残像思念

自販機一つないホーム
ベンチに座り、うわの空
頼りにならない街灯が
チカチカ、時折り
熱風が通り抜ける



各駅停車のアナウンス
流れる、冷や汗がじわり
真夏の夜が見せた
残像思念

問いかけた答えは
今もまだ返ってこない
相も変わらず僕は
この風景に住み着いたまま

電車から降りてすぐに
階段を駆け降りる
振り払え、憂鬱を
考えられなくなるまで
走れ、光のように

ひたすら帰り道も
わからなくなるほどに

また生きる指標を
忘れたみたいだ
途方に暮れる、嗚呼
だけどまだ、まだ…
酸素を欲しがっている
身体がそこにいる


根拠のない万能感に
包まれていた、あの頃
揺るぎない自信が
確かに僕の中で
育っていたはずなのに…

また生きる指標を
忘れたみたいだ
空虚、逃避に耽る
海物語の角の台、
スロットルを回す僕がいる

途方に暮れている
嗚呼、
あの日の残留思念…

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