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公認心理師試験対策2 ~学業不振—コロナ禍における学習環境の変化を踏まえて—

早速、公認心理師試験対策の第二弾!

今回は第一回試験問題問68をピックアップ。


12歳の男子Aの状態を問う問題です。受験当時のツイッターでその選択肢について考察されていた記憶があり懐かしく感じます。

選択肢として、学業不振、学習障害、発達障害、学級不適応、モラトリアムが挙げられています。

授業中ぼんやりしていて、学習に対して受け身な様子、クラスメイトとは休み時間を楽しく過ごしている様子が問題には書いてあります。

まず最初に、モラトリアム(E.H.エリクソンの提案した、青年期を延ばし大人になるまでの猶予期間)は、アイデンティティの拡散(混乱)を事例の中から読み取ることができないことより選択から外れるかと思います。

次に、学級不適応です。学級不適応は、発達障害や学業不振を包括する考え方だと言えます。一般的には、それらの背景を踏まえ、不登校になるまたは、学校に行きたくなくなってしまうことを指します。この事例では友人関係は良好で、休み時間も楽しく過ごせているとのことなので、選択から外れます。

とすると、残りは「学業不振」「学習障害」「発達障害」から選ぶことになります。

さて、不適切とされる2つのワードを除き、この3つの選択肢から男子Aをアセスメントしていくことになります。

学習障害は、事例中に読み書き、計算の能力に問題がない記述より除外。

発達障害については、知能指数は標準的、友人関係のコミュニケーションが良好、授業中の離席がないこと等より除外されます。

とすると、残されたのが学業不振ですね。健康や性格、環境などの要因より知能水準から期待される力よりも低い学業成績を示す者をアンダーアチーバーと言います。

授業中の様子から、何らかの背景により学業への意欲が削がれてしまっているように思われます。

教育の現場や、一般的な認識の中で発達障害という言葉が世の中に浸透しつつある一方で、その子は本当に発達障害ですか?正しいアセスメントがされていますか?という問題提起の意味合いを含んでいるような問題で非常に深い1問だと思っています。


現場で子どもたち、先生方、そして保護者の方々と関わる中でコロナ禍による長期休暇が与えた影響というものも大きかったように感じています。長期休暇による学習環境の突然の変化。長い間、家庭学習をせざるを得ない状況で、その質はやはりそれぞれに大きな差がでてしまっているのも事実です。

また、学校が再開した直後は久しぶりの学校になかなか意欲が高まらない児童、休み中の生活リズムの崩れから日中の眠気に悩む児童も多く見受けられました。

学習環境の変化に合わせてコロナ禍の漠然とした不安や、友達とも満足に遊べない不満などの様々な要因を内包し、結果的に今の世の中の状況が学業不振の状態に影響を及ぼしていることも考えられますよね。

親の視点でみると、学業不振は怠けと捉えてしまいがちです。しかしながら、今の情勢などを踏まえ、先生としっかり情報を共有しながら子どもの学習や育ちを支えていく視点が非常に大切になっていくと思います。

本noteではシリーズ「ゲームと勉強と子育てと」でも、勉強へのモチベーション向上に関する提案をしていきたいと思っています。合わせてご覧ください。











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