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開業に向けて準備をしたこと~その3~

どうも、あきです!

私は精神保健福祉士として個人事業主を営みながら支援を行っている(半)独立型の精神保健福祉士として働いています。

今後の投稿では開業してみた感想シリーズとして、

①事業所を立ち上げて初めて感じたこと
②開業に向けて準備をしたこと
③実際に支援を行ってみた感想
④スキルアップの必要性

この4つをお伝えできたらと思っています。

今回の記事では「③実際に支援を行ってみた感想」について
記載していきたいと思います。

「独立」して支援を行うということ

①「独立」は「孤立」と表裏一体関係

開業をして支援を行うということは、基本的には経営・経理・記録の管理・営業など、支援に付随したことすべてを一人(あるいは一緒に独立した人たちと一緒に)行うことになります。
そうした意味で言うと、独立は孤立と常に表裏一体の関係にあると思います。

どこかに雇用されて働く場合、職種の違いがあったとしても完全に一人で働く職場は少ないと思います。相談できる頻度や濃度の差はあれども、どこかに所属し、雇用されて働いている以上は雇用主の指揮命令系統下に置かれており、誰かしら相談できる相手や話し相手が存在すると思います。

一方で、開業して支援を行うと、そうした気の置けない話し相手というのは自ら作らない限り存在しません。
もちろん、「ここだけの話」としてこれまで培ってきた支援者に相談をすることもできると思いますが、基本的には私たちには守秘義務があり、倫理綱領にある通り「クライエントのプライバシーの権利を擁護し、業務上知り得た個人情報について秘密を保持する」義務があります。

この点において、開業して支援を行う場合、支援者は特に孤立した環境に置かれやすいように感じています。
そこに関係機関があったり、関係者がいたり、お得意様がいたり、SVがいたりしたとしても、基本的には秘密保持を優先した上でお話していく必要がある。
当たり前のことですが、専門職者が安心する為の情報共有は基本的には許されていない。一方で、人がパフォーマンスを発揮する為には、支援者自身が安心して落ち着いて働けていないと難しい。

その意味で、どのようにして支援者自身が孤立しないように働いていくか、また、もし開業している分野がマイナーな分野であり利益相反が起きやすい分野であるならば、どのようにして関係機関との関係を調整していくか、この点は大きな課題であるように感じています。

②独り立ちがいいとは限らない

独立して働くというと、聞こえが良かったり独立・開業など、少し華々しいイメージを感じられることがあります。
ですが、①でもお伝えしたように、独立は常に孤立のリスクを抱えており、一人で経営をできるようになることが良いことであるとも思わないところがあります。

基本的に私は零細の個人事業主である為、記帳も含めて自身で行っています。税理士を雇っていないため、その観点でいうと経営に関する責任や経理に対する責任も自身で背負っています。
最初はコストカットの為に自分でできるようになろうと、簿記を学んだりファンドレイジングについて学んだり、色々と手を出していました。
一方で、それは自分の時間を削っていくことにもなります。

一般的な働き方で言えば、働く時間は固定されており、休憩時間も担保されていて、休みの日が決まっているかと思います。
基本的には事務や経理、支援、経営についてそれぞれ役割分担をして運営を行っているかと思います。
それを一人で行うことになる為、基本的にどうやって仕事の時間を削っていくか、時間のローコスト化も重要になると思います。
その為にも独り立ちをしようとして支援外のことを学び視点を養う時間が一時期あったとしても、長期的にみると独り立ちせずに分散できるように収益を上げていく、収益があげられるように支援や営業活動に力を割いていけるようにしていくことが必要になると思います。

③利益相反が生じる場合もある

個人事業主として支援を行おうとすると、成年後見人になる、業務委託として仕事を取ってくる、自費の相談所を作る、など方法は様々にあると思います。
たとえば、私のように業務委託を受けて制度外の仕事を行う場合、どこかに雇用されて支援を行う場合と比べると、他の支援機関との関係性がかなり異なってきます。

支援機関にはそれぞれの枠組みがあり、支援を行う内容に定められた幅があります。そしてそのことが重要でもあると思います。
どの支援機関も「なんでもかんでもやります!」となると、現実的に現場は疲弊します。また、その為の財源も使い尽くしてしまいかねないリスクもあります。
法に定められ、制度によって報酬が設定されている支援機関は、継続性の観点からみても、特定の対象者を深く捉える為にも重要なものです。

とはいえ、制度は対象者を定めて作られている為、どうしても制度の隙間は存在してしまいます。それを制度で完全に埋めることは難しいものでもあると思います。
その為、開業して制度外の支援を行うというのは、一定程度の社会的なメリットが存在していると思います。制度内で対応できない、あるいは対応してきたがしっくりこなかった方、その制度を利用するなかで傷ついてきた方、様々な方が制度の狭間にはいると思います。
そういった様々な方を開業することによって支援できるような仕組みを作る、制度からソーシャルワーカーが独立して働ける、という点で言えば非常に意義があることだと思います。

一方で、制度内の支援機関が様々に設定されているこの世の中で、開業して制度外の支援を行うということは、ある種勇気が必要にもなると思います。
特に困難ケースだと言われている方をサポートする時には、そうした方をサポートしようとすることそのものについて疑問を呈されたり、時には金儲け主義のように見られたりしかねない場面があります。(本人の権利擁護が必要になる場面であればあるほど、他の関係機関とのコンフリクトも大きくなりやすい関係性があるように思います)
これまで関わってきた支援機関の歴史、その機関の持つ思想的背景や葛藤を踏まえて、開業したソーシャルワーカーが下手をしたらその方と一緒に孤立しかねない。そんな危険性を感じる場面も短い期間の中ではありました。

他の方々とうまくやる、という社会人としての基本的なマナーを守りつつも、同時に、クライアントの方に不利益が生じている場合や、権利が侵害されている可能性が生じている場合には、その点について調整をしていく必要があるように思います。
制度から独立できたソーシャルワーカーだからこそ、観て、聞いて、感じられる場面がある。ソーシャルワーカーとしての理念や価値をいかに守りながら、うまく地域や制度内の支援機関の方々の中に溶け込もうとしていくか、その両立が重要になるものと感じています。

④結びに…。

独立して支援を行うということは、孤立と表裏一体関係にあり、分業できないことから時間的コストもかかりやすく、制度から独立した活動ができるからこそ利益相反も生じやすい。
それでも、だからこそできることがある、とこれまでの活動の中で感じるところがありました。
そして、だからこそ勉強や学びが重要であるように感じています。

開業を考えていらっしゃる皆さんに今回のnoteが少しでも参考になれば幸いです!

次は支援の本番である「④スキルアップの必要性」について、まとめてみようと思います。

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