【心霊体験】深夜の訪問者
見知らぬ人間の突然の訪問。
現代では飛び込みの営業や宗教の勧誘のようなものは少なくはなったが、あまり気持ちの良いものではないし、押し入り、立て篭もり等の事件に発展してしまうことも視野に入れなければならない世の中になってしまった。
それ以外でもN○Kに対しては居留守を使う方も多い・・・のか?
まして遅い時間になれば尚更警戒するだろう。
これは以前住んでいたアパートで体験した怪異。
インターフォンにモニターが付き始めた時代。
玄関のドアスコープを覗かなくても誰が来ているのかわかるようになったのは、とてもありがたい進化だった。
入居してしばらくした頃、夜勤で仕事中の私の携帯電話に当時の彼女からメールが入る。
深夜1時。
「インターフォンが鳴ってモニターが映ってるんだけど、誰もいないし外は真っ暗なままなの」
彼女を安心させるためにとりあえず電話をかけいたずらか誤作動じゃないかと伝える。
田舎町だったが夜な夜な歩き回る若者達も少なくはなかった為、戸締りを確認するように言い電話を切った。
数週間後、私が一人でアパートにいた際にも同様のことが起こった。
チャイムが鳴り、インターフォンのモニターが映し出される。
外は真っ暗な闇。
玄関のチェーンを張ったまま扉を開け、外を確認してみるが誰もいない。
そこは玄関灯が照らしているいつもの通路だった。
また何日かの後、再びそれは起きた。
その日は彼女と二人。
モニターは相変わらず真っ暗だった。
実は前回気付いていたことがある。
玄関灯が灯っているということは、真っ暗なわけがないのだ。
モニターには照らされた玄関前が映るはず。
その時一つの答えが頭に浮かび、冷気が背筋を通り抜ける。
その答えを確認する為、恐る恐るモニターを見ると決して解像度は高くはないが、そこにはカメラに向かい見開いた目が映し出されていた。
彼女も気付き、パニックを起こす。
モニターには既に明るい玄関が映し出されている。
消えた・・・。
二人で冷や汗をかきながら胸を撫で下ろす。
ピンポーン
胸が痛むほど鼓動が早くなる。二人目を合わせ涙ぐむ。
モニターには何も映っていない。
ピンポーン
もう勘弁してくれ・・・。
ピンポーン
彼女の顔は恐怖に引き攣り、涙でグシャグシャになっていた。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
意を決してドアへ向かう。
ドアスコープを覗くと、そこには真っ暗な世界。
ドア一枚を隔て何者かと覗きあっていることを認識し、私の頭が恐怖に支配された時。
外から、けたたましい狂ったような女の笑い声が響き渡った。