しゅんしゅんぽん×riraさん×これでもはははさん×しろくまきりんさん
好きですと言いだせなくて星の歌 / riraさん
俳句 季語は『星の歌』=七夕
わざとなの冷酒呑みすぎ送ってね / これでもはははさん
川柳
袖口をつかむ私の手をつかみ
つないで歩いた5メートル / しろくまきりんさん
短歌
恋に酔いたい / PJ (1300文字)
小説
去年の七夕まつりの日、結局私はあなたに「好きです」を言えなかった。
……いや、厳密には言っていた。
想いが伝わらなかったので、恋人になることはなかったけど、それでも友達以上には進展できたと思う。
お祭りの中。みんなからはぐれたふりをして、二人きりになった時。
私は意を決してあなたに言った。
「好き……」
あなたは、
「ん? 何を?」と気のない返事をした。
「え、ええと。あ、あ、あ……(なた)」
「あ、あ……?」
「あ、あ、あー熱燗!」
「なに?! 山田は日本酒派なのか!」
「え、あ、あー。はい……」
その後、あなたは止まることなくしゃべり続けた。
「おお、同志よ。こんなところに仲間がいるとは思ってなかった。最近の奴らは、ワインたら、チューハイたら、スコッチたら、挙句の果てにはカシスオレンジなんて注文しやがって。お前らの日本人なら日本酒を飲め。そう俺は声を大にして言いたい!
俺が好きなのは、富山の……」
せっかく、サークルの仲間たちが、七夕祭りの夜に二人だけの時間を作ってくれたのに、私はそんなふうに悪手を打ってしまった。
でも気が付いたら、二人だけの日本酒連合ができていた。
あなたはサークルの何人かに声をかけたけど、みんな気を使って断ってくれた。
そう、気が付いていないのはあなただけだ。
それから私たちは二人でデート……ではなく酒道の追求することとなった。
あなたは下調べをし、いろんな店へ連れて行ってくれた。解説付きで色んな日本酒を飲ませてくれた。
本当は日本酒は苦手だったけど、いろんな日本酒を飲んでいるうちに段々その良さがわかってくるようになった。
そして、それに比例するようにあなたへの想いは募っていった。
いつの間にか私たちは「レイさん」「しずく」と下の名前で呼び合うようになっていた。
そんな楽しい日々はあっという間に過ぎていき、気が付けば友達以上恋人未満のまま1年の月日が流れていた。
そして今年の七夕まつりは、日本酒連合の二人だけで出かけることになった。
『今年のこそ、去年のリベンジを果たす』
私は心に強く誓っていた。
祭り当日、私は自然な流れで祭りの喧騒から離れた。
いよいよその時が来たのだ。
私は意を決してあふれる想いを言葉にした。
「好き……」
「ん? 何を?」
「え、ええと。レ、レ、レ……(イさん)」
「れ、れ……?」
「レ、レ、レー冷酒!」
って、またやってしまった……私のバカバカおバカ!
「おお! やっぱり夏は冷酒だよな!。よし、最近いい店見つけたんだ、北陸は福井、黒龍酒造の『しずく』が置いてあるんだ」
「え? しずく?」
「あぁ、いつかしずくに飲ませたいと思って探していたんだ」
「私のために?」
「ん、まあそうだな。それより人気店だから席が埋まる前に急ごう!」
そう言って、あなたは私の手を引いた。
5メートルだけ進んでから、あなたは気が付いたように手を離した。
「あ、いきなりごめん」
そう言って、背を向けて歩くあなたの袖口を今度は私がつかんだ。
あなたは一度止まってから、振り返ることなくそのまま歩き続けた。
今日は飲み過ぎたふりをして送ってもらおうかな?
そんなことを考えながら、何も言わずに歩いていくあなた袖口を、私は強く握りしめた。
《了》
黒龍酒造様。スポンサード、お待ちしていますm(__)m
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お時間が許す人は、読んで感想をお願いします~
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