見出し画像

五月病?連休明けの学校がしんどい

五月病って何?

 メディアを通して流行った言葉で、病名ではありません。環境変化に慣れることが難しく、ストレスがかかっている状態を言います。ちなみに、五月病は日本独自の表現です。

海外には一月病、九月病も!

 アメリカには五月病ではなく、一月病(January blues)や九月病(September blues)と呼ばれるものがあります。一月病はクリスマスに友人や家族と過ごしたひとときが過ぎた後の落ち込みを指し、九月病は7〜8月にとるバカンスを終えた後の落ち込みを指します。九月病に関しては、日本の夏休み明けにあたる9月1日が子どもの自殺率が一年で最も高いことなどを考えると、日本の子どもたちにもあてはまるように思います。

五月病の背景

 5月病と言う呼び名は日本独特のもので、日本の暦や文化と関係があります。4月には年度が始まり、進級・進学があります。特に、中1ギャップということもあるぐらい小学校と中学校に大きなギャップがあり、中学校入学時は環境変化のストレスがかかりやすいところがあります。中学校で、時間割が増えるほか、部活も本格的になりますし、小学校のころより先生も生徒を大人扱いして自律を求める態度で接することが多くなるように思います。そのなかで、新しいクラスになじめない感覚があるまま大型連休に入り、それらの悩みが解消されないと、連休が開けることに悲観しやすくなる背景もあるのではないかと思います。

見えないストレスの影響

 四季による気温や気圧の変化なども影響していると思われます。気温や気圧の変化などもストレス要因になりえます。また、進学して、進学通路・通学時間も変われば、それもまた負担になりえるでしょう。大人から見れば大したことではないことであっても、本人に目に見えないストレスがかかっていることがあるのです。本人が自覚していなくてもストレスが体調に現れることもあるので、朝起きづらかったり疲れやすい様子などがあれば、話す機会を作ってみるといいかもしれません。様子を見て、体調の変化が急激でしたら、受診することも検討してください。

連休明けに多い中高生の悩み

 連休明けは、学校に行くことを辛く思う中学生・高校生の相談が増えます。進学・勉強の相談のほか、友達ができず周りの目を気にして一人でいることに悩んでいたり、友達グループでの付き合いに悩む相談などが多いように思います。本人なりに新しい環境に馴染もうと頑張る一方で、思うようにならないもどかしさを感じながらそんな自分の状況を恥ずかしく感じているところもあるようです。そのため、本人は悩みを打ち明けづらく感じているところがあると思います。

お子さんが五月病っぽいなと思ったら

 お子さんが、連休明けに元気がないように感じられたり、学校を休みがちになったりしたときは、心配になると思います。ただ、やたらと聞き出そうとしない心がけも大切です。気がかりなことや心配ごとなどネガティブなことを聞こうとすると、聞き出そうとする大人の思惑を感じ取って、かえって話を避けようとすることもありえます。日々の何気ない話を親御さんからも話せるといいのではないかと思います。面白いと思った出来事、頑張ったところ、今日の良かったこと等、ポジティブことも話題にしてみるとよさそうです。そこから本人の持つ力やならではのいいところが意識できれば、希望を持ち悩む場面での対処法のヒントになることもあります。
 悩んでいることについてお子さんが口にしたときは、「そんなもんだ」「そのうち慣れるよ」「もう少し頑張ろう」と言うと、本人はわかってもらえなかったと心を閉ざしてしまうこともあります。本人としては、実際に今しんどい思いをしていてどうしようもなくなっている場合もあるので、そういったことを言われても、悩むこと否定されているように感じるだけで、どうすればいいかわからないかもしれません。親としてはもどかしく感じがちかもしれませんが、まずは批判せずに今に至るまでの様子を想像しながら本人の身になって気持ちを聴いてみてください。そして、一緒に悩み事を整理してみてはいかがでしょうか。悩み事に応じて、学校の先生やスクールカウンセラーや担任の先生の助けも借りながら、お子さんを暖かく見守っていただくことが大切です。

【出典】

小神野真弘 「五月病は日本だけ アメリカ、ドイツ、ブラジルは1月、韓国は3月に似た症状」AERA.dot.2017年5月15日 更新
https://dot.asahi.com/dot/2017051200074.html?page=1
「適応障害」 人形町メンタルクリニック
http://www.cocoro-support.com/Adjustment_Disorder.html#faq31

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?