こころ/名作中の名作を読んで

夏目漱石のこころを読破しました!
いやあ、ものすごくよかった…

Wicherを読んでいる留学生と、コメダで朝ゆっくりコーヒーを飲みながら、ラストスパートを迎えたのですけど、

怒涛のラストスパートすぎました。

実は、わたくし、高校生の時、国語の時間でこころを読んだことがあって、「先生と遺書」の数ページを読んだことがありました。

当時の国語の先生の解説付きで、すっげえ作品だなと思ったことがあったので、思い出したいなという気持ちで読んでみたんですけど、たまげました。

まず、タイトル「こころ」。すごいですね、これも。先生の心情だけじゃない。色々な人の心情をひっくるめにして、表してあるタイトルなんですね。

しかも物語の根幹に関わってくる恋心も、プライドもすべて、この物語を、先生の半生を始めたのは人々の「こころ」なんですね😳

今からおよそ100年以上前に書かれた本ですが、全然、現代にも通じることがさも当たり前のように書かれていて

文豪作品を読むあるあるですが、夏目漱石すげえな…と感心させられます。

さて本題に入ると、先生と遺書までは比較的ダラダラと進む印象でした。

当時は雑誌に一節ずつ掲載されていたのでしたっけ?全く展開のない節もあり

先生と遺書に行くまでの節で、どうやって人気を得たのだろうと疑問に思いながら読んでおりました笑

ただ、先生を慕う先生と遺書までの主人公の卒論に対する想いはとても共感したと同時に、100年前も卒論が学生にとって大きな課題であったことに感激いたしました笑

そして先生と遺書へ。まず、お金があるっていいですね💰

ろくに働かず、未亡人のお屋敷に上がって、そのお嬢さんと何ら不自由ない暮らしができるなんて。

お金持ちなりテェぉ(((

そして、ざっとした感想ですが、先生の優しさが見える反面、悪魔のような所業も垣間見えてしまう、この2面生がなんとも素晴らしい感じを出していたと思います。

頑固で、自分だったら友達に持ちたくないタイプのKでしたが、そんなKのために住む場所を用意したり、話を聞いてあげたり、なんだ、先生優しいなあって思っていたら

恋のことになれば、豹変しました。この気持ち、誰でもわかることでしょう。なんだか、この世の1番強い気持ちって恋だと思うのです。

恋には逆らえないし、また絶対叶うとは限らない不確実性を孕んだ「こころ」にはにんげんかなわないんですね

またこういう切羽詰まった状況の中で、人の真の性質が見えてくると思うのです。

人間の進化の中で、常に「戦い」「戦い」「戦い」の連続でありました。弱きものは淘汰され、生き残った結果が私たち、ホモサピエンスでありますよね。

だから自分が危機的状況に陥った際には、相手を蹴落とす本能が備わっていると思うのです。

あんなにKに対して優しかった先生も、自分が恋しているお嬢さんが取られてしまうかもしれないという危機を感じた時に

先生の真の姿が露見してしまいました。読んでいる最中にもう、Kが可哀想って何度思ったことか笑

先生の言葉にも、人間の相手を倒す本能が現れていると思います。

Kの恋心に対して、「先手を打つ」と表現したり、ましてや、「打撃」とも表現していて、恐怖感さえ感じました。

Kを出し抜いて、しかも同じ屋根の下で暮らしながら、結婚を打診する手を打つ先生は、Kにとっては悪魔そのものです。自分がそうなった状況を考えてみてください。

ましてや、先生はKに対して精神攻撃を仕掛けています。危機的状況に陥った時、人間はこんなにも悪魔になれるのだと驚いてしまいました。

そして、お上さんから真実を告げられたにも関わらず、先生とお嬢さんの結婚に対して、「おめでとうございます」といえるKに尊敬の意を感じました。

なかなか言えないと思います。私なら、いや普通なら、先生に対する怒りが込み上げてきて、殴り込みにかかってしまうのは当然でしょう。

そしてKが自殺し、先生が第一発見者になった時、Kの死をいち早く知らせるのではなく、Kの遺書を探し、そこに自分の名前が載っていないか、自分のせいで死んだとかいていないかを真っ先に確認しにいった行為にはゾッとしました。

おかみさんにすぐに知らせずに、部屋をぐるぐる回って考え事をしたりと、なにか重要な人間としてかけているものがあるのではないかとさえ思ってしまいました。

そういうところにもタイトルのこころは掛かっているのでしょう。

そして読み終わった時には、悲しい気持ちになりました。誰も幸せになっていません笑

Kの自殺から始まった悲しみの連鎖がずっと、この先もその長い尾を引きずって、誰かの通る道に存在し続けるのでしょう。

ノルウェイの森もそうでしたが、基本的に自殺から始まる負の連鎖がエグすぎます。

結局は連鎖なんです。

Kの自殺によって苦しむ先生。
先生の妻は本当のことを知らない。
そして先生の自殺によって次は、妻と先生を慕っていた主人公が苦しむことになっていくでしょう。

本人は死んだらそれで終わりですが、その周りの人間と後世に残すものは絶大な力を持って、人を地の底に引きずり込むのだと感じました。

素晴らしい作品でした。これ以来、私は近代文学を読んでみようと奮迅しております。

今は斜陽を読んでいます。また終わり次第感想を書こうかな

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