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攻擊行動(aggressive behavior)

○攻撃性

 危害を避けようとしている他者に対して危害を加えようと意図してなされる行動。

①内的衝動説

 攻撃動機は内発的で人間の本性から切り離すことができないと考える。
 フロイト (Freud, S.)は、死へ向かう本能「タナトス」の破壊エネルギーが、他者に向けられたものが攻撃性であると考え、自己破壊を避けるために個人の内部から外部へ絶え間なく放出されなくてはならないと提唱した。
 攻撃行動によって破壊エネルギーが発散することにより、緊張が低下する。

② 情動発散説

 攻撃行動は環境条件によって引き起こされたフラストレーションを低減させようとして生起する。
 ダラードら (Dollard et al., 1939)は、目標達成が妨害されることによって欲求不満が生じ、それを低減するために妨害した他者に対する攻撃行動が生じると考え、欲求不満一攻擊仮説(frustration- aggression hypothesis)を提唱した。
 しかし、
(1) 欲求不満は攻撃行動以外の行動(叫ぶ、逃避、無関心) を引き起こす
(2)欲求不満がなくても攻撃が起こる
などの批判があった。
 そこでバーコウィッツ(Berkowitz, L.)は、欲求不満が個人内部に怒りを作り出し、怒りが攻撃行動に対する準備状態を作り出したところで、手がかりが加わると攻撃行動が生じる手がかりー喚起理論(aggressive cue theory)を提唱した。

③社会的機能説

 攻撃行動は様々な対立や利害衝突などの社会的葛藤を解決するために生じると考える。
(1)予想される危害を回避したり、受けた被害を回復するために取られる回避反応としての攻撃(正当防衛)
(2)罰を使って他者の態度・行動を自分が意図した方向へ変化させようとする強制としての攻撃
(3)攻撃によって被害者の被害を回復することはできなくても、違反者が罰せられることで、社会的公正を回復しようとする制裁としての攻撃
(4) 他者から好ましくない印象を押しつけられそうになったときに、侮辱した相手を攻撃することによって否定的な印象を拒絶し、社会的アイデンティティを回復しようとする印象操作としての攻撃
などの機能がある。

○関係性攻擊(relational aggression)

 故意に仲間関係を操作して他者を傷つける行動。
 関係操作(無視、絶交すると脅す)社会的排除 (集団から排除する。仲間に接触してないよう働きかける)悪意ある噂の流布(偽りの情報を流す、悪評を書き込む)などの行動が含まれる。
 いじめの中の代表的な加害行為。


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