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「女子枠/多様性枠で内定もらえたんでしょ、羨ましいなあ」

女子枠って何か分かりますか?分かりませんよね。私も分からないです。けど就活中そして就活終わってからよく言われるんですよ。

ある男性「へ〜いいとこから内定もらえてよかったね、多様性枠とか女子枠で取ってもらえるから女子うらやましいな〜w」
私「そうだね〜運が良かったかもね〜(憤慨)(笑顔のお面装備済)」

怒りの感情は座禅を組んで、トップの猫画像でも見て、一旦忘れます。......はい、忘れまーしたっ!
心を空っぽにしてもう一度読んでみましょう。

ある男性「へ〜いいとこから内定もらえてよかったね、多様性枠とか女子枠で取ってもらえるから女子うらやましいな〜w」

なるほど、彼はおそらく私が女子だから何らかの優遇を受けており、能力不足にも関わらず内定がもらえたんだと言いたいのでしょう。
(ここまで大丈夫ですか?感情は消して、読解できましたか?)

さてここで問題です。彼は女子だったら受かったのでしょうか?そして私は女子じゃなかったら受からなかったのでしょうか?
(thinking time 30秒)

答えはNOであるべきだと私は思います。

このnoteでは、就活における”女子枠”という概念を題材に、アファーマティブアクションとは何かを理解してもらえたらなと願ってます。

女子就活有利説

最近、私が就活をしていた界隈では、女子就活有利説まことしやかに囁かれているようです。ロジカルシンキングなるものを懐でほくほく温めてるような人が集まっているはずなので、さすがに全く根拠がないのならばそんなおかしな言説を信じる人はいませんよね。

それなら、女子就活有利説の"根拠"が何か。
たぶんそれは"アファーマティブアクション"なのです。

アファーマティブアクションとは何か

アファーマティブアクションとは、「マイノリティ(少数派)が過去に受けた差別をなくそうとする取り組みのこと」です。
日本の男女共同参画の理念に則って言い換えるならば、「今までの、性別による就業機会の差を埋めようとする取り組み」といったところでしょうか。

ここでまた質問。アファーマティブアクションとは具体的にどうしたらいいと思いますか?
(thinking time 30秒)

一番簡単な方法は女性枠を作ることでしょう。確かにそうです。きっと一番最初に思いつきますよね。女性枠を作れば、すぐにでも男女比を1:1にすることだってできそうです。

けどこれにはものすごい欠陥があるんですよ。
そう、これはマジョリティへの差別になりかねないんです。

だって、女子だけ入社基準を下げたら、同じ能力でも男女によって合否が分かれてしまいます。これはマジョリティへの差別だ!という指摘がされたのがカリフォルニアのBakke事件です。(男女ではなく人種でしたが)

これを受けて、アファーマティブアクションとして、合格基準を変えることは原則認められないようになりました。なので女子枠なんて作っちゃだめなんですよ!!!(若干の論理飛躍があるのは認めます)

でも、この女子枠を作っているんだろうという発想、そしてこの間違ったアクションをしてしまっている/いた企業があったことが、女子就活有利説を招いているのではないかと推察しています。

結論:女子枠なんてない、というか作ってはいけない。もう発想がだめ。

なるほど....あれ...こまった....
え、じゃあアファーマティブアクションできないじゃん...
と思ったそこのあなたに朗報です!特別枠を作る以外にも方法はあるんです!!

例えば...
①マイノリティ向けに宣伝をする
女性社員特集を配布する/女子向け説明会を開催する...など
②アファーマティブアクションを意識する
社員に多様性の有益さを伝える/採用時に性別に依存する質問(結婚出産の予定があるか?など)をしないようにする/全く同じ能力の二者がいたときにマイノリティを優先する....など

といった方法があります!

つまり、女子だから受かる枠と言う意味での女子枠は存在しません。

女子向け説明会など、女子学生との接触回数を意識的に増やす取り組みはしています。でもそこで入社基準は下げてはいけないのです。入社基準を満たす女子学生を見つけやすくする、これこそがアファーマティブアクションの現在の答えなのではないでしょうか?

機会を増やすことこそが逆差別ではないアファーマティブアクションだ、というのが私の結論です。

(実際googleとかそのあたり徹底していていいなと思います。STEPや女子向け説明会でも、採用基準は絶対に変えないと断言してくれて嬉しかったです。)

企業で採用に携わっている方へ、もしアファーマティブアクションに取り組んでいるのでしたら、採用基準は変えていないことを公言していただけたら嬉しいです。そして万が一"女子枠"なんてものを設けているのであれば、それはそれで宣言してしまえばいいじゃないでしょーか。(一度燃えてみることも社会にはいいことなのかもしれませんし)

まとめというか覚えててほしいこと
マイノリティの採用基準をさげることは、
*マイノリティへの偏見/差別に値する
*マジョリティ差別の可能性がある

一応断っておくと、あくまで私が受けた企業たちの話であり、もしかしたら女子枠が存在する企業もあるかもしれないです。

"障害者雇用枠"というもの

障害者雇用枠を知っていますか?概要がここにまとまっています。
(注:障害者という漢字を使うことへの反対に配慮すべきかもしれませんが、障害者雇用枠については多くの場合漢字が使われているのでひらがなへの変換はしておりません。失礼いたします。)

簡単にいうと、企業が一定数の"障害者雇用枠"を設け障害を持つ方への雇用機会をうまなければいけないという内容です。これは"女子枠"と違い、法定雇用率(およそ2パーセント)が定められていて、採用基準も他と違う、明らかな枠です。

ここで最後の質問です。"女子雇用枠"があってはならないのに、"障害者雇用枠"は設けられるべきである理由はなんだと思いますか?この二つの違いはどこにあると思いますか?

(thinking time 1分)

(......1分たったかな...???)

私の答えは一旦伏せましょう。
私は、ここまで読んだあなたの意見がききたい。

性別についてのアファーマティアクションがもし理解できたなら、きっとわかるはずです。
(ヒントは能力差を社会が認めて良いかどうかという点です。)

(追記2020/2/7)
疑問投げかけだけだと、誤解を生むことがありそうなので追記します。
おそらくここまで読んでいただいていれば理解していただけるはずですが、私は障害者雇用枠に賛成の立場であり、女子枠なるものには反対(というかそんなものない)という立場です。

(これから書くことで、失礼に聞こえることがあればすみません。私も家族に後天的に障害者手帳一級を得た者がいたので、多少なりとも障害と向き合ってきたのでお許しいただきたく…)

障害者雇用枠が必要であり枠を作って良いのは、能力の差異を社会が仕組みとして認めているからです。何らかのしょうがいを持っている場合、国から障害者手帳が配布されるのは、何らかの不自由があるからですよね。

例えば車椅子の方が、健常者とまったく同じように働けるかといえば違いますよね。けどサポートがあれば仕事によっては活躍できる可能性が十分にあります。
このサポートが必要な点で、企業からしてみれば健常者と比べた時に能力が劣っているという判断がされても仕方ありません。けど障害者雇用枠という仕組みのおかげで、健常者とは別の判断基準を設けることができます。
そしてサポート体制を整える努力を引き出すことができます。

だから障害者雇用枠は必要なのです。健常者とは別の基準を作れば活躍してもらえるかもしれないから、枠として定めるべきです。

しかし女性枠についてはどうでしょう?女性は男性より劣っていますか?私はいままで述べてきたように、性別によって採用基準は変えるべきではないと考えています。採用基準が同じであるなら女性枠なんてものはないのです。

障害者雇用枠と女性枠の違いの私なりの答えはこれですが、もちろん他にも答えはあると思います。
(追記おわり)

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おまけ

敬意のある配慮、という言葉を何度か反芻してみていただけますか?

満員電車でおしつぶされているとき、
就活で荒んだ気持ちのとき、
仕事でメンバーとうまくいかないとき、
白い杖を持った方とすれちがったとき、
嫌なツイートを見たとき。

そういった場面で、思い出してください。
相手への敬意をもった上で配慮をするとはどういうことなのか、負のスパイラルの歯車にならないためにはどうしたらいいのか、そんなことを考えてみてもらえたら嬉しいな〜っておもいます。

本文と関係なさそうで関係あるかもしれないおまけでした。

こんにちは!ぷろとんです! よりよい生き方について考えています。 もし何か書いてほしいお題がありましたらコメントください...!