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あってないようなルールの話

「あなた、”結婚”しているのよね?」

保育士の妻が突然園長からの呼び出し
呼び出されたのはつけていた”指輪”についてだった

保育の現場では
・ピアス
・ネックレス
・石(ダイヤとか)がついた指輪
は禁止だったけど、婚約・結婚指輪(石がついてないもの)はOKというルール。

もちろん妻がつけているものには石がついていない
ルールは守っているけど、それでも園長は何か物を申したそうに言葉をつづけた

「あなた、”結婚”しているのよね?」
『まだですが、来月する予定なんです』
「つまり”まだ”なんだよね?」
『そうですけど…”婚約”指輪も大丈夫なんですよね?』
「それはそうなんだけど…ほら、保護者の目もあるじゃない?」
『どういうことですか?』
「まだ結婚してないのにそういうつけると他人からしたら気になるじゃない?」
『いいえ…別に…』
「とにかく、”まだ”結婚してないならつけないほうがいいかなって思って」
『会社の規定を私は守っているんですけど…』
「ほら、規定は規定よ。」

結局話は終始平行線で終わった。
園長はハッキリとは「外しなさい」とは言わない
あくまでも”促す”形だけど、伝え方もそうだし、理由もイマイチしっくりこないもので聞いている僕もモヤモヤっとした

結局そのまま付け続けたけど、園長からのあたりは強くなるし
なんなら周りからの視線も少し痛い

こういう”結婚”的な話って保育の世界では結構センシティブらしく
”女性が多い職場”ならではとのこと

その後も妻は来月結婚する話を伝えたハズなのに、週1ぐらいのペースで「結婚はどうかしら?順調?」と確認される日々

まるで”何か良からぬことを期待するかのような”言い回しに妻も少し疲れてしまっていた

そして婚姻届けを出した翌日に園長に報告すると
「そう」
と、一言だけ。

妻としては「おめでとう」という言葉が欲しかったわけじゃなかったけど、寂しい感情が溢れてしまった。結局指輪についてはそのあと触れられることはなかったけど、あの時のやり取りに”結論”が出ないまま終わってしまった話がずっと心に引っかかっていた

ルールはルールっていう言葉もあるけど、守っている人に対してかけるべき言葉ではない

そう強く感じた話。


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