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筋力と日常生活活動

筋力と日常生活活動
山﨑 裕司 津田 泰路
理学療法ジャーナルVol.56 No.3 2022.3 p331-335


【文献の要点】

・筋力と動作能力との関係は、ある筋力閾値を境に大きく変化している。
・それ以上の筋力値で動作自立する自立閾値と、それ以下の筋力値で動作が困難となる下限閾値が本稿での研究結果からみえる。
・室内歩行では低い筋力値でも自立例があり、短距離の歩行は歩行速度や歩幅などを調整することで低い筋力でも可能であると考えられる。
・筋力と立位バランスから歩行自立の判断がより明確になる。


【文献の基本構造】

 歩行と立ち上がり、昇段動作の日常生活動作において、等尺性膝伸展筋力から自立に可能な筋力値を調査し、自立閾値と下限閾値を示している。また、立位バランスと等尺性膝伸展筋力から独歩自立度との関係を示している。


【日常生活に必要な筋力閾値の研究から】

 本稿の研究から、ある一定以上の筋力を有すると全例が動作自立となっており、それ以上の筋力の大小では自立度への影響はみられないことが分かる。その閾値より筋力が低下していくと、動作自立の割合は減少する。そして、ある一定以下の筋力となると動作自立どころか、動作自体が困難、実施不可となっている。台からの立ち上がり、階段の昇段は、その高さが異なれば必要な筋力も変わってくることは想像つくであろう。10㎝〜40㎝までの台でそれぞれ必要な筋力を表に示している。

 また、立位バランスと膝伸展筋力から検討した独歩自立度の調査からは、筋力とバランスの面から考えることで歩行自立の判断がより明確になること、筋力が立位バランスを補うことが分かる。


【まとめ】

 本稿から、歩行や立ち上がり、階段の昇段の動作が自立する膝伸展筋力の閾値、また動作が困難となる筋力閾値が分かる。この筋力閾値を参考に、筋力評価から動作自立度の予測や、予後予測などにも活用できるのではないか。また、膝伸展筋力を維持することで動作自立度の維持に繋がると考えられる。しかし、筋力を数値で測定するためには機器が必要となることや、膝伸展筋力以外の筋力の影響なども踏まえて考えなくてはいけない。

記事:ながちゃん

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