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動作観察・分析能力を高める大切な視点「重心編」

本日もお越しくださりありがとうございます。

はじめに

臨床で大事なのは、
現象を解決するために必要なのは、
「運動学」「生理学」「解剖学」ということを、
実習や臨床の中で1度は耳にしたことはあるとおもいます。
今回はその中の1つで、基本的に知って歩行・動作観察に役に立つ視点の1つ
「重心」
についてお伝えしたいと思います。


重心とは

重心というのは、漢字で示されているように
さの中
ですので、サイコロなどの立方体(重さは均一)であれば、そのものの中心になるわけです。
2次元で考えると、下図のように面の中心になります。
積木のように2つのものが重なっている場合(下図右)はそれぞれの重心の中点になります。3つの積み木でも考え方は一緒です。

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では、身体の場合を考えてみましょう。

身体重心(COG:Center Of Gravity)とは

国家試験を受けるために必ず学んでいるはずの「身体重心」を確認すると、
正常な成人の重心は
立位姿勢において身体重心(COG)は身長の56%の高さに位置するとされていて、おおよそのめやすとしては「第2仙椎の約2cm前方」と言われています。
これは大事な知識だと思いますが、
歩行中に第2仙椎の約2cm前方の位置変化を観察し続けられるでしょうか。
かなり難しいことだと私は考えております。
なぜなら、正常歩行中の重心移動の量は
上下動が約3〜4cm、左右動が約4cmです。
ということは重心の移動は中心から上下1.5cm、左右2cmとなり、本当にわずかな量です。
さらに言うと2横指もないということです。
ですが、重心を意識してみようと思うことはとても大事なんです。
どんなふうに大事かと言うと、
床反力や関節モーメント、バランス制御などの理解を深めると気に役に立つんです。
ですので、
そんな簡単なこと知らなくてもいい。
なんて思わずに、基礎の確認程度で読んでいただけると嬉しいです。

立位の重心の見つけ方

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これらの人たちの重心位置は全て、第2仙椎の約2cmが身体重心で良いでしょうか。
もちろん答えは「違います。」
ですが、きちんと違うと言い切れますでしょうか。
身体の形(姿勢)が変われば、中心が変わってくるわけです。
では重心の見つけ方はどうしたら良いのかというと、
上半身の重心と、下半身の重心の真ん中(中点)を見つけたら良いわけです。
上半身の重心:第7〜8胸椎(さっきの2つの箱で言うと赤色の箱)
下半身の重心:下半身重心は大腿長(大転子〜大腿骨外側上顆)の1/2〜 上1/3の中点
(さっきの2つの箱で言うと水色の箱)
この真ん中を見つけましょう。
「???」
となった人は、1つずつ確認していきましょう。
わかっている人は、スクロールして飛ばしてください。
では、上半身重心はといいますと

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おおよその位置は、剣状突起の位置です。


次に下半身重心ですがこれが少しわかりにくいんです。

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私自身、最初はこの大腿長の1/2〜1/3の中点といわれても全くわかりませんでした。
ですので、下に模式的に表します。

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と上図の赤丸が大腿の1/2と大腿の1/3の中点となり、下半身中心となる場所になります。
個人的には三次元動作分析などを使うような研究では使うことがあると思いますが、臨床の中でこんなに詳しく知らなくてもいい知識だと思います(笑)
では、例題です。
下図の人の重心はどこでしょう・・・



作業として
①上半身重心に印をつける
②下半身重心に印をつける
③その中点に印をつける

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おまけ・・・
この重心の位置から下に線を下ろすと・・・・
支持基底面の中に重心がない!!

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ということは、この水飲み場を手でもってないと・・・
「転倒!!」
と言うことで、重心を意識していくことを続けていくだけで、患者様がどんなバランス制御をしているのかなんてものも見えてきたりします・・・

基本的な内容ですが、臨床の視点を広げるためにも知っておいて間違いのない視点です。
是非、これを読んだ後は、患者様利用者様の重心を意識してみてください。

次回は、この重心を使って、歩行観察から分析をするために必要な床反力の基礎についてお伝えしようと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
次回を楽しみに待っててください。

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