付いていないと申し込めないという状況が改善されました。

ーDX対応は様々な課と連携しあって行われるものかと思いますがどのように連携しているのでしょうか?

山本:基本的には相談されたものに対応する形ですが、受身ではなくこちらからも他の課に働きかけています。

たとえば、こども未来課と市民窓口課は関連する手続きも多いので、そちらは我々から積極的に働きかけてデジタル化を行っていきました。そうすることで市民は便利になり、職員の業務も効率化していけると考えています。

ー市役所のDXを進めるにあたり、現場の方々からはどのような反応を受けましたか?

山本:始めた当初は、現場も戸惑うことは多いです。しかし、一時預かり保育のオンライン化など、事業がスタートして職員にとっても大変便利だということが浸透すると、むしろ職員のほうから提案まで上がってくるようになりました。

もちろん、DXに対する反応は課や職員にもよりますが、職員自身が能動的になってきたというのは、非常に大きな変化でした。やはり、私たちが成功事例を見せれば職員のDXに対する気持ちもポジティブなものになりますし、小さな成功を地道に一つずつ積み重ねていく必要があると思っています。

ー現在デジタル戦略課が抱える課題についてもお聞かせください。

田島:技術や知識の蓄積、継承が課題ですね。たとえば、私たち自治体は現在、基幹業務システムを統一して運用する政府共通のクラウドサービス「ガバメントクラウド」導入に向けて動き出さなければなりません。

本来であれば、クラウドに造詣の深い職員がシステムベンダーの方と交渉をする必要がありますが、そういう職員がほとんどいないというのが現状です。

また、せっかくクラウドやサーバーの扱いに慣れてきても、全く別の部署に異動となってしまう職員も多い。これは非常にもったいないですよね。デジタル関連のさまざまなニーズが全庁的に発生している中で、やはり技術の蓄積が必要不可欠です。

ーそのような中で、今回新たに「情報技術職」という職種を求めることとしたんですよね。情報技術職として入庁すると、デジタル戦略課に長期的に配属されるというイメージでしょうか?

田島:情報技術職の方にはIT技術の蓄積に長期的に携わっていただきたいですが、入庁数年後には情報システム課をはじめ、他の課へ異動する可能性ももちろんあります。ですが、エンジニアとしてのキャリアパスを考えるうえで、DX領域だけではなく、さまざまな技術分野での経験は重要であると考えています。

ー情報技術職としては、どんな方が望ましいのでしょうか?また、入庁後の業務についてもお聞かせください。

田島:たとえば、外部事業者の方にネットワークの構築を委託するというときに「よくわからないから仕様書の段階から全部丸投げ」というのは避けたい。どういう運用をし、どんなネットワークを構築するのが正しいのか、そこまで考えられる方が理想ですね。なので、中途採用で入庁された場合はPM的なポジションをお任せすることになります。

また、予算や期間の都合によっては自分で手を動かさなければならない業務も発生しますから、サーバー構築やAWSの使用経験があるなど、実作業ができる方はもちろん大歓迎です。

具体的な配属や業務についてはスキルセットに応じて行い、専門知識を既存のメンバーに共有していただきながら現場の業務に携わっていただく形ですね。

ちなみに新卒の場合、門を狭めないためにも採用要件は設けておりません。情報技術系の学問を学んでいなくても基礎知識があれば、あとはその方自身の人間性をみて選考を行います。

ー今回の職員募集により、橿原市のDXをどのように発展させていきたいとお考えですか?

山本:住民情報の中には、橿原市の政策に生かせるデータが山ほど入っています。ですが、それを分析・活用し、どんな政策を打てば効果が出るのか考える、というところまで至っておりません。宝があるのにそれを生かせてないんですね。

だからこそ、サーバーに眠る「情報の宝」を活用できる方が入庁することによってそのような状況も改善され、橿原市の発展につながると考えています。情報を取り出して分析し、橿原市の状況を的確に把握した上で政策を打つ。

さらにはその評価まで行うというPDCAをまわし、データドリブンな政策を進めていきたいです。

また、DXに携わることで橿原市の全体像もみえてきます。たとえば、市内の転入・転出や人口分布の状況、道路や保育所を重点的に整備すべきエリアはどこなのか。

そんな情報を得られれば、デジタル戦略課としての業務はさらに幅広く波及していくはずです。そういった意味でも、情報技術職の存在は橿原市にとって重要だと考えます。

ー最後に、橿原市で情報技術職として働くメリットや魅力についてお聞かせください。

田島:エンジニアとしては、自治体のシステムにふれ、自治体がどのように動いているのかを中から見るということ自体が面白い経験なのではないでしょうか。また、技術領域がまだまだ確立されていない中でキャリアパスを自らつくり上げ、モデルとなる可能性もあります。

山本:技術者が大勢いるような環境では埋もれてしまうかもしれませんが、橿原市では技術職が少ない状況です。実力とやる気があればすぐにプロジェクトリーダーになり、自分主導でチームや事業を動かしていけますよ。

田島:また、一般的なIT企業は仕事を受注する側ですから、指示された細切れの作業をこなすという流れが多いと思います。一方、自治体は基本的に発注する側。

なぜこの仕事をする必要があるのか?というテーマを考えながら、ひとつのプロジェクトに最初から最後まで携われるということは、自治体における情報技術職の大きな魅力だと考えています。

ー本日はありがとうございました。

この記事は2024年4月30日にパブリックコネクトに掲載された記事です。
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