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優しい人になりたい

「優しい人になりたい」
そう祈るように言った私に、母は一言
「じゃあ、神様はあなたを、優しくならなければならない状況に置かれるかもしれないね。」

これは学生時代の私と母のやりとりだったか。

今の自分に欠けていると感じる性質を身につける、あるいは伸ばしていくためには、訓練が必要なんだ。そう母は言いたかったのでしょう。人は、ある日突然、変われるものではないのだから。

私は子供の頃から、正義感の強い子でした。
一本芯が通ってるのはいいことです。
でも、「こうあるべき」が強いほど、そこからはみ出るものに怒りが湧きやすいもの。それが外に向けば他人を責めるし、内に向けば自分を責めます。

私は他人を責めるケースが多かったです。そして穏やかでない感情が心を占める時、私は自分の心を見て、「優しい人になりたい」と思うのでした。

感情豊かに生きることは、人生を豊かにしてくれます。でも感情に支配されると、人生は不自由です。

特に、怒りは大きなエネルギーを持っているので、ちゃんと治めないと、自分も他人も傷つけます。わたしの「優しい人になりたい」という思いは、はじめは「怒らないで穏やかな心でいたい」というだけの単純な思いでした。

「境界線-バウンダリーズ」という本はもう少し奥行きのある視点を与えてくれました。それは、怒りは自分の心のサインで、自分の境界線が侵されたという警告であること。

自分の大切な心を守るためには、悪いものにNO と言える自由を持つことも「怒りを治める、マネージメントする」ということの一部と言えます。

じゃあ、私の「優しい人になりたい」という思いはどこから来てたかと言えば、「私の正義」という境界線を相手の領域ににまで広げて、相手が思う通りにならない現実をどうにかしたくて相手を責めているのが苦しかったのでした。

「あなたはそう思うのね。私はこう考えるよ。」「あなたはそれが気に入らないのね。残念です。」

自分がどこまでで、どこからが相手なのか。
健全な境界線を持って、穏やかにそう心から言えるように。

心がざわつく相手に出会う度に、「優しい人になる訓練キター(;´Д`)」と思っている日々です。

境界線(バウンダリーズ)

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