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chamber of raven〜漆黒の荻窪〜

日曜の昼下がり、荻窪を彷徨っていて路地裏に迷い込んでしまった私たちは

突如目の前に現れた漆黒の洋館
におもわず目を奪われ、そして立ち止まってしまった。

一体ここは何なのだろうか?
居酒屋ばかりの路地に、なぜ?

だがどうしても入らなければならないような気がする。

私たちは震える手で、重厚な扉を叩いた。
ギィ、と軋みながら開く扉。


そこには女がいた。
彼女はまるでカラスの羽のような漆黒の服を身に纏い、そして私たちにこう告げた。 「ようこそお越しくださいました。」 その瞬間、私たちの視界は
漆黒の闇に包まれた。

気づけば私たちは
異世界にいたのだ。

聞けば彼女は、カラスの化身だという。
この館には、ドラゴンの卵・伝説の秘薬、なんでも揃っている。 





そして
今日出会った記念に、と私達をもてなしてくれるというのだ。 「では、こちらへ。」




 案内されたのは、革張りの立派なソファであった。旅に疲れた私たちには、涙が出るほどありがたかった。

彼女は不敵な笑みを浮かべながら、問いかけてきた。 「では、あなた方にぴったりのお茶をご用意いたしましょう。
…お望みは、ございますか。」 欲にまみれた私たちは即座にこう告げた。
「三十路手前にして、肌にハリツヤがないのです。老化が、怖い。いつまでも若々しくありたい。」 かしこまりました、とつぶやき
彼女はニコリと笑って去っていった。 「お待たせいたしました。」 期待と不安が入り混じる私たちの目の前に置かれたのは

どちらも不老不死の力
があるという

人魚の涙 と 錬金術師の叡智を結集させたという秘薬だった。



私たちは喉の渇きに任せて、一気にそれらを飲み干した。 「ありがとうございます。
このご恩は必ずお返しします。」 泣きながら礼を言う私たちに、
彼女は相変わらずの笑顔で、いいんですよ。と告げた。 「これで不老不死。私たちのお仲間です。こちらには時々、冒険好きの人間が迷い込んでしまうことがあるのです。
あなた達冒険はお好きですか?」 館内を見渡した。
魔法のチェス、ドラゴンの卵、伝説の秘薬…。
夢のような世界が私たちを取り囲んでいた。

これからどんな冒険が始まるのだろう?

胸を高鳴らせて、あの重厚な扉を開いた。

まぶしい。

そこはもとの、荻窪駅商店街だった。

スーパーで買い物をする奥さん、はしゃぎ回る子供達、なんてことない日常。 

私たちは友人同士で荻窪を散策している、ごく普通の日常を送る人々の一部でしかなかった。 「え…?今の、何?」 

私たちは狐につままれたような気持ちでお互い顔を見合わせた。 

「白昼夢?」
「あれ、でもこれは…」 

友人の手には漆黒の袋が握り締められていた。

中を覗くと、あの秘薬の瓶が丁寧にしまいこまれていた。 「それとも現実?」 


人魚の涙は、爽やかな夏の味がした。

 

なんてね。

ちょっとした私の妄想ストーリーならお付き合いいただきありがとうございました。

でもあながち、嘘ではありません。

chamber of raven

荻窪にある、一歩足を踏みいれたらダークファンタジーの世界。というコンセプトのカフェに行ってまいりました。

中二心が疼きますね!

本当に、人魚の涙や伝説の秘薬が飲めちゃいます。

もちろん秘薬のボトルは、お持ち帰りOK。というかお持ち帰り用に、高級感のある漆黒の紙袋と、包装用のビニール・箱もつけてくれます。友人は今度、えげつない色のジュースをこれに入れて電車の中で取り出して飲みたいそうです。

職質されるよ。


今回私たちが注文したドリンクはどちらもアップルベース。フルーティーで夏らしく、爽やかな味わいです。

ちなみに。

・チープさを感じさせないどころか高級感さえ漂う装飾や備品

・ゴシック風のお洋服を着たお姉さんの優しい丁寧な接客

・館内散策、撮影は好きなだけ大歓迎

この手のコンセプトカフェって当たりハズレがあるイメージなのですが、こちらは下手なテーマパークよりはよほど世界観が完成されています。

そして、ドリンク・デザートが、かわいいだけじゃなくとっても美味しい。


パンケーキも、さくっ・フワッ。  とても美味しいですよ。


そして、店内の静かで落ち着いた現実離れしすぎた雰囲気と、外の日常感の塊のような荻窪の商店街のギャップがすごい。

本気で、狐につままれた感じになります。


みなさんも、荻窪から徒歩2分で気軽に異世界体験してみてはいかがでしょうか?

心は中学二年生!



それでは。





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