見出し画像

【P+Bインタビュー】美容師・インフルエンサー 宮永えいとさん(前編)ボディソープで洗顔していた僕が、美容に興味を持ったきっかけ

YouTubeで男性の身だしなみ術としてヘア、スキンケア、ファッション、メイクについて発信している宮永えいとさん。チャンネル登録者数は約20万人を誇り、2020年に発売した初の著書『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)もヒットするなど、メンズ美容界で注目を集めている人物です。
インタビュー前編・後編の2本にわたり、メンズ美容市場やユーザーの意識について、多角的なお話をお届けします。
前編では、メンズ美容市場の変遷と未来についてお話を伺いました。

宮永えいと/1990年生まれ・東京都出身。美容師だった経験を生かし、「身だしなみ」をコンセプトとした男性向けの美容やメイク、ヘア、ファッションをYouTube「宮永えいと」で発信している。チャンネル登録者数は約20万人。また、メンズコスメブランド「RETØUCH」の代表として商品開発にも力を入れている。著書『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)が発売中。

ボディソープで洗顔していた僕が、美容に興味を持ったきっかけ

―まず、宮永さんの経歴を教えてください。

宮永:僕はもともと美容師で、現在はヘア用品やメイクの商品開発を手掛けたり、YouTubeで男性に向けて「身だしなみ」をテーマにした動画を発信しています。ただ、昔から美容やメイクに興味があったわけではなく、実際に興味を持ったのは今から6年ほど前、25、26歳くらいの時。それまでは洗顔もボディソープでしたし、スキンケアも何もしていませんでした。

―そうなのですね。何がきっかけだったのですか?

宮永:20代中盤~後半はどの職業でも後輩が出てきたり、仕事で責任が出てきたりする時だと思うのですが、僕はその頃自分のケアを何もしておらず、さらに年齢を重ねて、そして仕事を頑張りすぎて疲れも溜まっていました。ある時を境に、何人ものお客様から「顔が疲れていますね」と言われるようになってしまったのです。美容師にもかかわらず鏡で自分の顔を見ることはほとんどなかったのですが、久々にしっかり見てみたら確かにクマができていたりとか、顔がむくんでいたりとか、なんかどよんとしている姿が映っていました。これはいけないぞ、と。それで長期的に肌の改善を図るスキンケアと、すぐに見た目が変われるメイクを始めるようになりました。

―その時は何かを参考にされたのですか?

宮永:当時は男性向けの美容やメイクの情報がほとんどなかったので、女性向けのサイトや雑誌を見て学びました。

―では、ご自身でスキンケアやメイクについてYouTubeで発信しようと思ったきっかけを教えてください。

宮永:YouTubeは2019年から始めたのですが、今お伝えしたように僕も男性向けの美容情報がなくて困っていたので、みんなも困っているのではないか? と思ったのがきっかけです。20代を過ぎて顔が疲れて見えたけれど、スキンケアをやるにしても情報がなくてどうしよう、という声は周りでも聞こえてきました。僕は美容師として自分なりの解釈でヘアメイクもやっていた経験があるので、男性に置き換えてメイクやスキンケアについて提案できるんじゃないかなと。

―ちなみに、一番反響の大きかった動画は何でしたか?

宮永:ヘア関連の動画で、センターパートのスタイリング方法を紹介した回ですね。当初から「身だしなみメイク」をテーマに新しい市場に訴えかけていこうと思っていたものの、正直メイクをする男性の数が少なくて、メイクやスキンケア関連の動画は最初はあまり反響がありませんでした。そこで、「結局男性にとって一番近い美容の体験って髪の毛なのかな」とヘア情報を発信し始めると、少しずつ再生回数が伸びていったのです。

―ヘア情報の動画を入り口として、次第にメイクなどに興味を持つ視聴者も増えていった、と。

宮永:はい。ヘアやファッションの動画をきっかけに僕のコンテンツをなんとなく定期的に見るうちに「BBクリームを塗るようになりました」とか「スキンケアをやるようになりました」とおっしゃる方は、すごく多いです。

「何をやったらいいかわからない」という悩み

―なるほど。そういった視聴者から寄せられる相談や悩みで多い内容はどのようなものですか?

宮永:一番多いのは「何をやったらいいかわからない」ということです。これはスキンケアやメイクに限らず、ファッションやヘアなどすべてのカテゴリでいえます。

―今年PROMOTION+Bで行ったアンケートでも、「まだ基礎化粧品を使っていない理由」として15~29歳の男性の40%が「何を使ったらいいのかわからないから/選べないから」と回答していました。悩みが何かわからないという悩みですね。
▼参考記事

宮永:はい。一応興味はあって、やってみたいけれどどうすれば良いのだろう、と。ヘアスタイルだと「自分に何が似合うのかわからない」、スキンケアだと「何から始めればいいかわからない」、ファッションだと「どこで買えばいいかわからない」という悩みです。

―どのようにアドバイスしていますか?

宮永:とにかく簡単で、始めやすいものを使ってみましょう、と言うようにしています。女性にはわからないかもしれませんが、男性にとっては、まず顔面に何か塗るという行為自体に違和感があるのですよ。恥ずかしい、という感覚を持つ方も多いので、なるべく手数が少なくて、さっとできるものをすすめています。

メンズ美容の可能性「服や髪型のように、美容もおしゃれのツールのひとつです」

―いわゆるZ世代ではメイクへの興味関心が高まっているというデータがありますが、今後あらゆる世代でメイクやスキンケアのニーズを高めていくことはできると思いますか?

宮永:そうですね。特別なものではなく「おしゃれの道具のひとつ」という感じに捉えてもらうが一番良いのではと思っています。時代をさかのぼると、30~40代の男性って初めて美容室に行くようになった世代なんですよ。それより上、40代から50代以降になると、散髪屋さんが多かったので。

―言われてみるとたしかにそうですね。

宮永:あとは40代以降の方は、「見た目を良くしよう、かっこよくなろう」と思って情報を得ようとすると、基本的にファッション雑誌しかなかったんですよ。

―おしゃれをしたりかっこよくなろうとした時のツールが洋服しかなかった、と。

宮永:ミレニアル世代から40代の方は、カリスマ美容師ブームがあって、当たり前に美容室に行くようになる世代に当たります。それまで美容室は女性のための場所と思われていたのが、男性も行くようになりました。次第におしゃれをする感覚でヘアスタイルを楽しむようになったと考えられます。メンズ向けの「ウーノ」や「ギャツビー」といったブランドが立ち上がって、ヘアワックスも流行りました。そこで「美容」という言葉が少しずつ男性の間にも浸透してきたのだと思います。

―おしゃれのツールが服とヘアになったのですね。

宮永:はい。なので僕らは武器が2つになる世代なのです。さらにZ世代になるとそれにスキンケアとメイクが加わって道具が3つになったという感覚でしょうか。僕らの世代がヘアワックスを使うとか、ヘアスタイルを楽しむために美容室に行くようになったのと同じく、ファッションを楽しむために「これもやった方がかっこいいじゃん!」というプラスアルファの要素としてのスキンケアやメイクがあると考えたほうが、市場も大きくなっていくのではないか、と僕は思います。

―メンズ美容については、将来的にはどうなっていくと良いと思われますか?

宮永:今はメンズ美容やメイクというと、「ジェンダーレス」というカテゴリのイメージが強いのですが、ファッションで「モード」や「カジュアル」があるのと同じように、今後はほかにもいろいろなジャンルが出てくると良いのではと思います。ファッションのジャンルって、人それぞれが自分で選択して楽しむのが正しい楽しみ方だと思うので、メイクの分野でもカテゴリが今後いろいろ生まれてくると思っています。例えば僕が提唱してる「身だしなみメイク」も1つのジャンルですよね。カテゴリが増えてくれば、「自分はどういうイメージにしたい」「これをやってみたい」というのを選べるようになってくるのではないでしょうか。例えばメンズコスメをイヴサンローランとユニクロが出すと想像してみると、両者のメイクのイメージはまったく違うものになると思いませんか?

―使い方も違ければ塗り方も印象も違うものになりそうですね。

宮永:そうなれば、自分に合った楽しみ方を見つけられると思います。


外見を良くすることに対して男性の興味関心が高い中、多くの人が抱いている「何をすれば良いかわからない」を解決するためには、メンズ美容の楽しみ方を増やすことはキーワードになりそうです。今は韓流アイドルの影響やジェンダーレスの機運の高まりから、メンズメイクというと顔を美形に美しくするものという印象が強く、まだ敷居が高いと思われている節があります。楽しみ方のジャンルを増やすことで、メンズ美容はより身近なものになっていきそうですね。

後編では、宮永さんが展開している男性向け化粧品の商品開発の秘訣に迫ります。

メンズ美容を楽しんでもらうためのポイント


✔ メンズ美容は特別なものではなく、洋服や髪型を楽しむ延長にある
✔ さまざまなジャンルを提案すれば、自分にフィットする楽しみ方が増えて市場も拡大
✔ 「興味があっても何をやったらいいかわからない」人が大多数の現在、簡単で試しやすいアイテムは選ばれやすい

電通プロモーションプラスでは、Z世代をターゲットとしたプロモーションの企画・実施やZ世代との共創のサポートをおこなっております。お気軽にお問い合わせください。
お問合せ先はこちら


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!