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猫が来た

一人暮らしをしている娘が、同居してくれる猫を探している事を私の会社の友達に話したら、その又友達の遠方に住むお母さんが外猫をお世話していて去勢もワクチンも済んでおり貰い手を探していると話がきて、これもご縁とお迎えする事になった。

ワクワクお迎え準備を始めた私達だが引取りの日時を決める時になって、
やや違和感を感じ始める。
「夕方のエサをやる時に捕獲しましょう」とメールがきたのだ。
え?捕獲しといてくれての引渡しじゃないの?
一緒に捕まえる感じ?

しかも言われた時間が夕方だったので車で遠方まで迎えに行くので時間を
早めにして欲しいとお願いしたら早めに来て我家で疲れを休めてくださいと…。

結局、到着してから数時間その方のお家で色々な猫の写真を見せられながら外猫に対するご自身の熱い思いを聞き散歩まで一緒にして夕方の餌やりの
時間を待つはめに。

地域の掲示板が目に入る。
そこには「猫に餌をやらないで下さい」と貼り紙があった。
「こんなの貼られちゃってさっ」とその女性はイラつきをあらわにしていた。

保護猫の譲渡を受けるつもりだった私達は全然事態が飲み込めない。

ようやく「じゃあ行ってみようか」と促され待ってましたと外に出る。
餌やりで「借りてる」というその場所はそこだけ時間の流れが止まったかのような古びた薄暗い団地の自転車置き場だった。

その女性が自分のお尻をパンパンパンと勢いよく叩き始めると何処から
ともなく一匹また一匹と無数の猫達が集まってくる。
こんなに沢山…。

でも写真で送られてきた猫が現れない。
女性は焦り、私と娘はもはやゲンナリ。

しばらくするとかなり体格の良い猫が向こうからやって来た。
ラインに送られてきた写真の子に似ているけど色合いが違う。
写真で見た子は薄いグレーのアメショー柄の子だった。

…が、女性が言った。
「あー来た来た!」

送られて来た写真はその女性に抱かれた猫が写っていたけど…。
キレイドリツカッタナ…。
どっちも実物とだいぶ違う。

女性は餌を食べ始めたその猫を何度も捕まえようと試みるが爪を立てられて逃げられるの繰り返し。

しまいに猫を刺激しないよう車の中で待っててと言われ私達は車に乗込み
待つ事に。
辺りは暗くなってきて全くもって事態が飲み込めないまま、ようやくその猫は捕獲された。

ものすごい疲労感の中、猫を連れて帰路につく。
帰りの車の中、娘と話して心の整理。

要はあの女性は外猫に餌をやっていて地域住民の人から注意を受けている。
しかも半端ない数の猫達。

この子も、あの女性が去勢やワクチンをした訳ではなく住民から苦情に
なってるがゆえボランティア団体さんさんが捕まえて去勢とワクチンをし去勢済みのあかし、お耳カットをして又あの場所へ戻した。

でもあの女性は周りの人に、ただ餌をやってるだけじゃなく、きちんと避妊去勢、ワクチンをして貰い手を探していて自分は保護活動をしてると言ってる、でも実はそうではなかったんだ。

いきなり捕獲され県をまたぎ知らない所に連れて来られたこのオス猫。
猫を含め私達の頭は大混乱と極度の疲労で一日を終えた。

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