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スマートフォンすら触ったことのない医師が、自院の予約システムを作るまでに成長~自分がやらなければ先を越される焦り、ヘルスケアイノベーターを目指して~【卒業生インタビューVol.3】

プロトアウトスタジオの2期生、医師として仕事をしながらプロダクトをリリースする土井さん。PCもSNSも得意ではなかったという土井さんがプロトアウトスタジオに通い得たもの、そこに至るまでのモチベーションを語っていただきました。

◆土井勝之さん(インタビュイー)
プロトアウトスタジオ2期生
現在のお仕事:千葉県にあるどい耳鼻咽喉科の院長であり医療法人社団千葉厚生会理事長を務める。
◆菅原のびすけ(インタビュアー)
プロトアウトスタジオ校長
プロトアウトスタジオの運営や講師陣と共にカリキュラムの作成を行っている。

医師なのになぜプログラミング?プロトアウトスタジオとの出会いと通うきっかけ

土井さん1

のびすけ:土井さん、本日はよろしくお願いします。まず、医師でありながらプロトアウトスタジオに通おうと思われたきっかけを教えていただけますか?

土井さん:少し記憶があいまいな部分があるのですが、投資を以前からやっていてプラットフォーマーについて調べていた時期がありまして、その流れでGAFAを知ったんです。身近なところで痛感したのはFire TV Stickを利用した時でしたね。「とにかく便利だ!」実感して、それをきっかけにデジタル化という大きな社会の変化を意識しだしました。

のびすけ:デジタル化の波は、どこの業界や仕事に就いていても感じられるものになってきている雰囲気がありますよね。

土井さん:まさにその通りで、医療分野のデジタル化に私自身も貢献したいと思ったことが大きいです。デジタル化の波に置いていかれる焦りみたいなものも感じていました。

のびすけ:土井さんはデジタルハリウッドの大学院にも通われていらっしゃいますよね?さらにプロトアウトスタジオで勉強されようと思ったのはなぜでしょうか?

土井さん:大学院に通って、仲間と触れあいコミュニケーションを取ることで漠然とやりたいことは見えてきたのですが、やはり自分でやりたいことは「自分で手を動かす」ということをしないと進んでいかないなということもそこで実感しました。

のびすけ:そこで何か変化があったのでしょうか?

土井さん:そうですね、少しずつ自学自習でコーディングを始めてヘルスケアIoTLTに登壇しました。

のびすけ:ヘルスケアIoTLTではどんなものを発表されたのですか?

土井さん:WordPressで作成した自宅でOTC(※Over The Counter)を利用しながら体調の様子が確認できるサイトと、Androidアプリの話をしました。どちらもノンコーディングで出来る範囲で作り登壇したのですが、そのときにプロトアウトスタジオのことを耳にした記憶です。(※医師による処方箋ながくとも購入できる医薬品のこと)

のびすけ:そこで実際に「プロダクトを作る」プロトアウトスタジオを選んでいただいたのですね。

土井さん:はい、ヘルスケアIoTLTに参加してみてひとりでやることの限界も感じていました。ExcelやPowerPointをかろうじて使えるような状態からのステップアップにはなったのですが、入学することを決めました。特に最短距離でプロダクトアウトできるプロトアウトスタジオは魅力的でした。

ほぼPC初心者がプロダクトを自分で作れるようになるまでの道のり

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のびすけ:その当時はExcelやPowerPointといったソフトが少し触れる程度だったということですが、実際入学されてみていかがでしたか?

土井さん:正直、かなり苦戦しました。同期がいないと乗り越えられなかった部分は大いにあると思います。ガラパゴス携帯を使っていて、PCもほぼ初心者、SNSも触れたことがなかったので当たり前といえば当たり前です。

のびすけ:入学前は特に、PCを使うような経験はなかったのでしょうか?

土井さん:そうですね、メールやWordを少し使うことぐらいでしたね。これは付随的な効果ではありますがプロトアウトスタジオに通ったおかげでPCの基本的な使い方や、SNSで情報を得ることができるようになったのも大きな収穫です。

のびすけ:確かに、SNSは僕らにとって大きな情報元になりますね。その他に感じたことはありますか?

土井さん:入学すればヘルスケアに関するイノベーターになれると安直には考えていませんでしたが、やはり授業で教わったことを忠実に再現しているだけでは新たな道を進むことは難しいということでしょうか。

のびすけ:ツールや、手法はレクチャーできますがそこから「どう活かす」かは、自分次第ということですね。

土井さん:アイデアや自分の課題感に合わせてプロダクトを作るということが重要で、それを経ることによってイノベーターになっていくのだなという感覚にもなりました。

のびすけ:卒業生の皆さんによく言われますが、課題量や課題の難易度はいかがでしたか?

土井さん:本当に大変でした。課題に着手していて、丸一日何も動かないというようなことも起きたりしました。でも何も動かないからこそ、根気よく調べる我慢強さも身につきました。

のびすけ:モチベーション維持が難しい部分ではありますよね。医師側からすると、土井さんが作られているような患者が自分でセルフ診療できるプロダクトは医師の仕事をなくしてしまうような気もするのですが、モチベーションはどういうところから湧いてくるのでしょうか?

土井さん:医師の仕事は、患者と医師の情報格差で成り立っている部分があります。病院で診療を受けなくてもいいものでも心配で診察に来り、自宅での療養で治るものでもどこで判断したらよいかわからず診断を受けに来るなどの例があります。

のびすけ:確かに、分かっていれば病院に行かないということはありえますね。

土井さん:その情報格差を埋めることで、そこがクリアになると思ったのです。一見、この情報格差を埋める行為は医師の仕事を奪うように見えるかもしれませんが、いずれ誰かがやる領域であるだろうと想像しました。

のびすけ:医療分野じゃない、業界が参入してくることも十分考えられますね。

土井さん:その通りで、他の第三者に参入されてしまうくらいならば自らイノベーションを起こしてやろうと思ったのがモチベーションです。情報格差があることが非効率だと一番理解しているのも医者ですから、医者である自分が作るのが早いと思ったんです。

自分の病院の予約システムをリリース、コロナ禍でも患者に寄り添えるプロダクトを

のびすけ:プロトアウトスタジオの卒業生は、卒業後もかなり精力的に活躍されている方が多いですが土井さんは卒業後どのように活動されていますか?

土井さん:まずは、コロナが社会に与えた影響をひしひしと感じています。自宅で、自分自身で病院に行くかどうかの判断が出来るということが重要になってきていると感じています。

のびすけ:まさに土井さんが想像していた世界観ですね。なにかプロダクトを作られたのでしょうか?

土井さん:新型コロナウイルス相談ボットというものを作成しました。LINEのチャットボットで質問に答えていくことで、自分がどのように動いたら良いかを判断してくれるものです。

新型コロナBOT

のびすけ:コロナ禍のニーズに合った、プロダクトですね。どのぐらい制作期間かかったのでしょうか?

土井さん:新型コロナウイルス相談ボットは2日ぐらいで作成しました、1000人ぐらいの利用者がいますね。そのほかにも自分の病院の予約システムをLINEボットで制作しました。4000人ほど利用してくれています。

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のびすけ:運用していると出てくる課題を自分で修正できるのは大きな強みですね。

土井さん:予約システムなので、少し遅れてきたりする人への対応など追加機能で入れていきました。病院の予約システムは、外部のサービスを使っている病院が多いのですが月額の運用費も安くはないので、自分で開発できたことは通ってよかったことの一つです。

のびすけ:開発はおひとりでされたのですか?

土井さん:基本的には一人でやっていましたが、プロトアウトスタジオの同期の人にアドバイスなどを貰いました。同期の助けもかなり大きかったです。入学したときからかなり聞き合うことが出来て、卒業後にもプロダクトを高め合えるコネクションが出来たこともプロトアウトスタジオに通ってよかったことです。

のびすけ:その他に通われてよかったことと思う部分はありますか?

土井さん:イベントに登壇できたことも、自分の殻を破る意味でいい効果を生み出したと思います。デブサミ2020ウイングアークフォーラムなどに登壇したことで、自分のプロダクトを世の中にもっと出していいのだという自信につながりました。

デブサミ画像

ウイングアーク2

のびすけ:クラウドファンディングもそうですが、世に評価されるということで前に進める部分がありますね。

土井さん:はい、クラウドファンディングでいうと「サクセス」しなくてもそれも一つの評価だと思って取り組んでいました。プロトアウトスタジオ卒業後にはアレルナビという卒業制作を見て学会からの寄稿依頼や書籍の依頼も来るようになりました。やはり、外に出すということで社会の目に触れてそこが評価につながるということなのだと思います。

課題を見つけて自分で解決できるようになることが、プロトアウトスタジオでの最大の学び

のびすけ:最後になりますが、今後の目標があれば教えてください。

土井さん:最終のゴールとしているヘルスケアのイノベーターとしてはまだまだだと実感しているさなかです。しかしプロトアウトスタジオで学んだことで自分の身の回りのことは自分で出来るようになったことは、非常によかったと思っていますし通っていなかったら正直デジタル化の波に遅れをとっていたなとも痛感しています。
今後も、自分で課題を見つけて自分で解決できるように精進していきたいと思っています。

のびすけ:土井さん、本日はありがとうございました。

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