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心理系大学院生のお金事情【支出・収入】

この記事では、公認心理師・臨床心理士を目指して、心理系大学院に在籍している大学院生(修士課程)のお金事情を「支出」「収入」に分けてまとめました。
筆者は国立大学院に通っているため、「国立大学院に通っている学生のお金事情」であると考えてください。私大の場合、学費や寄付金など、さらに高くなります。
また、各種金額については、大学や年度ごとに異なります。必ず各自で最新の情報を集めるようにして下さい。


支出編

1.大学院合格までにかかる費用


大学院合格までにかかる費用は、以下の通りです。

  • 受験料

  • 予備校代

  • 参考書代

「受験料」
まずは、大学院を受験するために「受験料」が必要になります。筆者が調べたところ、多くの大学院は1回受験するための受験料が3万円でした。受験料自体は3万円ですが、受験申込時に、証明写真、卒業証明書・成績証明証などが必要となるため、発行手数料が必要になったり、振込手数料がかかったりします。また、志望大学院までの交通費や場合によっては宿代なども必要となります。諸々を勘案すると1校当たり3万5千円~5万円程度の出費が必要となります。
受験に必要となった費用はこちらに詳細をまとめてあるので、参考にしてください。

「予備校代」
大学院受験時に、予備校を利用するかに関しては、本人の置かれた状況や知識、環境などによって必要性が異なってきます。1校当たり数十万円程度かかります(費用やサポート量、授業の質などは予備校によって異なります)。
大学院合格のために予備校に通う必要があるかどうかについては、こちらの記事にまとめたので参考にしてください。

独学で合格している人もいますが、(今まで研究を本格的にやったことのない人・周囲に研究している人が居ない人は)少なくとも研究計画書の添削だけはプロに依頼することを推奨します。理由については、上記記事にて解説しています。

「参考書代」
大学院受験のために必要となる参考書代がかかります。自分が大学院受験の時に活用した参考書はこちらで紹介しています。


2.大学院で学ぶためにかかる費用(最低限必要なお金)

無事に大学院に合格したら、大学院で学ぶために、最低限下記のお金が必要になります。

  • 入学金

  • 授業料

  • 教科書代

  • 定期代

  • ノートPC代

「入学金」
無事に大学院に合格したら、大学に払い込む必要のあるお金です。国立大学院の場合、28万円程度です。私立大学の場合はもっと高い大学院が多い印象です。
また、「入学金免除制度」がある大学院も多く、経済状況などを申請すると入学金が免除される場合も多くあります。また、私大の場合は上位合格者への免除制度が整っている大学院もあるようです。
社会人だった人も、大学院入学に伴い退職などして、収入が大きく減っている場合は、入学金が免除になる可能性もあります。一度合格した大学院へ問い合わせてみることをお勧めします。

「授業料」
国立大学院の場合、年間約54万円です。2年間通うためには約108万円用意する必要があります。(私大はもっと高いです)前期と後期に分けて支払ったため、春と秋に約27万円ずつ支払うことになります。
こちらも、入学金同様「授業料免除制度」がある大学院が多くあります。経済状況など諸条件はありますが、自分が当てはまるかどうか、一度調べてみる価値はあると思います。

「教科書代」
授業中に使用する教科書の購入を求められる場合があるので、その場合は教科書代が必要となります。大学院で使う教科書は、学部時代と比べて専門性がさらに上がるため、1冊の値段が高いんですよね…同期と「教科書代が高すぎる―」と愚痴りながら、泣く泣く支払っていました。
授業によっては「購入する必要はありません」とアナウンスされる場合もあるので、各授業の先生の指示に従うと良いと思います。また、自分の通っている大学院の生協で本を購入すると10%オフだったので、大学生協を使い倒していました。

「定期代」
大学院までの定期代が必要になります。学生定期なので、社会人用の定期より安く済みますが、通学距離が遠い人にとっては、それなりにまとまった出費になります。また、車通学の人はガソリン代や車代などが必要になるでしょう。

「ノートPC」
大学院で学ぶ際にはノートPCは必需品になります。論文執筆だけでなく、課題レポート、プレゼン準備、心理検査の所見作成、カウンセリングの記録作成など、毎日ノートPCは使います。オンライン打合せや授業でも活躍します。
筆者の学部時代は、教科書と印刷したレジュメ、ノートとペンで大学の授業を受けていたのですが、授業スタイルがどんどん進化し、2023年現在では授業中にノートを広げている学生はほぼ見ません。全員ノートPCやタブレットにレジュメや資料を写しながら、授業を受けています。
軽く、持ち運びしやすいPCを購入するのがおすすめです。

3.実習関連

公認心理師・臨床心理師を目指す場合、実習を実施することになります。実習は大きく「内部実習」と「外部実習」に分類されます。実習内容や忙しさに関してはこちらのマガジンにまとめているので、詳細を知りたい人は参考にしてください。

実習関連にかかる費用は以下の通りです。

  • 相談員登録料

  • ボランティア・実習保険

  • 実習先までの交通費

  • 実習費

「相談員登録料」
臨床心理士・公認心理師を養成している大学院では、大学院ごとに「心理相談室」を運営しています。そこの相談員として活動するために登録料や運営費などが徴収される場合があります。運用体制や費用は大学院によって異なります。

「ボランティア・実習保険」
実習に行くにあたり、損害賠償保険などに入ってください、とアナウンスされる大学院がほとんどだと思います。自分は生協経由で大学が推奨している保険に入りました。1年につき数千円程度の保険が多いと思います。

「実習先までの交通費」
外部実習に行くときは、実習先までの交通費を負担する必要があります(少なくとも自分の大学院では)。長期間実習に行くことが多いので、塵も積もれば…交通費も結構かかります。

「実習費」
実習に参加するにあたり、実習費が徴収される大学院もあるようです。実習に関するお金事情は、大学院ごとに大きく異なると考えられるので、心配な人は志望大学院の先輩などに確認すると良いと思います。

4.学会


大学院生になると学会へ参加する機会もあるでしょう。学会に参加したり加入するためのお金が必要になります。

  • 学会費(入会金、年会費)

  • 学会参加費

  • 遠征費(交通費・宿代など)

「学会費(入会金・年会費)」
学会に入るときには入会金と年会費が必要になります。大学院生は、安い値段で入会できる学会もあります。とはいえ、数千円~1万円以上かかる学会も多いので、お財布と相談することになるかと思います。

「学会参加費」
学会へ参加するときには、学会参加費が必要になります。自分が学会発表をする場合は、参加費や交通費が大学院などから援助してもらえることもあるでしょう。

「遠征費(交通費・宿代など)」
対面学会に参加するときは遠征費が必要になります。交通費や宿代などの出費も見通しておく必要があります。交通費に関しては学割などを利用して、少しでも安く移動できるように工夫していました。

5.自己研鑽

心理士たるもの、自己研鑽が大事だ!とは学部時代から口酸っぱく言われていましたが、まさにその通りだなと感じています。自己研鑽にはお金がかかります…!

  • 参考書代

  • 勉強会、研修等への参加費

「参考書代」
教科書以外にも、必要だなと思った参考書は購入して勉強しています。研究室にある本屋図書館で借りている本もありますが、良書は手元に置いて長く使いたいなと考えています。
心理学の勉強に役立った参考書はこちらにまとめています。

「勉強会・研修への参加費」
心理職や大学院生向けの研修会やセミナー、勉強会などは多く開催されています。自分は大学院の先生や先輩からのアナウンスや、Twitterなどを見て研修情報を入手しています。
無料で開催されている勉強会もありますが、お金を払って参加するものもあります。

6.社会人出身者の落とし穴

社会人出身者の場合、大学院関連の出費だけでなく、住民税や所得税で思わぬ出費が必要となる場合があります。特に、大学院入学前まで定職についていて、大学院進学に伴い退職した場合、住民税や所得税が前年の収入にかかってくるので、請求額に驚いた…なんて声をちらほらと聞きます。社会保険や年金、税金関係の出費についても、事前に確認しておくことを推奨します。

収入編

続いて、大学院生の得られる収入についてまとめます。正直、しょっぱいです…(特に社会人経験者にとっては収入の減り方がかなりつらい)
収入に関しては、筆者の知らない情報があると思うので、「こんな収入もあるよ!」などご存じの方がいらっしゃれば教えていただけると嬉しいです。

1.奨学金

大学院生がお金を入手する方法としてまず考えられるのが奨学金でしょう。奨学金には「貸与型奨学金」と「給付型奨学金」があります。貸与型奨学金は、「お金を借りる」ことになるので、借金を負うことと同じです。給付型奨学金は「お金をもらう」ことになるので、生活費や学費の足しとして活用できます。
まず考えられるのが「JASSO 日本学生支援機構」の奨学金です。
2023年2月現在、貸与型の第一種奨学金(無理し)を修士課程の大学院生が借りたいと思った場合、毎月「50,000円」と「88,000円」のどちらかを選ぶことができます。さらにお金が必要な場合、第二種奨学金(有利子)を借りることもできます。
また、奨学金の返済免除制度もあり、こちらは成績優秀者が獲得できる制度になっています。筆者は奨学金を借り、返済免除制度を狙っています。こちらに通れば、借りた奨学金の返済は不要となるので、実質毎月「50,000円」もしくは「88,000円」をもらいながら大学院へ通うことができます。(審査は大学院を卒業するタイミングなので、審査に落ちたら借りた奨学金は返済する必要があります…)
各種条件については、奨学金のHPなどを確認してみてください。

また、他の奨学金制度を活用して大学院へ通っている学生もいます。大学院ごとの奨学金や給付金などもあるので、各自調べてみてください。

2.アルバイト

アルバイトやTAなどをして収入を得ることもできます。ただ、大学院生活は忙しいので、かなり多くの時間をアルバイトに費やすことは難しいと考えたほうが良いと思います。
筆者もアルバイトをしていますが、週1-2日程度、3-4時間程度です。大学院生活とアルバイトの両立に関してはこちらの記事を参考にしてください。

また、大学院生の忙しさや1週間スケジュールに関してはこちらの記事にまとめています。


まとめ

大学院へ進学したいけど、お金の面が心配…という人も多いと思います。

特に社会人経験者の方は、仕事をつづけながら大学院へ通うことを検討している人もいると思います。
他の学問領域であれば社会人を続けながら、大学院生をしている人も多く見かけますが、残念ながら「臨床心理士・公認心理師」を目指す人の場合、週5フルタイムの仕事と大学院生活の両立は難しいのが現状です。実際に社会人から大学院へ進学した筆者の所感はこちらにまとめているので、「仕事を辞めて大学院へ進学しようかどうか迷っている人」は参考にしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらのブログで、心理系大学院の受験対策や、大学院生活のリアルについて書いているので、よければチェックしてみてください。

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