google検索は何処まで信頼できるのか?

 前回と前々回で、最近の若者の積極性の無さを指摘する主張が発生する原因についての考察を書きました。「最近の若者はハッキリ意見を言わない」等の批判が何故起こるのか。
 今回もその続きです。3つの仮説、
①Z世代メンタルが弱い説
②多様性社会仮説
③インプット思考仮説
を上げました。
前々回は「①Z世代メンタルが弱いのか?」、前回は「②の多様性社会仮説」を記載したので、今回は「③インプット思考仮説」から解説してます。

インプット思考仮説

 インプット思考仮説とは、自分で考えるよりも、他(ネットなど)から知識を得ようとする傾向がある、という仮説です。自分の意見より、他人の意見の方が優れている(と考える)場合、取る行動は「他者の意見を待つ」又は「調べる」などの行動に収束しやすいと考えられます。
 この傾向は、現在の様なネット社会では自然な流れです。自分の意見よりも圧倒的に優れた考えが、ネット上で簡単に見つかる場では、考えるより調べてインプットする行動の方が正当化される場面が多いです。具体例を見ていきましょう。

 例えば、将棋の初心者が大 対戦をする場合で考えてみましょう。以下の知能の差のない AさんとBさんの2名が戦った時、どちらが勝つか考えてみます。
  Aさん:自分で考えた戦法で戦う。
  Bさん:存在する戦法を調べてから戦う。
 この2者が戦った場合、順当にいけばBさんが勝つと予測できると思います。
 Aさんが時間をかけて考て指す一手が、Bさんが調べて指す歴代のプロ棋士やAIが考え抜いた一手を超える事はほぼないでしょう。単純に、
「素人 vs 歴代の天才たち」
の構図が擬似的に形成されている状況です。これでは、勝負にならない事が分かります。

 次に、会社のプレゼンで勝負した場合も考えてみましょう。先ほどと同じように、AさんとBさんで比較します。
 Aさん:一から自分で考えた案を発表
 Bさん:成功事例のある案を調べて発表
 これも、おそらくBさんの方が採用されやすいでしょう。将棋の例ほど極端ではないですが、
 「一般人(Aさん) vs 成功者」
の構図で見ると、Bさんの方が優勢だと思います。

【補足】
 ここまで見ると、「じゃあ、考えるのは無駄なのか!(怒)」と思うかもしれませんが、その考えはやや安直です。「ネットで調べる=何も考えない」ではないと思います。調べた情報の取捨選択や活用法を考える必要があるので、考えなくなるというより考える事が変わった、と言った方が正しい認識な気がします。

 まとめると、Z世代(若年層)は一から自分で考えたものより、調べて得たもの方が価値があと感じやすい社会で成長期を過ごした。故に、直ぐには意見を言わない、選択をとると考えられます。
 自分で考える事(又は調べる事)にどれだけ信頼してるかの、世代間の差によって引き起こされるジェネレーションギャップ。
 昔は「自分を信じる事」で自信を得てましたが、現代では「検索しインプットする事」で自信を得ていると、考えられます。

まとめ

 3回に分けて「若者の積極性の無さ」をの原因を考えてきましたが、多様性社会仮説やインプット思考仮説を一言でまとめると「この時代の生存戦略ではないかな?」という事です。
 冷静に考えて見ると特定の世代が、全員怠惰な人である事はあんまり考えられません。歴史的にみても、雑なカテゴリ(世代や人種)への批判は、殆どの場合、差別や偏見や勘違いである場合がとても多いです。
 従って、雑なカテゴリでの議論や主張を見かけた時は、冷静になって考える事が大切です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?